ガンダムセンチュリー 復刻版

ガンダムセンチュリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/28 03:20 UTC 版)

復刻版

本書は資料価値と希少性から、入手が困難な資料として、1990年代には万単位のプレミアム価格で取引されていた。2000年3月に、『ガンダムセンチュリー』出版当時の『月刊OUT』編集長で本書の編集者でもある大徳哲雄が創立した編集プロダクションである樹想社から、完全復刻版『GUNDAM CENTURY RENEWAL VERSION』として定価4,000円+消費税復刻され[注釈 11]、この状況は解消された。表記については「なるべく原本の表現を尊重し、明らかな誤記、誤植、現在使われていない表記[注釈 12]」を除いて、基本的に旧版と同じ内容である[7]

みのり書房は1995年に解散しており、復刻にあたっては「製版原版が既に処分されていたため、文字については完全打ち直し、イラスト及び図版につきましては可能な限り原画・原図版等を収集」[7]したが、「初版発行時からかなりの年月を経ているため、原画や図版のかなりの点数が散逸、入手不可能となっており、また褪色しているものも多く、その場合、やむを得ず原本からの複写図版を使用」[7]して製版した。「そのため、色味等原本とは発色の異なる」[7]箇所がある。カラーイラストで、トリミングされて端がカットされている部分や網点が潰れてしまっている部分もあるが、モノクロページ以外は塗工紙を使用しており、印刷技術の向上で原本よりも発色が良く、活字も読みやすくなっている。

エピソード

  • 発売当時、模型雑誌月刊ホビージャパン』1981年10月号に「このガンダム、君には作れまい」のキャッチコピーと共にメンテナンスハッチ(点検パネル)をフルオープンした河森正治のイラストを使った広告が掲載され、その後ホビージャパン発行のムック『HOW TO BUILD GUNDAM』(1981年7月発売)の続編『HOW TO BUILD GUNDAM2』(1982年5月発売)に、1/60キットを改造した藤川政秀による作例が表紙と記事に掲載され、同挑戦コピーへの当時なりのモデラーからの回答が提示された。ハッチオープンガンダムは、1/144 RX-78「ガンダム」HG(1990年発売)の組み立て説明書に「RX-78 "ACCESS HATCH FULL OPEN"」(3-4頁)としてカトキハジメのイラストでも再現された。
  • 1997年に大阪市日本橋に世界初のガンダム専門店を名乗る「GUNDAM's」が開店した際に、ボロボロな状態のものが展示されていた。当時の入手の難しさと、このような状態でも展示物として表に出すことができるほどの評価の高さを物語る出来事である。
  • 本書の執筆陣の1人である森田繁は、後に『∀ガンダム』の製作に設定考証スタッフとして参加した際に、作り手としても視聴者としてもガンダムから離れていた森田は本書の内容を完全に忘れており、ミノフスキー物理学などのSF設定を見て「よくできてるね。誰が考えたの?」と発言し、他のスタッフから「20年前にあんたが考えたんだよ!」と突っ込まれた[要出典]。しかし実際には森田は本書の前身である『Gun Sight』に参加していないことをのちに語っており[8]、森田が考案したのはSUITやAMBACといった名称で(これを考案したことは実際に忘れていた)、ミノフスキー粒子関係の設定の発案者ではない。
  • 同じく執筆者の1人である河森正治は『機動戦士ガンダム0083』にメカニカルスタイリングとして参加した際、新しいアイデアを出して「それは設定にありません」と断られ、以前自分がアマチュアの時に作った設定に縛られるという経験をした。

書籍情報

  • 『OUT9月号増刊 宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY』(みのり書房刊、1981年9月22日発行、第5巻第14号(通巻74号)、雑誌コード 01588-9)
    • 『月刊OUT』1981年9月号増刊として出版されたため、雑誌コード上もムックではなく月刊誌の別冊・増刊号となっている[注釈 2]
  • 『宇宙翔ける戦士達 GUNDAM CENTURY RENEWAL VERSION』(樹想社発行、銀河出版販売、2000年3月15日第1刷発行、ISBN 4-87777-028-3
    • メタリック調カバーの初期版と、復刻版カバーの新装版がある。復刻版カバーは「OUT9月号増刊」の表記は削除されている。

