らせん (鈴木光司の小説) 作品解説

らせん (鈴木光司の小説)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/16 20:37 UTC 版)

作品解説

遺伝子学の要素が「呪いのビデオ」の謎として効果的に使用されており、前作のオカルトホラー色は後退しSFサスペンスといった雰囲気が強い。さらには前作で得体の知れない恐怖の象徴であった山村貞子についても、「ある人物」と結託して人類抹殺の陰謀を巡らせる「知的な悪女」的な描かれ方をしており、クライムサスペンスの雰囲気も併せ持つ。

書誌情報

なお、梶山はる香のナレーションで、Audibleにてデータ配信として2016年6月にオーディオブック化されている。

映画

らせん
監督 飯田譲治
脚本 飯田譲治
原作 鈴木光司
製作総指揮 原正人
河井真也
一瀬隆重
仙頭武則
出演者 佐藤浩市
中谷美紀
松嶋菜々子
真田広之
音楽 池頼広
撮影 渡部眞
編集 阿部浩英
配給 東宝
公開 1998年1月31日
上映時間 97分
製作国 日本
言語 日本語
配給収入 10億円[2]
前作 リング
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1998年1月31日に公開された。デュアル・ホラームービーを銘打ち、前作に当たる『リング』と同時上映された。かつて1995年の単発ドラマ版『リング』の脚本を担当した飯田譲治が、監督と脚本を担当している[3]。物語は映画独自にアレンジされた部分もあるものの、大筋では原作のストーリーをなぞるものとなっている。

キャッチコピー

  • あいつは死んだはずなのに。
  • その謎は「リング」に始まり、その恐怖は「らせん」につながる。(リングと併せて)

キャスト

スタッフ

作品解説

本作では二本立てのホラー映画であることを前面に据えた宣伝が行われたが[4]、同時上映の『リング』が観客を怖がらせる作品作りに徹しているのに対し[5]、本作『らせん』はあまり「脅かし映画」にはしない方針で制作された[4]。監督と脚本を担当した飯田は、原作小説の「呪いを科学する」というコンセプトに惚れ込み[4]、その骨子に忠実な作りを志向し、原作者の意図を汲むようにと心がけたという[4]。ただしその内容に対しては、やや説明不足気味であったという評価もある[6]

一方で『リング』に続く新たな続編の映画『リング2』は、本作で死亡した登場人物が異なる運命を辿るなど、本作『らせん』とは繋がりのないパラレルワールド的な内容として制作されている。

2012年に公開の『貞子3D』は本作の設定上の続編。

参考

  • 遊園地のシーンで、原作者の鈴木光司が家族連れとしてカメオ出演している。(46'22"~26")

パッケージソフト

  • DVD「らせん〈期間限定生産〉」 2005年3月2日発売。ポニーキャニオン。

テレビドラマ

フジテレビ系列1999年7月1日から9月23日にかけて放送された。全13回、平均視聴率13.3%。人物氏名と一部の設定以外は原作から離れたオリジナルストーリーで、フジテレビが前年に製作した連続ドラマ『リング〜最終章〜』の直接の続編として製作されたオカルト風ドラマ。主演は岸谷五朗

主人公の安藤は医師ではなく、学校の教師で、原作最大の特徴だった医学的な見地からの展開という要素はなくなり[7]、前半はノストラダムス現象などのオカルト要素を、後半はスタンフォード監獄実験の逸話をベースにおいた独自のストーリーを展開した。原作の完結編『ループ』の要素も一部導入されている。前作の矢田亜希子木村多江などが同役で連投。結末は一連のシリーズの完結編的な独自の内容で描かれている。

キャッチコピー

  • あなたも貞子から逃げられない。

キャスト

スタッフ

主題歌

受賞歴

サブタイトル

各話 放送日 サブタイトル 脚本 演出 視聴率
第1話 1999年7月1日 貞子の復讐 リングを超える恐怖 蒔田光治 木下高男 15.1%
第2話 1999年7月8日 死者は井戸を見る 15.0%
第3話 1999年7月15日 私が私を殺しに来る… 田中一彦 西谷弘 13.4%
第4話 1999年7月22日 死者が蘇る…伝説の村へ 蒔田光治 木下高男 13.2%
第5話 1999年7月29日 この部屋に、悪魔がいた 西谷弘 14.0%
第6話 1999年8月5日 もう誰にも止められない 田中一彦 木下高男 13.3%
第7話 1999年8月12日 貞子を作った男 蒔田光治 西谷弘 12.1%
第8話 1999年8月19日 二度死ぬ子供… 木下高男 13.6%
第9話 1999年8月26日 憎悪のリングが完成する 田中一彦 西谷弘 11.8%
第10話 1999年9月2日 囚人は看守に殺される 蒔田光治 都築淳一 13.1%
第11話 1999年9月9日 予言者は殺される 田中一彦 木下高男 12.0%
第12話 1999年9月16日 明日、世界は破滅する 蒔田光治 西谷弘 15.0%
最終話 1999年9月23日 永遠に生きるもの 木下高男 11.0%
平均視聴率13.3% (視聴率は関東地区ビデオリサーチ社調べ)
フジテレビ 木曜劇場
前番組 番組名 次番組
らせん

  1. ^ 作者の鈴木は「前作がそこそこの評価を得たのに気をよくし、二匹目のどじょうを狙って続編を書いたのではない。企画自体は『リング』が出版される以前からあり、シノプシスの段階で企画会議を通ってしまったのだ」(「単行本あとがき」)などと述懐し、作品間の連続性に力点を置いている。
  2. ^ 1998年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  3. ^ リング研究会1998年、101頁。
  4. ^ a b c d リング研究会1998年、102頁。
  5. ^ リング研究会1998年、77-78頁。
  6. ^ 映画 らせん (1998)”. allcinema. スティングレイ. 2011年9月23日閲覧。
  7. ^ 前作『リング〜最終章〜』で原作『らせん』の要素が組み込まれ、リングウイルスや冠動脈肉腫などの医学的な死因解明の要素が既に一部使用されている。
  8. ^ 当時はAKB48への加入・メンバーとしての活動を経て女優に転身する前で子役として活動していた。


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