イラン・イスラーム共和国鉄道 イラン・イスラーム共和国鉄道の概要

イラン・イスラーム共和国鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/13 22:34 UTC 版)

イランの鉄道路線網

歴史

19世紀後半、ナーセロッディーン・シャーの時代にテヘラン南郊に短区間の馬車鉄道が開設されたのを嚆矢とする。この路線はのちに蒸気機関車牽引となり、1952年に廃線となった。

長距離のものとしては1914年タブリーズ・ジョルファー間146kmが開通し、さらにスフィーヤーン・シャラフハーネ間53kmが1916年に、ミールジャーヴェ・ザーヘダーン間93kmが1920年に開通している。

イラン縦貫鉄道が開通したのは1939年のことである。この路線は全長1392km、カスピ海のバンダレ・トルキャマンとペルシア湾バンダレ・エマーム・ホメイニー(旧称バンダレ・シャープール)を結ぶ。1941年英ソのイラン侵攻以降、イラン縦貫鉄道の担うペルシア回廊は、第二次世界大戦におけるソビエト連邦への戦時物資供給路となった。

難工事

イラン縦貫鉄道は多くの山脈を通過し、ループ線制限勾配36分の1区間が各処に見られる。建設開始時にはほとんどの区間で地図が作成されておらず、地質学的に未知の部分が多かった。そのためトンネルをふくむ数区間は、地質の不適合のため開通を目前にしても路線変更が必要となったのである。このような状況にもかかわらず、路線全体としては計画よりも早期に完成している。

運用

2007年現在、IRの管轄下にある路線の総延長は7,334kmである。うちほとんどが軌間1,435mmの標準軌区間である。ザーヘダーンからパキスタン国境を越えてクエッタインド亜大陸へと続く東部94kmの軌間は1,676mmである。複線区間は1,367.5km。電化区間はジョルファー・タブリーズ間の148kmのみが交流15kV・50Hzで電化されている。2007年現在、IRの所有する車輛は機関車283両、客車1,195両、貨車21,633両と報告されており、機関車の大部分はディーゼル機関車である。

イランの交通において大多数を占めるのは道路交通であるが、政府は鉄道輸送の割合を旅客輸送において3.5%、貨物輸送において8.5%まで増加させることを計画している。これにともない広範囲にわたる電化とネットワークの拡張が計画されており、交通省によれば年間延長500kmずつ建設するとされている。

関連組織

  • ラジャー旅客鉄道はイラン・イスラーム共和国鉄道の関連会社として、テヘランイスタンブールダマスクスを結ぶ国際列車を含む旅客列車を運行管理する。また鉄道輸送会社はIRの子会社で貨物輸送を担当し、これらをイラン交通省が国家機関として監督する。ラジャー旅客鉄道は2003-5年で400万人以上の旅客を輸送、鉄道の乗客は2005年3月におわる1年で1730万人であり、2000年の1170万人に比べて増加している。
  • ザランド社は国有鉄道に貨物および旅客車輛を提供している[1]
  • イラン・イスラーム共和国鉄道、イラン発電所計画機構(MAPNA)、独シーメンス社は旅客列車用機関車150台の製造契約に調印をしている。契約によるとシーメンスが第1段階で約30台の機関車をイランへ輸出、その後6年間の第2段階でイラン国内の専門家によって、国内でさらに120台を製造するというものである[2]

  1. ^ Privatizing Railways” (英語). Iran Daily (2006年12月30日). 2007年1月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年7月29日閲覧。
  2. ^ Iran Manufactures 1st Express Train” (英語). Iran Daily (2007年2月3日). 2007年2月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年7月29日閲覧。
  3. ^ 中国貨物列車のイラン到達は一帯一路の大きな一歩2016年3月3日
  4. ^ 地球の歩き方パキスタン新版


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