注釈

  1. ^ 国立国会図書館書誌情報(国立国会図書館書誌ID:000002869647)やWebcat Plusでは「宇宙翔ける戦士達」のタイトル読みを「ウチュウ カケル センシタチ」とするが、『月刊ホビージャパン』1981年10月号に掲載された『GUNDAM CENTURY』の広告には「宇宙翔そらかける戦士達」とルビが振られている。
  2. ^ a b 雑誌コード上はムック(雑誌コードの先頭が6)ではなく、月刊誌(雑誌コードの先頭が0)の別冊・増刊号(雑誌コードの末尾が偶数)として番号が付されている。
  3. ^ 『月刊OUT』1981年9月号増刊として出版されたため、通常の雑誌と同様に雑誌コードが振られ、奥付は裏表紙(及びブックカバーの裏表紙面)に記載されている。なお、復刻版の『GUNDAM CENTURY RENEWAL VERSION』は巻末に奥付が記載されている。
  4. ^ 『Gun Sight』の表記に関して、『Gun Sight』表紙・本文上では『GunSight』、背表紙(phase II)は『GUN SIGHT』、奥付は『GUNSIGHT』と表記ゆれがみられる。本項では『GUNDAM CENTURY』の製作スタッフ・リスト(174-175頁)の表記に基づく。
  5. ^ イラストレーターの青井邦男が「ホームセンターで買ったステンレス板、アルミ板を組み合わせ、サンドペーパーでヘアライン入れ、ドリルの刃を逆にしてお尻の部分を金属板に当て、刃の方を木槌で叩いてリベット表現を入れました。」と、後にTwitterで語っている(AoiKunioの2017年8月23日10:39のツイート- Twitter)。また、同じポジ素材が別のデザイナーによって浅田次郎の『プリズンホテル』(徳間書店ISBN 4-19-125083-3)の表紙にも使われている。
  6. ^ なお、表紙の金属板を作成するのに当時の価格で80万円掛かっている[2]
  7. ^ この黒文字だけはオフセットではない別の方法で後から印字されており、硬い物でこすると削れてしまう特徴があった。
  8. ^ このうち『Gun Sight』(phase 0とphase II)から設定されていたのはエネルギーCAP、Iフィールド、ミノフスキー・クラフト(名称除く)、ゲルググとギャンの関係、アッガイとザクの関係。
  9. ^ 『ガンダムセンチュリー』では、ジャブローの所在地をベネズエラ南部のサリサリニャーマと呼ばれる台地の地下としている。
  10. ^ 「グラフィック ジオン戦記」が23頁、「GUNDAM MECHANICS」が24頁の合計47頁。
  11. ^ 2018年12月12日に樹想社の通信販売で発売された、復刻版カバーの新装版は2,000円+消費税。
  12. ^ ミリバールからヘクトパスカルなど科学単位の変更、ZIONIC社からZEONIC社へのラテン文字表記の変更など。

出典

  1. ^ 『MSVジェネレーション ぼくたちのぼくたちによるぼくたちのための「ガンプラ革命」』54頁
  2. ^ 『MSVジェネレーション ぼくたちのぼくたちによるぼくたちのための「ガンプラ革命」』70頁
  3. ^ 「某誌編集部の一生」『月刊OUT』1982年6月号、60頁
  4. ^ 『機動戦士ガンダム―The Motion Picture』徳間書店〈ロマンアルバム・エクストラ 42〉、1981年5月30日。ISBN 4-19-720220-2 
  5. ^ 『MSVジェネレーション ぼくたちのぼくたちによるぼくたちのための「ガンプラ革命」』55頁
  6. ^ 『GUNDAM CENTURY』、15-17頁
  7. ^ a b c d 『GUNDAM CENTURY RENEWAL VERSION』、大徳哲雄による編集後記、176頁
  8. ^ GUNDAM OFFICIALS』刊行記念企画(対談・インタビュー)「6)森田 繁 ガンダムと設定とSFと





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