ぷよぷよSUN
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 01:27 UTC 版)
ストーリー
闇の帝王であるところのサタンは、雑誌の「肌を小麦色に焼いてギャルにもてもて」といった言葉が踊る南国ツアーの記事を読み返しつつ、「今まではモテるための営業努力が足りなかった」と悟る。しかしその時は日焼けの出来るような季節ではなかったため、サタンは南国ツアーへ行くよりも、その場にいながら日焼けをすることを選び、周りの迷惑もかえりみず太陽を巨大化させてしまう。
これにより、世界は突如昼夜を問わず太陽が照り続けるようになり、アルルは太陽が巨大化した原因と思われる怪しいビームが出ている城を目指して[6]世界を元に戻すべく立ち上がる。別の場所では、誰よりも愛する闇夜を奪われたシェゾが事の張本人に復讐すべく旅立つ。その一方で、ドラコは突然いい天気になったことに機嫌を良くし、暢気にも日光浴に出かけようとしていた。
登場キャラクター
- 主人公(対戦キャラクターとしても登場)
- ドラコケンタウロス(やさしい)、アルル・ナジャ(ふつう)、シェゾ・ウィグィィ(むずい)
- 前作までの対戦キャラクター
- スケルトン・T、ハーピー、インキュバス[注釈 17]、すけとうだら、のほほ、ウィッチ、ぞう大魔王、ルルー、 サタン
- 本作からの対戦キャラクター
- ちょっぷん、キキーモラ、コドモドラゴン、ハニービー、勇者ラグナス・ビシャシ、カーバンクル
- ゲームボーイ版での復活キャラクター
- スキュラ、ふたごのケットシー、うろこさかなびと、ミノタウロス
「ふたりでぷよぷよ」では使用するキャラクターを自由選択できるが、連鎖ボイスや演出などが異なるのみで、基本的に性能自体の差はない。また演出についてもオプションで変更できる。ボスキャラクターのサタンとカーバンクルはほとんどの機種で隠しキャラクター扱いとなっており、隠しコマンドで使用できる。ゲームボーイ版ではボス2体と追加の4体を含む全キャラクターを最初から選択できる。
ゲームボーイ版以外では上記の他にサブキャラクターとして漫才デモやなぞぷよにミノタウロス、オープニングムービーとのほほ戦の漫才デモ背景のみパキスタが登場している。ゲームボーイ版のタロットではジャァーン、ももも、マンドレイク、パノッティが描かれたものがある。
ドラコケンタウロスは登場以来、本作で初の主人公となる。勇者ラグナス・ビシャシは本作で初登場のオリジナルキャラクターとなっている。カーバンクルはこれまでの『ぷよぷよ』シリーズではマスコットとして登場していたが、本作で初の対戦キャラクターとなった。その他の本作からの新キャラクターは、前作までとは異なり『魔導物語1-2-3』以外からの出典となっており、キキーモラはPC-98版『魔導物語 道草異聞』より、ちょっぷんはゲームギア版『魔導物語III 究極女王様』より、コドモドラゴンとハニービーはPC-98版『大魔導戦略物語』よりとなっている。ゲームボーイ版におけるうろこさかなびとは、ゲームボーイカラーやゲームボーイアドバンス、ニンテンドーゲームキューブの周辺機器ゲームボーイプレーヤーなどを使用した際のフルカラー表示では、前作同様の青系統の配色(後のシリーズにおいてセリリという個人名が付けられている方)である。
声優
ほとんどが当時のコンパイル社員、もしくはコンパイルの自社オーディションによって選ばれた声優を起用している。
以下の2名は過去にオーディションで選ばれ、PS版『ぷよぷよ通決定盤』から起用された声優をそのまま継続使用している。
以下の3名は本作のオーディションで選ばれ、N64版『ぷよぷよSUN64』以降より旧担当者から差し替える形で新たに起用されている。この3名は『わくわくぷよぷよダンジョン』やSS版『魔導物語』、ディスクステーション収録のアニメーションなどにも継続して登板している。
- 藤田圭宣(現:織田圭祐) / スケルトン-T(N64版以降)
- 小竜(こたつ、現:川畑竜也) / インキュバス(N64版以降)
- 浅葱のあ(あさぎ - ) / ルルー(N64版以降)
以下は当時のコンパイル社員が担当。前作にも登場していたキャラクターの殆どは、PS版『ぷよぷよ通決定盤』と同じ声優が継続使用されている(前作のクレジットには明記されていない)。
- MOO仁井谷(仁井谷正充) / サタン(セガ発売のPS廉価版・ゲームアーカイブス版を除く)
- 姫月あやめ(きづき - ) / ドラコケンタウロス、コドモドラゴン、カーバンクル
- RIU / ハーピー
- セニョール河北( - かわきた)(スタッフロールでは「河北健二」(- けんじ)名義) / ちょっぷん
