線形力学系とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 線形力学系の意味・解説 

線形力学系

(linear dynamical system から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 07:33 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

線形力学系(せんけいりきがくけい、: linear dynamical system)とは、行列で定義され、線形性を持つ力学系である。

定義

一般に Rn における線形力学系は、ベクトル値関数 x(t) ∈ Rn と、n 次の正方行列 A により、次のような微分方程式で表される。

ただしこれは、x連続的に変化する場合であり、離散系の場合には、

で表される。

これが線形であるとは、x(t)y(t) が解ならば、任意のスカラー a, b について、線形結合 ax(t) + by(t) も解である、ということを意味している。

線形力学系は、多くの非線形の場合と異なり、完全に解くことができる。このとき、解は行列の指数 etA(連続系)、もしくは累乗 An(離散系)によって表現され、その振る舞いは一般的に行列 A固有値固有ベクトルによって理解できる。 非線形のときでも、変数変換により線型化して解くことができることもある。また、不動点の周りでの線形近似は、非線形系を理解するのに役立つ(ハートマン=グロブマンの定理)。

線形力学系の解

初期値 x(0) = x0 が、行列 A固有ベクトル vk ならば、初期条件は

となる。ただし、λk は、固有ベクトル vk に対応する固有値である。このとき、解は、

となる。

もし A対角化可能ならば、任意の初期値 x0 は、固有ベクトルの線形結合で一意に表される。つまり、次のような係数 ak が一意に存在する。

このとき解は、

となる。

対角化不可能な場合でも一般に行列の指数関数を用いて

と、解を導くことができる。

二次元の場合

二次元の線形力学系は、

で表される。この系では、A2正方行列である。A の固有値は、行列式 Δ と、トレース τ を用いて、

のように書くことができる。

また、 であり、 である。

もし、 ならば、固有値の符号が異なり原点は、鞍点 (saddle point) となる。

ならば、原点は孤立した平衡点ではない。

ならば、固有値の符号が同じになり、 ならば(漸近)安定、 ならば中立安定 ならば不安定になる。また固有値が実数ならば節点 (node) となる。ただし、二つの固有値が同じときには対角化可能なときスター、不可能なとき退化節点 (degenerate node) となる。最後に複素数のときは、渦状点 (spiral) となる。

参考文献

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「線形力学系」の関連用語

線形力学系のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



線形力学系のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの線形力学系 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS