初任給
初任給
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/23 07:19 UTC 版)
概要
それまで家族の扶養のもとで学生生活を行っていた人が、そこから自立し、自活するようになる第一歩の象徴であり、初任給を受け取ることは一種の通過儀礼ともいえる。それまでの感謝の意味をこめて、初任給を使って家族に贈り物をする人も多い。
日本における初任給の金額は、学歴と職種による変動はあるものの、個人の能力などによる差は少ない。そのため、職種ごとの給与水準や、時代ごとの物価水準を比較するための指標としてもしばしば用いられる。この場合、通常、最初の1ヶ月(新卒入社の場合は4月分)の労働の対価として支払われる月給の額を用いる。
初任給は住民税が引かれておらず、翌年6月から税金が控除されると給料の手取り給与(差し引き支給額)が少なくなるので2年目以降の手取り給与が初年度のそれより減額となる場合が多い。
調査による初任給の実態
令和7年賃金構造基本統計調査によれば、10人以上の常用労働者(雇用期間が1か月以上又は期間が定められていない労働者)を雇用する民間事業者の初任給は通勤手当を含めた金額であるが、大学卒で約26万2,300円、大学院卒(修士卒と博士は約29万9,000円、短大・高専卒で約23万5,500円、高校卒で約20万7,300円程度とされている。
また、同じ大卒でも産業別で見た場合は、「鉱業,採石業,砂利採取業」は約30万9,600円に対して郵便局や農協(JA)、森林組合などの「複合サービス事業」は約23万6,300円と約7万3,300円の差が生じている。そして、企業規模別で見た場合は、1,000人以上は27万3,400円に対して、10~99人の場合は24万2,400円と産業別で見た場合よりは差は小さいが約3万1,000円の差がある。更に、産業別と企業規模別を組み合わせた場合、1,000人以上の「鉱業,採石業,砂利採取業」は約44万5,700円に対して、10~99人の「宿泊業,飲食サービス業」は約21万6,100円と2倍以上の差が生じている[1][2]。
更に、初任給が通勤手当を含め30万以上の大学卒は約4.27万人(男性:約2.12万人、女性:約2.15万人)であり、占める割合は約15.5%(男女とも約15.5%)であった。企業規模別で見た場合の占める割合は、1,000人以上は2割前半台に対して、100~999人は約1割、100人未満は1割未満と規模によって差が生じる。
そして、大学院卒(修士卒と博士卒)では約1.64万人(男性:約1.18万人、女性:約0.46万人)であるが、割合で見た場合は約46.5%(男性は約46.1%、女性は約47.7%)と大学卒より約3倍多くなる[3]。
ただし、大学院卒に関しては、修士卒だけでなく博士卒も含まれており、経団連が2024年2月20日に発表した「博士人材と女性理工系人材の育成・活躍に向けた提言」[4]より、多くの企業で修士卒で入社した労働者の4年目と同水準(博士課程の標準修業年限が、一部を除き3年であるため。)で設定しているため、その分多くなっていることに留意する。なお、35万以上の場合は約0.47万人(男性:約0.40万人、女性:約0.08万人)であり、割合では約13.4%(男性は約15.5%、女性は約7.9%)と男女差はあるものの大学卒とほぼ同じ率になる[3]。
賃金構造基本統計調査とは別に労務行政研究所の調査によると、2025年度の東京証券取引所プライム市場の上場企業197社の新入社員の初任給の水準は、大学卒で25万5,115円、大学院卒修士27万3,327円、短大卒22万1,640円、高校卒で20万6,523円程度とされている[5]。
ごく一部の企業の初任給
人手不足を背景に以下の企業を含めた企業のごく一部であるが、初任給を30万円以上にする企業も出てきている。
- ファーストリテイリング:ユニクロを運営するファーストリテイリングは、海外勤務の可能性があり全国転勤と部署異動を伴う職種に採用された専門学校及び短大卒以上の場合は2026年3月入社の初任給を37万(転居を伴わない異動のみの職種の場合は28万円)にしており[6]
- 三井物産:海外・全国転勤を伴わない転勤が原則として採用地と同一地域(但し、地域支店・関係会社への出向あり)の職種は大学卒(2026年卒)で33万[7]
- 三菱商事:海外・全国転勤を伴う職種は大学卒(2025年度実績)で34.0万円であり、転居を伴う異動がないバックオフィス職(事務業務・補佐業務等の職務を担当する。)は25.0万円[8]と30万を超えている。
- 東京海上日動火災保険:2026年4月より転居を伴う転勤に同意して実際に転勤する場合の大学卒の初任給を39万3,780~42万7,780円と転勤先までの距離などに応じる形で幅を持たせる形で増額している。また、転勤が無い場合は29万3,780円である[9][10]。
- サイボウズ:就業経験が1年未満の既卒を含めた2027年4月入社の場合で開発・技術系職種の場合は、固定残業時間40時間を含めた月給43万円(固定残業時間40時間を除いた月給は約32.76万円。想定年収は、固定残業代とボーナス2か月分を含めた602万円)、ビジネス系職種は固定残業時間40時間を含めた月給40万円(固定残業時間40時間を除いた月給は約30.475万円。想定年収は、固定残業代とボーナス2か月分を含めた560万円)である[11][12]。
- 地主株式会社:2026年4月入社の場合で、固定残業時間30時間(1ヵ月の残業時間が30時間未満でも満額支給)を含めた月給50万円(固定残業時間30時間を除いた月給は約37.325万円)[13]。