- 秋山泰俊SSS(あきやま やすとし - ) / すけとうだら、ぞう大魔王
- さかなやさん / キキーモラ、勇者ラグナス・ビシャシ
- KEROL(ケロル) / のほほ
- のだぽん・野田純子(のだ すみこ) / ウィッチ
- けみ / ハニービー
- むらさき朱 / ミノタウロス(『ふつう』ルルー戦の漫才デモに登場する)
- ガッツ中松( - なかまつ) / スケルトン-T(AC・SS版のみ)
- 橘黄昏(たちばな たそがれ) / インキュバス(AC・SS版のみ)
- さるかいかい / ルルー(AC・SS版のみ)
セガ発売のPS廉価版・ゲームアーカイブス版のサタンの声優については、公表されていないため不明。
開発
本作のサブプログラマを務めたわあくん本田によると、当初は別作品の企画だったが、紆余曲折の末にぷよぷよの新作になったとされている[7]。 だが、ゲームシステムは『ぷよぷよ通』でほとんど完成してしまったため、開発チームは同作との区別化に思い悩んだ末、太陽ぷよの導入を決定した[7]。 また、開発チームのメンバーはわあくん本田も含め家庭用ゲーム機の開発が初めてだった者が多かったものの、メインプログラマ[注釈 18]らの活躍により、短い制作期間の中で完成させることができた[7]。
開発(ゲームボーイ版)
オリジナル版の企画立案者のかむきひが語ったところによると、本作の各機種への移植作業は次回作『ぷよぷよ〜ん』と同時進行で行われており、本作の移植版で使えそうなアイデア(例:とことんなぞぷよ、リプレイ機能)は移植版へ採用された[8]。
このうち、ゲームボーイへの移植計画は1998年4月21日に開始した。 同作は1998年末に投入する予定であり、5か月間の開発期間が設定されていたが、ゲームボーイ用ソフトの開発機材が全くないという問題があった。 プロジェクト始動直前の1998年3月18日に、コンパイルは広島地方裁判所へ和議申請を行い[9]、1度目の経営破綻を迎えていた。このため、同業他社からの貸借も検討されたが、最終的には任天堂から購入した[注釈 19]。
加えて、ゲームボーイ版の開発スタッフたちは前作『ぽけぷよ通』との差別化が最大の課題であると企画当初から認識しており、本作最大の目玉である「攻撃カットインディスプレイ」はゲームボーイで再現できないことから、かむきひからも「ぷよぷよSUN」というタイトルはやめるべきだというアドバイスが寄せられていた[5]。 一方、社長の仁井谷正充や営業販促担当を交えた会議では「ぷよぷよSUN」というタイトルは問屋側にとって十分魅力があるという意見が寄せられていた[5]。 あかままさおをはじめとする開発スタッフたちは、「対戦要素のある『なぞぷよ』」などの企画を用意したものの、「攻撃カットインディスプレイ」と比べると押しに弱いと考えていた[5]。
開発期間が残り3か月となったところで、開発スタッフの一人であるあかままさおは任天堂の技術説明会で目にしたゲームボーイカラーに惹かれ、ゲームボーイ版のカラー化と『ぽけぷよ通』との通信対戦対応を目玉にすることを決断した[5]。ゲームボーイカラー用ソフトの開発機材を入手し、企画仕様を大幅に変更したうえで、作業スケジュールもカラー化を組み込んだ[5]。 これにより「認定証イラスト」が追加された一方、ポケットプリンタへの対応は見送られた[5]。
その後、テストプレイが始まった矢先、おじゃまぷよと黄色ぷよの見分けがつかないという声が寄せられた。どちらも黒色で縁取られていたことから、おじゃまぷよのデザインを変更した[5]。このため、おじゃまぷよは取扱説明書と実際の画面上でデザインが異なっている[5]。
マスターROMができた時点では、当初の提出予定日から1日超過していたが、コンパイル側のテストプレイチームから進行ができなくなるバグが見つかったことをきっかけに、マスターROMの差し替えが2回行われた[5]。
注釈
- ^ この要素は、『ぷよぷよ! Puyopuyo 15th anniversary』以降の作品にも適用されている。
- ^ すなわち、相殺をすることによって相手の攻撃を必ず保留できるようになった。
- ^ アーケード版のオープニングと交互に流れる。PS版も同様。
- ^ アーケード版のオープニング・エンディング・プレイリザルト・カーバンクルの乱入効果音がこれに該当。これらのBGMはサウンドテストでは、CD-DA音源で流れる。
- ^ 「ドラコの休日」のちょっぷん戦、「アルルの冒険」のキキーモラ戦、サタン戦、「シェゾの逆襲」のコドモドラゴン戦など。
- ^ ただし、セガサターン版でふきだしが表示されていなかった台詞やデモ中の効果音が、一部カット・変更されている。
