エスノローグ エスノローグの概要

エスノローグ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/15 05:37 UTC 版)

エスノローグEthnologue: Languages of the World, 民族語の意)は、キリスト教系の少数言語の研究団体国際SILの公開しているウェブサイトおよび出版物。2005年に発表された第15版では、世界の言語6912について話者数、分布、方言、系統、聖書の翻訳の有無などを掲載している。言語に関する目録としては Linguasphere Observatory に次ぐ規模であるが、一部の言語では記述が古いままである。

2015年12月1日、ウェブサイトはこれまでの全面無料公開の方針を転換し、コンテンツの無料閲覧が可能な回数に制限を設け予約購読制とした[1]。つづいて2019年10月26日、言語名などごく一部の情報や特集記事を除き、内容の閲覧が完全有料制となった[2]。会費を払うほか、一定の契約のもとで加筆修正に協力することで閲覧権を得ることができる[3]

SILコード

エスノローグは1984年に、SILコード (SIL code) と呼ばれるアルファベット3字の言語の略号を発表した。分量は当時の ISO 639-1rfc3066 を大きくしのいでいた。2000年の第14版で7148言語のコードを発表したが ISO 639-2 と整合しないものであった。2002年ISO は SIL との間で対応付けに関する協議を設け[4]、SILコードの分類を反映させた ISO 639-3 を共同で開発した。この過程で、第14版と第15版のSILコードの間では、一部の言語に関してコードの変換が必要となった[5]。第15版のSILコードは ISO 639-3 に準拠しており、7299言語を収録している[5]。2024年2月時点の第27版[6]は現存の7164言語を取り扱う[7]

批判

学術上の論争

エスノローグでは、言語学者や一般の人の理解と異なる分類を載せることがある。例えば、エスノローグは、日本で使われている言語として日本語日本手話アイヌ語とともに、喜界語北奄美大島語南奄美大島語徳之島語沖永良部語与論語国頭語中央沖縄語宮古語八重山語与那国語といった言語を多く挙げている[8][9]。しかしこれらの言語は、一般的には琉球語(琉球方言)の諸方言とみなされている[10]。また多数の分類を行った国際SIL自体も、方言であるとの意見を排除しないと表明している。

研究動機や設立の経緯に対する批判

エスノローグの言語学面での功績を賞賛しつつも、活動の動機について強い批判を寄せる意見もある。上述の通り、国際SILはキリスト教系の団体であり、純粋に言語学的な活動というよりも宗教的な側面があると指摘される[11]

脚注

  1. ^ Ethnologue launches subscription service”. 2016年1月2日閲覧。
  2. ^ Changes at Ethnologue.com”. 2019年11月27日閲覧。
  3. ^ Contributor Program”. 2019年11月27日閲覧。
  4. ^ Peter Constable and Gary Simons, Mapping Between ISO 639 and the SIL Ethnologue: Principles Used and Lessons Learned, SIL International (2001)
  5. ^ a b Updating Codes from the 14th Edition to the 15th Edition [14版から15版へコード設定の更新]”. web.archive.org (2006年12月14日). 2006年12月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年9月8日閲覧。
  6. ^ Simons, Gary (2024-21-24). “Welcome to the 27th edition”. web.archive.org. Ethnologue Free. 2024年5月26日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年9月15日閲覧。
  7. ^ About the Ethnologue”. 2016年1月1日閲覧。
  8. ^ Ethnologue report for Japan, Ethnologue (2015)
  9. ^ How many languages are there in the world?, Ethnologue (2020)
  10. ^ 亀井孝河野六郎千野栄一 編著 『言語学大辞典セレクション 日本列島の言語』 三省堂 (1997)
  11. ^ マーク・エイブリー著 『「消えゆくことば」の地を訪ねて』白水社

関連項目

外部リンク




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