そして、2026年1月29日5時00分に配信された東洋経済の記事より、就職四季報に掲載されている企業に限るが、大卒の初任給が30万以上の企業が2025年4月時点で54社存在している。また、就職四季報に掲載されている企業全体の約4分の3が25万以上であった[14]。
国家公務員の初任給
国家公務員の場合は総合職試験で採用された場合は職歴なしで2026年4月入庁の大学卒で24.2万円(地域手当が最も高い東京都特別区で勤務する場合は20%増額の29.04万円、本府省[主に霞が関ある官庁]で働く場合は30.12万円)、一般職試験採用で採用された場合は23.2万円(地域手当が最も高い東京都特別区で勤務する場合は20%増額の27.84万円)である[15]。
脚注
- ↑ 厚生労働省賃金福祉統計室 (2026年3月24日). “令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 新規学卒者 表1 新規学卒者の学歴別所定内給与額” (Excel). 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2026年4月4日閲覧。
- ↑ SGO編集部 (2026年3月27日). “同じ新卒でも「年収差120万円」の衝撃…初任給26万円時代の見えない格差【47都道府県「大卒初任給」ランキング】” (jp). 資産形成ゴールドオンライン: pp. 1 2026年4月4日閲覧。
{{cite news}}: CS1メンテナンス: 認識できない言語 (カテゴリ) - 1 2 厚生労働省賃金福祉統計室 (2026年3月24日). “令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 新規学卒者 表2 新規学卒者の学歴、所定内給与額階級別労働者数及び所定内給与額の分布特性値” (Excel). 政府統計の総合窓口(e-Stat). 2026年5月23日閲覧。
- ↑ 日本経済団体連合会 (2024年2月20日). 博士人材と女性理工系人材の育成・活躍に向けた提言 -高度専門人材が牽引する新たな日本の経済社会の創造- 3.博士人材の育成・活躍に向けた課題・取り組み (1) 企業ならびに産学連携による取り組み ④ 適切な処遇 (PDF) (Report). p. 12. 2026年5月23日閲覧.
- ↑ “2025 年度 新入社員の初任給調査” (PDF). 労務行政研究所 (2025年5月1日). 2025年8月8日閲覧。
- ↑ ファーストリテイリング. “ファーストリテイリンググループ採用情報 新卒採用 募集要項”. 2026年1月24日閲覧。
- ↑ 三井物産. “三井物産 採用ポータルサイト 新卒採用情報 募集要項”. 2026年1月24日閲覧。
- ↑ 三菱商事. “三菱商事 採用ポータルサイト 新卒採用:募集要項”. 2025年8月8日閲覧。
- ↑ “東京海上日動の初任給、最大41万円に…転居を伴う転勤への同意など条件” (日本語). 読売新聞. (2025年1月10日) 2025年1月13日閲覧。
- ↑ 東京海上日動火災保険. “新人事制度の導入について 新人事制度の概要 03.初任給の改定”. 2026年1月24日閲覧。
- ↑ サイボウズ. “募集要項一覧>新卒採用”. 2026年1月24日閲覧。
- ↑ 山本 悠子 (2025年11月18日). 深水麻初: “サイボウズ、新卒の初任給40万円へ。既存社員「自分たちの給料も上がりますか?」”. サイボウス. 2025年11月21日閲覧。
- ↑ 岩崎 剛幸 (2026年4月3日). “日本一初任給が高い企業は商社でもコンサルでもなかった!「初任給60万円・平均年収1750万円」謎の会社の正体” (jp). 現代ビジネス: pp. 1 2026年4月4日閲覧。
{{cite news}}: CS1メンテナンス: 認識できない言語 (カテゴリ) - ↑ 丹羽 夏海 (2026年1月29日). “「初任給が高く、平均年収も高い」会社ランキング TOP100社 見かけ倒しじゃない、"本当に稼げる会社"はどこか” (日本語). 東洋経済オンライン (『就職四季報』編集部): pp. 1-4 2026年1月31日閲覧。
{{cite news}}: 不明な引数|1=が空白で指定されています。 (説明)⚠ - ↑ “国家公務員の月例給を1万5,014円(3.62%)引き上げるよう勧告――2025年度の人事院勧告” (Press release). 独立行政法人労働政策研究・研修機構. 2025年10月25日. 2026年1月24日閲覧.
外部リンク
- “日本の大卒初任給、Source: 厚生労働省と謳うブログ、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス”. for the open society (2008年10月18日). 2008年12月5日閲覧。
「初任給」の例文・使い方・用例・文例
- 応募者の面接を行う予定のほか、初任給に関する情報をいただけたら幸いです。
- 初任給と休暇、福利厚生を検討できるように、午前9 時に私のオフィスに来てください。
- 当社の初任給額は18万円である。
- ネットワークエンジニア職は他の職種と比べて初任給がやや高くなっています。
- 初任給は少なくて申し訳ないが 500 ポンドしかあげられません.
- 週 100 ポンドの初任給.
- 初任給週 30 ドルでスタートした.
- 初任給は週 30 ドルです.
- 私の初任給は 15 万円だった.
- この調査ではまた,新入社員に初任給をどのように使うつもりかを尋ねた。
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