オプション取引 価格

オプション取引

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/14 08:44 UTC 版)

価格

オプションの買い手が、売り手に支払うオプションの取得対価は、プレミアムオプション料オプション価格と呼ばれる。価格は下記のような多くの要因で日々変動する。

プレミアムは、オプションを現時点で行使した場合の利益(本質的価値)と、現時点から将来の権利行使日までの利益に対する、期待可能性(時間的価値)の和で表される。

プレミアム = 本質的価値 + 時間的価値

時間的価値と本質的価値

権利行使日までの残存日数が長いほど時間的価値が高い。時間的価値は、権利行使日までの残存日数が長いときはゆっくりと減り、権利行使日に近づく(およそ1か月以内)と急激に減る。イン・ザ・マネーのオプションには本質的価値がある。アット・ザ・マネーやアウト・オブ・ザ・マネーのオプションの本質的価値は0である。イン・ザ・マネーのオプションの本質的価値は、原資産価格とオプションの権利行使価格との差の絶対値である。オプションの価格から本質的価値を引いた額がオプションの時間的価値である。つまり、オプションの価格は時間的価値と本質的価値との和である。

本質的価値が時間的価値に比べてとても大きい場合は、オプション取引は原資産取引と変わらなくなってしまい、それならば原資産を取引した方が通常は良い。原資産の価格変動がそのままオプションの価格変動になるので、ギリシャ指標のΔは±1になる。

モデル

プレミアムの価格設定のために用いられるのが、オプション評価モデルであり、ヨーロピアンオプションに対して1973年に発表されたブラック-ショールズ方程式などがある。算出式はきわめて複雑で、計算方法を確立した数学者がノーベル賞を受賞している。

他には格子モデル二項価格評価モデルがある。

原資産価格と権利行使価格の関係

イン・ザ・マネー(in the money, ITM)
コールオプションの場合は 原資産価格 > 権利行使価格、プットオプションの場合は 原資産価格 < 権利行使価格 の状態を指す。本質的価値が存在する。例えば原資産価格15,500円のとき、権利行使価格15,000円のコールオプションは差額の500円をすでに価値として持っている。これを本質的価値という。
アウト・オブ・ザ・マネー(out of the money, OTM)
コールオプションの場合は 原資産価格 < 権利行使価格、プットオプションの場合は 原資産価格 > 権利行使価格 の状態を指す。本質的価値が存在しない。例えば原資産価格15,500円のとき、権利行使価格15,000円のプットオプションは本質的価値はない。しかし実際にはいくらかのプレミアムがつく。これはSQ算出日まで日数があるためで、これを時間的価値という。いわば期待値である。
アット・ザ・マネー(at the money, ATM)
原資産価格が権利行使価格付近にある状態をアット・ザ・マネーという。原資産価格と権利行使価格がちょうど等しいとき、時間的価値は最大である。

オプションを有する者は、権利行使日に権利行使価格が原資産価格よりも有利な状態であるイン・ザ・マネー(: in the money, ITM)ならば権利を行使し、原資産価格よりも不利な状態であるアウト・オブ・ザ・マネー(: out of the money, OTM)ならば権利を放棄し原資産価格で取引を行うことができる。権利行使価格と原資産価格が等しい状態はアット・ザ・マネー(: at the money, ATM)と呼ばれる。

価格を決める要素

価格は実際には買い方と売り方の需給で決まるのであるが、理論的には以下の要素で決まる。

  • 原資産価格:原資産の価格が上がるとコール・オプションの価格は上がり、プット・オプションの価格は下がる。原資産の価格が下がると、コール・オプションの価格は下がり、プット・オプションの価格は上がる。
  • 権利行使価格:コールもプットもアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)ならば権利行使価格に近づくほど高くなる。逆に権利行使価格から離れるほど低くなる。イン・ザ・マネー(ITM)に入ると逆になる。
  • SQ算出日までの時間:SQ算出日までの時間があればあるほど、原資産が権利行使価格に達する確率が高くなるので、コール・プットともに高くなる。
  • 無リスク金利
  • 原資産の配当
  • インプライド・ボラティリティ (IV):ボラティリティとは、原資産の変動の激しさの度合いである。インプライド・ボラティリティ(予想変動率)は、オプションの行使の可能性と連動すると考えられており、インプライド・ボラティリティが高くなるとオプションの価格は上がり、インプライド・ボラティリティが下がるとオプションの価格は下がる。これ以外の上記要素とボラティリティでプレミアムの理論価格が決定される。逆に上記要素を考慮し、プレミアムから逆算した値がインプライド・ボラティリティである。これは投資家が予測している今後の原資産の変動の激しさの度合いといえる。過去の原資産の変動の度合いは「ヒストリカル・ボラティリティ」と呼んで区別する。

先物取引の場合は、このうち、原資産価格、無リスク金利、原資産の配当の3つにより価格が決まる。


注釈

  1. ^ ただしこれ以外にも、2.で(特にアウト・オブ・ザ・マネーの)オプションを単独で売り立てたような場合は、原資産価格が動かなくても利益が得られることがある。

出典







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