- ^ コンパイル版では当時コンパイルの社長だった仁井谷正充
- ^ コンパイル版ではGB版を除いて、それぞれの機種の本体の画像が存在した。
- ^ 他機種版で漫才デモ時やプレイリザルト、「むずい」のエンディングの前半に流れていたBGMなどが該当。
- ^ 『BEEP! メガドライブFAN2』での開発者の秘話によれば、当初はアーケード版などと同様の「ひとりでぷよぷよ(ストーリーモード)」も搭載される予定だったが、CPUの思考ルーチンを再現出来なかったなどといった諸事情から没となり、対人戦専用で搭載される形となったことが明かされている。
- ^ なお、ボイスはアーケード版のものではなく、N64版以降のものが流用されている。
- ^ ゲーム開始からサタンを倒すまで、1度もコンティニューせずにクリアした場合のみ出現。
- ^ ゲーム開始からサタンを倒すまでに、累計20回以上コンティニューしていた場合のみ出現。携帯電話アプリ版ではこれに加えて、1度もコンティニューせずにクリアした場合でも出現する。
- ^ SS版・N64版・PS版・Win95版はオプションの設定により、1P側をアルル、2P側をシェゾに固定する事が可能で、この場合はキャラクター選択がカットされる。
- ^ 「ひとりでぷよぷよ」の乱入戦は、通常ルールで固定となる。
- ^ キャラクターは、サタン・カーバンクル以外からランダムで選ばれる。ただし、プレイヤーが選択したキャラクターと重複する事はない。
- ^ 通ではSS版からの追加キャラクターで、一部機種のみに登場する。
- ^ わあくん本田はコンパイル公式ホームページのコラムの中で、この人物を「M」と呼んでいる[7]。
- ^ 開発スタッフの一人・あかままさおはコンパイル公式ホームページのコラムの中で、購入時期について、FIFAワールドカップで日本代表の予定落ちが確定したころだと説明している[5]
出典
- ^ “Puyo Puyo Sun(SegaSaturn)”. 2014年11月26日閲覧。
- ^ “Puyo Puyo Sun Ketteiban(PlayStation)”. 2014年11月26日閲覧。
- ^ 「仁井谷社長インタビュー」『ぷよぷよSUN決定盤 公式ガイドブック』コンパイル、1998年1月1日、102頁。ISBN 978-4-906659-03-6。
- ^ 『コンパイルクラブ』77号。[要ページ番号]
- ^ a b c d e f g h i j k 開発者の声「あかままさお」さん - ウェイバックマシン(2001年7月16日アーカイブ分) - 2022年1月8日閲覧。
- ^ 『ファミ通』 No.423、アスキー、1997年1月24日、206-208頁。
- ^ a b c d 開発者の声「わあくん本田」さん - ウェイバックマシン(2001年7月16日アーカイブ分) - 2022年1月8日閲覧。
- ^ 開発者の声「かむひき」さん - ウェイバックマシン(2001年4月8日アーカイブ分) - 2022年1月6日閲覧。
- ^ “コンパイルが広島地裁に和議申請、今後はイベントを縮小しゲーム制作を柱に”. ASCII.jp. 角川アスキー総合研究所 (1998年3月19日). 2022年1月8日閲覧。
- ^ a b “波乱万丈の『ぷよぷよ』30年の歴史を振り返る──社会現象になるほど大ヒットするも、経営破綻で権利がセガに。思い切って世界観を一新したのが功を奏し、ついにはeスポーツ化へ”. 電ファミニコゲーマー – ゲームの面白い記事読んでみない? (2021年11月16日). 2021年11月16日閲覧。
- ^ ぽけっと ぷよぷよSUN まとめ (ゲームボーイ) / ファミ通.com
- ^ a b c d e “Puyo Puyo Sun64”. IGN (1997年12月30日). 2018年7月24日閲覧。
- ^ a b c d e f 電撃NINTENDO64 1997年12月号 125ページ
- ^ a b “上坂すみれ、人生ベストゲームは『ぷよぷよSUN決定盤』!「自分の萌えるキャラクターの雛形がすべてこのゲームに詰まっている」 - music.jpニュース”. music.jp (2021年4月15日). 2022年1月8日閲覧。
- ^ 『【一曲のみ】ボツBGM【ぷよぷよSUN】』2009年2月28日 。2022年1月29日閲覧。
- ^ DiscStation Vol.15、コンパイルクラブ70号
固有名詞の分類
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