オルタナティブ教育 オルタナティブ教育の概要

オルタナティブ教育

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/20 06:47 UTC 版)

オルタナティブ教育方法の多くは、主流・伝統的な教育とは根本的に異なる哲学に基づいて発展したものである。ヨーロッパのシュタイナー学校やアメリカのホームスクールに見られるような非常に強い政治的、学術的、宗教的または哲学的な方向性を持つものがある一方、アメリカのチャーター・スクールに代表されるような既存の教育手法に不満のある教師や生徒が集まって作りあげた学校もある。教育選択肢には、公立校私立校無認可校(営利・非営利)、ホームスクールなど多岐に渡っているが、大部分が少人数クラス、教師と生徒との近しい関係、コミュニティー意識の三点に重きを置いている。

定義

オルタナティブ教育(代替教育)とは、特に幼児教育から中等教育の期間において、従来とは異なる新しい運営制度、進級制度、教育科目などを指す。多くは国や地方自治体の法律によらない私立校であるが、国や地方自治体の法律で認められている学校にもオルタナティブ教育に含まれるものがある[要出典]

なお、世界的にはカナダのセパレート・スクール(公立)、アメリカ合衆国のチャーター・スクールマグネット・スクール中高一貫校イマージョン校ギフテッド教育など)などがある。また、公立校でオルタナティブ校(特別支援教育など)という学校や、イギリスのパブリックスクール(名門進学校)を含むインデペンデント・スクール(私立)などはオルタナティブ教育を施す学校とされている。

ニューエイジの流れを汲むオルタナティブ教育の場合、従来とは著しく異なる哲学思想を持つことを意味する。教育手法に従事する者は、「生徒側の立場に立った」という意味をこめて、本当の(authentic)、全体的視野の(ホリスティック holistic)、進歩的な(Progressive)教育と表現することも多い。しかしこれらの言葉も異なる意味合いを持つことがあり、「オルタナティブ」に比べると意味が曖昧である。

オルタナティブ校(alternative school)という言葉は国あるいは経営者の意味するものによってニュアンスが大きく異なる。新手法を用いる前衛的な法律によらない無認可の学校や、エリート教育を施すものから、成績不振者や問題児のための学校など様々な形態を含む。詳しくはオルタナティブスクールの項目を参照。教育専門家は混乱を避けるために「オルタナティブ」という言葉を避け、非伝統的 (non-traditional)、非慣例的(non-conventional)、非標準的(non-standard)といった語句をまれに使うことがあるが、否定的なニュアンスや複数の意味を持つこともあり一貫していない。

日本におけるオルタナティブ教育

日本におけるオルタナティブ教育(代替教育)とは、学校教育法等の法的根拠を有さない非正規の教育機関とそこで実施される教育を意味する。具体的には、フリースクールデモクラティック・スクールサポート校インターナショナル・スクールなどの無認可校ホームスクーリング等をオルタナティブ教育と称する。 故に、学校教育法に定めのある一条校は、オルタナティブ教育たり得ない。また、私塾ではあっても、いわゆる学習塾/進学塾もオルタナティブ教育とは言わない。

日本のオルタナティブ教育はその中でも特に、

の上記二種類を示すことが多い。

日本においては、オルタナティブ教育だけでは正規の課程の卒業資格を認定されないので、上位校への入学資格を得る事は不可能。このため、通信制や定時制等による正規課程の履修を併用したり、文部科学省による卒業資格認定試験の受験が必要になる。


注釈

  1. ^ ラーマーとイリイチが、メキシコの研究所CIDOCにて「deschooling(脱学校(化)、非学校化)」を提起し、フレイレもそこに参画し、世界中へ広がった。
  2. ^ 日本では周郷博がオルターナティブ教育にいち早く関心を示し(『周郷博教育著作集』柏樹社)、イリイチに師事した山本哲士が教育批判を徹底して理論化している。山本哲士『教育の幻想 学校の幻想』(ちくま学芸文庫)、『教育の政治 子どもの国家』『<私>を再生産する共同幻想国家・国家資本』(共に文化科学高等研究院出版局)、山本は大学教師になる前に「オルターナティブ学習塾」を実行している(『学ぶ様式』新曜社)。フレイレは、小沢有作、里見実らが翻訳導入し、シュタイナーは子安美知子らが紹介した。

出典

  1. ^ Dictionary.com: alternative school(英文)
  2. ^ Amazon.co.uk Alternative Approaches to Education: A Guide for Parents and Teachers: Introduction P.3(英文)
  3. ^ "Alternative Schools Adapt," by Fannie Weinstein. The New York Times, June 8, 1986, section A page 14.(英語版記事の参考文献)
  4. ^ Massachusetts Department of Education: About Alternative Education(英文)
  5. ^ 国立教育政策研究所 社会教育実践研究センター:社会教育主事講習 生涯学習概論『外国の社会教育の歴史と動向』澤野由紀子
  6. ^ ノルウェー国公式サイト:教育と研究『ノルウェーのフォルケホイスコーレ』
  7. ^ 国立特殊教育総合研究所 知的障害教育研究部 平成13年度「生涯学習施策に関する調査研究」報告書 『ノルウェーにおける障害のある人の生涯学習』(pdf)
  8. ^ 韓国の代案教育の歩みと今後の課題 ―日本の代案教育との交流を通して―


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