ABC予想
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2022年8月) |
分野 | 数論 |
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提出者 |
ジョゼフ・オステルレ デイヴィッド・マッサー |
提出時期 | 1985年 |
同等なもの | スピロ予想 |
結果 |
ビール予想 ファルティングスの定理 フェルマーの最終定理 フェルマー=カタラン予想 トゥエ・ジーゲル・ロスの定理 |
ABC予想(エービーシーよそう、英語: abc conjecture)あるいはオステルレ=マッサー予想(英語: Oesterlé–Masser conjecture)[1][2]は、1985年にジョゼフ・オステルレとデイヴィッド・マッサーにより提起された数論の予想(未解決問題)である。類似するものに多項式についてのメーソン・ストーサーズの定理がある。
ABC予想は、この予想から数々の興味深い結果が得られることから、非常に有名になった。ABC予想が定理となれば、数論における数多の有名な予想や定理が直ちに導かれる。
ドリアン・モリス・ゴールドフェルドは、ABC予想を「ディオファントス解析で最も重要な未解決問題」であると述べている[3]。
予想
a と b が互いに素であり、かつ a + b = c を満たす自然数の組 (a, b, c) を abc-triple と呼ぶ。一般に「ABC予想」と呼ばれている未解決問題には、
- 不等式 c > (rad(abc))1 + ε を満たす abc-triple が無限に存在するような正の実数 ε > 0 は存在しない。
- 不等式 c ≧ (rad(abc))2 を満たす abc-triple は存在しない。
という2種類の命題が存在するが、両者に論理的な強弱関係があるわけではない。すなわち、互いに主張の一部が弱められ、一部が強められている。フェルマーの最終定理の証明に使うことができるのは、2番目の命題のみである。以下、1番目の命題について詳しく解説する。
2以上の自然数 n に対して、n の素因数のうち相異なるものの積(すなわち n を素因数分解したときに現れる各素数の指数をすべて1に置き換え乗算した数。n の根基(英: radical)と呼ばれる)を与える関数 rad(n) のことを根基関数という。以下にいくつか例を挙げる。
- p が素数ならば、rad(p) = p
- rad(8) = rad(23) = 2
- rad(9405) = rad(32 ⋅ 5 ⋅ 11 ⋅ 19) = 3 ⋅ 5 ⋅ 11 ⋅ 19 = 3135
- rad(84998144) = rad(211 ⋅ 73 ⋅ 112) = 2 ⋅ 7 ⋅ 11 = 154
大抵の場合は c < rad(abc) が成り立つが、ABC予想が言及しているのはこれが成り立たない abc-triple のほうである。例えば a = 1, b = 8 のときに c = 9, rad(abc) = 6 となる。
ただし c > rad(abc) が成り立つ abc-triple も無限に存在する[注釈 1][注釈 2]ため、rad(abc) を少しだけ大きくすることで例を有限個にできないかどうかを考える。すなわちABC予想は、次の不等式を満たすような自然数の組 (a, b, c) は、任意の正の実数 ε > 0 に対して高々有限個しか存在しないであろうと予想している:
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