ハクティビスト【hacktivist】
読み方:はくてぃびすと
ハクティビスト
【英】hacktivist
ハクティビストとは、サイバー犯罪に関する用語で、社会的・政治的な主張を目的としたハッキング活動(ハクティビズム)を行う者のことである。
ハクティビストの主な目的は、現実世界におけるアクティビスト(積極行動主義者)と同様、自分たちの主張を声明として発表したり、政治的に敵対する政府や企業へ攻撃したり、といったものである。そのために敵方のサーバーをダウンさせたり、Webサイトを改竄したり、機密情報を盗んだりといったサイバー攻撃を行う。
ハクティビストとして知られているハッカー集団として、「Anonymous」(アノニマス)や「LulzSec」(ラルズセック)、「TeaMp0isoN」などを挙げることができる。
参照リンク
サイバー犯罪とハクティビズム - (McAfeeのセキュリティ研究レポート)
最新のハクティビズム事情:フランス編 - (McAfee Blog)
| ネットワーク攻撃: | Flameウィルス パスワードクラック バッファオーバーラン ハクティビスト ハーダー パスワードリスト型攻撃 ばらまき型 |
ハクティビズム
(ハクティビスト から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/23 13:09 UTC 版)
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ハクティビズム(英: hacktivism)とは、アクティビズム(英: activism、積極行動主義)とハック(英: hack)を組み合わせた造語。日本語圏ではハックティビズムと表記されることもある。政治的な意思表示や政治目的の実現のためにハッキングを手段として利用する行為もしくはそのような行動主義的傾向を指して用いられる言葉である。ハクティビズムの活動家はときとしてハクティビスト(英: hacktivist)と呼ばれる。
概要
政治色の強いハッカーグループ「カルト・オブ・ザ・デッド・カウ(cDc)」のメンバーであった「オメガ」が1996年に提唱したのが始まりである[1][2]。これを受けて、cDcは人間の基本的権利として言論の自由を享受する権利があること、またそのための条件として人々は情報への自由かつ平等なアクセス権を有することを指摘し、そのような権利が保障された社会の実現のためのハッカーによる政治運動としてハクティビズム(英: hacktivism)を提唱し、プロジェクトグループ「ハクティビズモ(英: hacktivismo)」を始動させた[3]。香港の反体制ハッカーグループ「ホンコン・ブロンド」が中国共産党政府の検閲を破壊するための行動を行った際に彼らをハクティビストと認めて1998年に正式提携を結ぶなど、cDcはハクティビズムの下でインターネット上での政治的発言やソフトウェアリリースを通じたキャンペーンを展開していった。
cDcのプロジェクトが始まったことでハクティビズムの語は自然に広まっていった。ハクティビズムの概念が政治的ハッカーに共有され、インスピレーションを与えてきたことは複数の証拠から確認が可能である。例えば、cDcから穏やかに分裂したロフトのメンバーだったクリス・ワイソパルは「ハクティビズムの目的は外国の人たちのために、政府の監視の目をくぐって、安全に通信できるソフトウェアを開発する事でした。言論の自由という大原則を守る為です。(中略)抑圧的な国家で人々が弾圧をおそれて口をつぐむ状況下では、その重要は増します。」と映画「We Are Legion」で述べている[4]。
しかし、ハクティビズムの概念的定義についての正確で公式な共通理解は存在せず、ハクティビズムを掲げる個人やグループにより異なった定義や行動指針が採用されているのが現状である。定義や行動指針の違いは、形式的には違法と評価されうる行為をもハクティビズムとして正当化可能と考えるか、行動の目的と行動の結果のバランスをどの程度考慮するか、活動グループのメンバーシップや活動にまつわる責任をどのように規定するか、といった具体的で重要な問題についての態度決定について、活動家毎の違いをもたらす要因となっている。
活動家の間で相違が見られるハクティビズムの意味の類型については研究者による類型化が試みられてきた。類型化の一例として、ブリティッシュコロンビア大学(後にハーバード大学)でハクティビズムを研究してきたアレクサンドラ・サミュエル[5]は「ポリティカルコーディング」(政治的な意図を持ってプログラミングを行うこと)、「ポリティカルクラッキング」(時に法を無視してもサイバー攻撃などで政治的主張を行うこと)、「パフォーマティブハクティビズム」(暴力的行為を伴わず、政治的効果の高い表現やアーティスト的な演出により意見表明をすること)の3つの分類を提唱している[2][6]。
形式と手法
自称「ハクティビスト」は、しばしば匿名で活動し、グループとして活動する場合もあれば、一人の活動家に対応する複数のサイバー人格を持つ一匹狼として活動する場合もある[7]。これらの活動は、ポップカルチャーにおいて世間の関心と影響力を獲得しつつあるサイバーアクティビズムという枠組みの中で行われる。ハクティビストは概して脱政治的な理念のもとで活動し、社会から精査されることなく抑制のない思想や非難を表現する一方で、匿名のアイデンティティのもとで自らを公的に代表・擁護することにより、サイバーアクティビズムコミュニティ内で力を持つ感覚を得ている[8]。
ハクティビストは、自らの活動を遂行するために、新たなツールを作成することもあれば、インターネット上で容易に入手可能な様々なソフトウェアツールを統合・利用することもある。ハクティビスト活動の一類型として、他者が政治的動機に基づくオンライン行動を取りやすくすることが挙げられる[9]。
ハクティビズムの抗議レパートリーには、以下のようなものが含まれる。
- コード:ソフトウェアやウェブサイトは政治的目標を達成し得る。例えば、暗号化ソフトウェアのPGPは通信の保護に用いられる。PGPの作者であるフィル・ジマーマンは、PGPを最初に平和運動に向けて配布したと述べている[10]。ジム・ウォーレンは、PGPの広範な普及は、バイデン上院議員とデコンチーニ上院議員によって起草された上院法案266号への対応であったと示唆している。同法案は、「通信システムは政府が音声、データ、その他の通信のプレーンテキストの内容を取得することを可能にしなければならない」ことを要求するものであった[11]。ウィキリークスは政治的動機に基づくウェブサイトの一例であり、「政府を開かれたものに保つ」ことを目指している[12]。
- ミラーリング:ウェブサイトのミラーリングは、ウェブサイトに対する各種の検閲ブロックを回避するための回避手段として用いられる。この手法は、検閲を受けたウェブサイトの内容を複製し、検閲されていない他のドメインおよびサブドメイン上で配布するものである[13]。文書のミラーリングは、ウェブサイトのミラーリングと同様の手法であり、各種の文書やその他の著作物のバックアップに重点を置くものである。RECAPは、「米国の判例法を解放し」、オンラインで公開することを目的として開発されたソフトウェアである。このソフトウェアプロジェクトは、分散型の文書収集およびアーカイブの形態をとっている[14]。主要なミラーリング・プロジェクトには、インターネットアーカイブやウィキソースなどの取り組みが挙げられる。
- 匿名性:人権問題や政府による抑圧などについて広範な聴衆に対して発言する手法であり、無料および/または使い捨ての電子メールアカウント、IPマスキング、ブログソフトウェアなどの各種ウェブツールを活用して高度な匿名性を保持する[15]。
- ドキシング:私的および/または機密の文書・記録をハッキングにより入手し、公開する行為。ハクティビストはこれを保証された透明性の一形態とみなしているが、専門家はハラスメントであると主張している[16]。
- サービス拒否攻撃:一般的にDoS攻撃と呼ばれるこの攻撃は、ハッカーが通常電子メールの添付ファイルやウェブサイトのリンクを通じて伝達されるマルウェアの実行ファイルを介して制御を奪った、個人および公共の大規模なコンピューター群を利用するものである。制御を奪われたこれらのコンピューターはゾンビの群れのように動作し、サーバーに過負荷をかけてウェブサイトをオフラインにすることを目的として、それらのネットワークトラフィックを1つのウェブサイトに振り向ける[16]。
- 仮想座り込み:DoS攻撃と類似しているが、ソフトウェアではなく個人によって実行される手法。多数の抗議者が標的のウェブサイトを訪問し、ページを高速でロードすることでサイトをネットワークトラフィックで圧倒し、サイトの動作を遅らせるかオフラインにする[17]。
- ウェブサイト改ざん:ハッカーがウェブサーバーに侵入し、特定のウェブページを自らのものに置き換える行為。通常は特定のメッセージを伝えることを目的とする[18][17]。
- ウェブサイト・リダイレクト:この手法は、サーバー内のウェブサイトのアドレスを変更することで、サイトを訪問しようとする者を犯人が作成したサイトに転送するものであり、通常は元のサイトを糾弾することを目的とする[17]。
- ジオボミング:ネチズンがYouTube動画を編集する際にジオタグを追加することで、その動画の場所をGoogle Earth上で確認できるようにする手法[19]。
- プロテストウェア:マルウェアを用いて社会的大義や抗議を促進する行為[20]。プロテストウェアは、メッセージを広めるためにプロジェクトのメンテナ自身によって実行されるものであり、最も一般的には破壊的な方法で行われる。この用語は、npmエコシステムに対するpeacenotwarによるサプライチェーン攻撃の後、ロシア・ウクライナ戦争中に広く知られるようになった[21]。
ハクティビストの例
ポリティカルコーディング
ポリティカルクラッキング
脚注
- ↑ “Old-time hacktivists: Anonymous, you've crossed the line” (英語). cnet. (2012年3月30日)
- 1 2 “ウィキリークスやアノニマスも 「ハクティビズム」から考える現代ネット社会”. wedge. (2012年9月21日). p. 2
- ↑ The Hacktivismo FAQ v1.0(CDC)
- ↑ ドキュメンタリー アノニマス~"ハッカー"たちの生態~ 1/5(該当部分証言)
- ↑ 英: Alexandra Samuel
- ↑ HACKTIVISM IN POLITICAL CONTEXT (PDF)
- ↑ Sorell, Tom (2015-09-22). “Human Rights and Hacktivism: The Cases of Wikileaks and Anonymous” (英語). Journal of Human Rights Practice 7 (3): 391–410. doi:10.1093/jhuman/huv012. ISSN 1757-9619.
- ↑ What is Hacktivism? | CrowdStrike
- ↑ Romagna, Marco; Leukfeldt, Eric Rutger. “Becoming a hacktivist. Examining the motivations and the processes that prompt an individual to engage in hacktivism”. Journal of Crime and Justice 47 (1).
- ↑ “PGP Marks 10th Anniversary”. Phil Zimmermann. 2011年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年8月23日閲覧。
- ↑ “The Persecution of Phil Zimmermann, American”. Jim Warren (1996年1月8日). 2011年5月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月1日閲覧。
- ↑ “WikiLeaks homepage”. WikiLeaks. 2011年1月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月1日閲覧。
- ↑ Ben Gharbia, Sami. “Mirroring a Censored Wordpress Blog”. Global Voices Advocacy. 2011年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月9日閲覧。
- ↑ “Recap the law”. 2013年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月20日閲覧。
- ↑ Zuckerman, Ethan. “Anonymous Blogging with Wordpress and Tor”. Global Voices Advocacy. 2011年2月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年2月9日閲覧。
- 1 2 “'Hacktivists' Increasingly Target Local and State Government Computers”. www.pewtrusts.org (2017年1月10日). 2018年5月1日閲覧。
- 1 2 3 Fitri, Nofia (April 2011). “Democracy Discourses through the Internet Communication: Understanding the Hacktivism for the Global Changing”. Online Journal of Communication and Media Technologies 1 (2): 11. doi:10.29333/ojcmt/2332.
- ↑ Romagna, M.; van den Hout, N. J. (October 2017). “Hacktivism and Website Defacement: Motivations, Capabilities and potential Threats”. Proceedings of the 27th Virus Bulletin International Conference: 41–50 2019年5月12日閲覧。.
- ↑ “Geo-bombing: YouTube + Google Earth · Global Voices Advocacy” (英語). Global Voices Advocacy. 2020年11月24日閲覧。
- ↑ “Open source 'protestware' harms Open Source” (英語). opensource.org (2022年3月24日). 2022年3月28日閲覧。
- ↑ “Pro-Ukraine 'Protestware' Pushes Antiwar Ads, Geo-Targeted Malware – Krebs on Security” (英語) (2022年3月17日). 2022年3月28日閲覧。
参考文献
- Menn, Joseph (2011年9月23日). “They’re watching. And they can bring you down”. フィナンシャル・タイムズ 2015年7月24日閲覧。
関連項目
- ハクティビストのページへのリンク