アカネ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/22 22:48 UTC 版)
栽培
日当たりを好む性質であるが、夏場は半日陰がよい[6]。繁殖は種蒔きか株分けによって行われ、3 - 4月または、9 - 10月頃が適期である[6]。
ただし、庭などに生え雑草扱いされることから、家庭では一般に栽培させることはない[6]。
アカネの文化
日本では上代から赤色の染料として用いられていた。日本茜を使って鮮やかな赤色を染める技術は室町時代に一時途絶えた。染色家の宮崎明子が1997年にかけて、延喜式や正倉院文書などを参考にして、日本茜ともろみを併用する古代の染色技法を再現した[11]。ヨーロッパでも昆虫学者のジャン・アンリ・ファーブルがアカネ染色法の特許を取るなど、近代まで染料として重要視されていた。
和歌でも「茜さす」のように明るさを強調する枕詞に用いられて詠まれ、万葉名では茜、茜草、赤根、安可根のように書かれる[8]。アカネが登場する歌は13首あり[12][13]、そのすべてが「紫」「日」「月」「照る」「昼」にかかる枕詞である[8]。天智天皇の妃であった額田王が、かつての夫大海人皇子(天武天皇)に向けて詠んだ一首[12]が良く知られる[8]。
ギャラリー
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アカネの実
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インドアカネ (Rubia cordifolia)
参考文献
- 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、176頁。ISBN 4-09-208016-6。
- 耕作舎『ハーブ図鑑200』アルスフォト企画(写真)、主婦の友社、2009年、8頁。ISBN 978-4-07-267387-4。
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『草木の種子と果実』誠文堂新光社〈ネイチャーウォッチングガイドブック〉、2012年9月28日、82頁。ISBN 978-4-416-71219-1。
- 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光社、1996年9月27日、12頁。ISBN 4-416-49618-4。
- 内藤俊彦『秋の花』北隆館〈フィールド検索図鑑〉、1995年9月1日、206頁。ISBN 4-8326-0371-X。
- 山田孝彦、山津京子『万葉歌とめぐる野歩き植物ガイド』(初版)太郎次郎社エディタス、2013年8月15日、59頁。ISBN 978-4-8118-0762-1。
関連項目
- 茜色
- 緋色
- 纁
- 赤坂 (東京都港区) - アカネが群生していたことから、古くは『茜坂』と呼ばれていた。
- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rubia argyi (H.Lév. et Vaniot) H.Hara ex Lauener et D.K.Ferguson”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年5月3日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rubia akane Nakai”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年5月3日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Rubia cordifolia L. var. mungista Miq.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年5月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 内藤俊彦 1995.
- ^ a b c d e f g 貝津好孝 1995, p. 176.
- ^ a b c d e f g h i 耕作舎 2009, p. 8.
- ^ a b c d e 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 82.
- ^ a b c d e 山田孝彦 & 山津京子 2013.
- ^ a b c d e 馬場篤 1996.
- ^ 稲垣栄洋『残しておきたいふるさとの野草』三上修(絵)、地人書館、2010年4月10日、51頁。ISBN 978-4-8052-0822-9。
- ^ 日本経済新聞2016年12月1日文化欄「日本茜 格別の赤染める◇室町時代に途絶えた古代技術 栽培から織機まで再現◇」
- ^ a b あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る 額田王 萬葉集1巻20
- ^ あかねさす日並べなくに我が恋は吉野の川の霧に立ちつつ 車持千年 萬葉集6巻916
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