リンデマン・ヒンシェルウッド機構とは? わかりやすく解説

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リンデマン・ヒンシェルウッド機構

(Lindemann mechanism から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/04 19:02 UTC 版)

反応速度論においてリンデマン・ヒンシェルウッド機構(リンデマン・ヒンシェルウッドきこう、: Lindemann–Hinshelwood mechanism)あるいはリンデマン機構とは、反応機構のスキームを表す。フレデリック・リンデマン英語版が1922年に提案し、シリル・ヒンシェルウッドが発展させた[1][2]

この理論では、見かけ上の単分子反応を2つの反応段階に分け、それぞれに速度定数を定義する。全体の反応速度式は2段階の速度式と速度定数から求められる。

リンドマン・ヒンシェルウッド機構は気相中での化学分解異性化反応をモデル化するために使われてきた。しかし分解や異性化の実験式反応物に対して1次であるのに、リンデマン・ヒンシェルウッド機構で計算すると2分子反応の方が優先する。したがって、ある場合においては活性化段階が2次反応である可能性がある[3]

活性化反応中間体

1分子反応の反応式はA → Pと書かれる。ただしAは反応物、Pは生成物である(異性化反応ではPはひとつ、分解反応では複数である)。

リンデマン・ヒンシェルウッド機構は通常活性化した反応中間体を含む。これをA*で表す。活性中間体A*は2つ目の分子Mとの衝突により十分な活性化エネルギーが得られてからでないと生成しない。そのあとは、不活性化してAに戻るか、1分子反応の段階を踏んでPになるかのどちらかである。

2段階反応の反応機構は次のようになる。

NO2 + NO3
NO2 + NO3 → NO2 + O2 + NO
NO + N2O5 → 3 NO2

定常状態近似英語版を用いた分析で、この反応機構でも1次反応を説明でき、速度定数が極低圧で急激に小さくなることを説明できることが示された[6]

脚注

  1. ^ Di Giacomo, F. (2015). “A Short Account of RRKM Theory of Unimolecular Reactions and of Marcus Theory of Electron Transfer in a Historical Perspective”. J. Chem. Educ. 92 (3): 476. Bibcode2015JChEd..92..476D. doi:10.1021/ed5001312. 
  2. ^ Lindemann, F. A.; Arrhenius, S.; Langmuir, I.; Dhar, N. R.; Perrin, J.; Mcc. Lewis, W. C. (1922). “Discussion on ?the radiation theory of chemical action?”. Journal of the Chemical Society, Faraday Transactions英語版 17: 598. doi:10.1039/TF9221700598. 
  3. ^ S. L. Cole and J. W. Wilder (1991). “Gas phase decomposition by the Lindemann mechanism”. SIAM J. Appl. Math. 51 (6): 1489-1497. https://www.jstor.org/stable/2102354. 
  4. ^ a b c d ピーター・アトキンス・Julio de Paula著 『アトキンス物理化学 第8版』東京化学同人 p.870-871 ISBN 0-7167-8759-8
  5. ^ a b c Steinfeld J.I., Francisco J.S. and Hase W.L. (1999). Chemical Kinetics and Dynamics (2nd ed.). Prentice-Hall. pp. 335. ISBN 0-13-737123-3 
  6. ^ a b c Keith J. Laidler, Chemical Kinetics (3rd ed., Harper & Row 1987), p.303-5 ISBN 0-06-043862-2



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