イラン・イスラーム共和国鉄道 ネットワーク

イラン・イスラーム共和国鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/13 22:34 UTC 版)

ネットワーク

イランの鉄道網は、テヘランを中心として、テヘランと南東部を除く各地方を結ぶ。イランが、現況機能/あるいは潜在的に機能しうる、大陸の東西南北輸送路の十字路に位置していることは重要である。鉄道は西方においてラーズィー英語版キャプキョイトルコ語版国境からトルコへ通じ、北方では台車交換設備をもつ国境のジョルファー駅を経由して、アゼルバイジャンからカフカスそしてロシアへと通じる。南方にはテヘランからバンダレ・エマームバンダレ・アッバースなどのペルシア湾港市へと連絡、カスピ海方面にはアミーラーバード、バンダレ・トルキャマンを終着とする路線が延び、両者はスカンジナビアからロシアを経由しイランに至る南北路を形成する。北東にはテヘランからマシュハドへの路線が延び、さらにサラフスの台車交換設備を経由して中央アジア方面に続く。この路線はトルクメニスタンウズベキスタンタジキスタンキルギスカザフスタンなどの内陸国に海への経路を提供する。マシュハド-バーフグ線の開通は中央アジア方面からバンダレ・アッバースへのアクセスを劇的に短絡化したものといえる。

中央アジア連絡

イランの鉄道は1977年トルコ国境でのヨーロッパ側鉄道システムへの接続、1993年ペルシア湾への接続を実現したバンダレ・アッバース線の開通、1996年の内陸国たる中央アジア諸国へと続く「シルクロード鉄道」(アジア横断鉄道)の一部をなすマシュハド・サラフス支線の開通など拡張が著しい。中央アジアの旧ソ連諸国は広軌を用いているため、イラン鉄道はアゼルバイジャンおよびトルクメニスタン国境に台車交換施設を設置している。列車は広軌の台車を履いて国境を越えることになる。2016年2月15日には初の中国からの貨物列車がテヘランに到着した[3]

イラク、シリア、アフガニスタンへの延長

建設中の路線として、イランと南部イラクを結ぶホッラムシャフルバスラ間、および北部イラクを結ぶケルマーンシャーバグダード間がある。またアフガニスタン方面では東部においてハヴァーフからヘラートに向かう路線が建設中である。

標準軌によるヨーロッパ連絡

西に向かいトルコにはいる路線はヴァンで終わり、対岸タトヴァン英語版(タトバンまたはタトワンとも)まで区間90kmの鉄道連絡船で、標高1650mに位置するヴァン湖を渡る。この標準軌ルートはさらにアンカラを経て、マルマラ横断トンネルを抜けてヨーロッパに至る。

パキスタンへの連絡

パキスタンへの連絡としてザーヘダーンからクエッタに至る路線に接続するため、ケルマーンから東進してザーヘダーンまでの路線が建設され、2009年6月に完成した。2012年現在、週に2本の連絡列車が運行されている[4]。この路線はインド亜大陸とヨーロッパを結ぶ鉄道における最後の欠片区間であり、ザーヘダーン南方において台車交換駅施設が建設中であるが、イラン鉄道は、ヨーロッパへの国際輸送の円滑化のためにクエッタまでの路線を標準軌に改軌するよう求めてパキスタン鉄道の説得を目指している。パキスタンはこれに対し、2006年の声明で1435mm標準軌へと改軌し、さらに中国の標準軌系との接続も目指すとしている。


  1. ^ Privatizing Railways” (英語). Iran Daily (2006年12月30日). 2007年1月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年7月29日閲覧。
  2. ^ Iran Manufactures 1st Express Train” (英語). Iran Daily (2007年2月3日). 2007年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年7月29日閲覧。
  3. ^ 中国貨物列車のイラン到達は一帯一路の大きな一歩2016年3月3日
  4. ^ 地球の歩き方パキスタン新版


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