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KLK6

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/01/17 03:48 UTC 版)

KLK6
PDBに登録されている構造
PDB Human UniProt検索: RCSB PDBe PDBj
PDBのIDコード一覧

1GVL, 1L2E, 1LO6, 3VFE, 4D8N

識別子
記号 KLK6, Bssp, Klk7, PRSS18, PRSS9, SP59, hK6, kallikrein related peptidase 6
外部ID OMIM: 602652 MGI: 1343166 HomoloGene: 68279 GeneCards: KLK6
遺伝子の位置 (ヒト)
染色体 19番染色体 (ヒト)[1]
バンド データ無し 開始点 50,958,631 bp[1]
終点 50,969,673 bp[1]
遺伝子の位置 (マウス)
染色体 7番染色体 (マウス)[2]
バンド データ無し 開始点 43,473,923 bp[2]
終点 43,481,454 bp[2]
RNA発現パターン
さらなる参照発現データ
遺伝子オントロジー
分子機能 • ペプチダーゼ活性
• 血漿タンパク結合
• serine-type peptidase activity
• serine-type endopeptidase activity
• 加水分解酵素活性
細胞の構成要素 • 細胞質
• 細胞内膜で囲まれた細胞小器官
• 細胞外領域
• 核小体
• 小胞体
• ミトコンドリア
• 細胞核
• 細胞外空間
• secretory granule
生物学的プロセス • neuron death
• regulation of neuron projection development
• tissue regeneration
• amyloid precursor protein metabolic process
• protein autoprocessing
• タンパク質分解
• 中枢神経系発生
• positive regulation of G protein-coupled receptor signaling pathway
• response to wounding
• collagen catabolic process
• regulation of cell differentiation
• myelination
• ホルモン代謝プロセス
出典:Amigo / QuickGO
オルソログ
種 ヒト マウス
Entrez
Ensembl
UniProt
RefSeq
(mRNA)

NM_002774
NM_001012964
NM_001012965
NM_001319948
NM_001319949

NM_001164696
NM_001164697
NM_001164698
NM_011177

RefSeq
(タンパク質)

NP_001012982
NP_001012983
NP_001306877
NP_001306878
NP_002765

n/a

場所
(UCSC)
Chr 19: 50.96 – 50.97 Mb Chr 19: 43.47 – 43.48 Mb
PubMed検索 [3] [4]
ウィキデータ
閲覧/編集 ヒト 閲覧/編集 マウス

KLK6(カリクレイン6、kallikrein-6)は、ヒトではKLK6遺伝子にコードされるタンパク質である[5][6][7][8]。KLK6は、ニューロシン(neurosin)、protease M、hK6、zymeといった名称でも知られる。16残基のシグナル配列、5残基の活性化ペプチドを含む244アミノ酸のポリペプチドとして合成され、223アミノ酸の成熟型へとプロセシングされる[9]。

機能

カリクレインは多様な生理機能を有するセリンプロテアーゼのグループである。多くのカリクレインが発がんに関与しており、その一部はがんやその他の疾患のバイオマーカーとなりうることを示唆するエビデンスが蓄積している。KLK6遺伝子にコードされているプレプロタンパク質は、切断されて成熟型プロテアーゼとなる。このプロテアーゼの発現はステロイドホルモンによって調節されており、またヒトの複数種のがんや乾癬患者の血清で上昇している可能性がある。KLK6はアミロイド前駆体タンパク質やα-シヌクレインの切断に関与している可能性があり、そのためアルツハイマー病やパーキンソン病と関連している可能性が示唆されている。KLK6遺伝子は19番染色体(英語版)上のカリクレイン遺伝子クラスター内に位置している[8]。

構造

KLK6の二次構造は、13本のβストランド、2本のαヘリックス、2個の310ヘリックス、8か所のループ領域から構成される。アミノ酸配列の面では、ラットのMyelencephalon-Specific Protease(MSP)[10]と最も類似している。MSPとKLK6はどちらもアルギニン残基の後のペプチド結合を標的とし、また自身のタンパク質内のアルギニンに対する自己切断を行う[11]。

構造の面では、KLK6はウシトリプシンと類似している。基質結合部位近傍のループは短く、結合部位から離れるように位置しており、S2、S3部位の形成にはあまり寄与していないようである。S1部位にはアスパラギン酸、ヒスチジン、セリンの触媒三残基に加えて189–195、214–220、224–228番残基が位置している[12]。

病理

α-シヌクレインの蓄積は、レビー小体型認知症、パーキンソン病、多系統萎縮症の患者に広くみられる。α-シヌクレインの分解を担うタンパク質の同定のため、プロテアーゼ阻害剤を用いた探索が行われている。さまざまなセリンプロテアーゼ阻害剤(アプロチニン(英語版)、PMSF、ロイペプチン、AEBSF)が分解経路に大きな影響を及ぼすことから、α-シヌクレインの分解にセリンプロテアーゼが必要であることが示唆されている。カリクレイン阻害剤も用量依存的に分解を阻害し、また精製されたカリクレインがα-シヌクレインに対する分解活性を有することがin vitroで示されている[13]。

KLK6はこうした疾患の防止に寄与している一方、悪性腫瘍細胞の拡散にも寄与している可能性がある。KLK6は分解酵素として、正常細胞や悪性細胞の双方の細胞外マトリックスを分解する能力を有し、遊走能やシグナル伝達能力を高めている可能性がある。KLK6はフィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、コラーゲンなどの細胞外マトリックスタンパク質に対する分解活性を有し、またKLK6中和抗体によって処理された腫瘍細胞は遊走能が低下する[14]。

機構

N末端側にアルギニン(Arg)が位置するペプチド結合の周囲でアスパラギン酸(Asp)、ヒスチジン(His)、セリン(Ser)が触媒三残基を形成する。

KLK6はAsp102、His57、Ser195が触媒三残基を形成し、N末端側にアルギニン残基が位置するペプチド結合を特異的に加水分解する[15]。他のセリンプロテアーゼと類似した触媒機構を有すると考えられている[16]。

  1. ヒスチジン残基がセリン残基を脱プロトン化する
  2. セリン残基がアミド結合の代替となる
  3. プロトン化ヒスチジン残基によってアミンがより良い脱離基となり、オキシアニオンが崩壊してエステルが形成される
  4. 水分子がエステル結合を切断し、セリン残基が脱離する

出典

  1. ^ a b c GRCh38: Ensembl release 89: ENSG00000167755 - Ensembl, May 2017
  2. ^ a b c GRCm38: Ensembl release 89: ENSMUSG00000050063 - Ensembl, May 2017
  3. ^ Human PubMed Reference:
  4. ^ Mouse PubMed Reference:
  5. ^ “Molecular cloning of a novel trypsin-like serine protease (neurosin) preferentially expressed in brain”. Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - Gene Structure and Expression 1350 (1): 11–14. (January 1997). doi:10.1016/s0167-4781(96)00187-x. PMID 9003450. 
  6. ^ “A comprehensive nomenclature for serine proteases with homology to tissue kallikreins”. Biological Chemistry 387 (6): 637–641. (June 2006). doi:10.1515/BC.2006.082. PMID 16800724. https://epub.ub.uni-muenchen.de/17786/1/bc.2006.082.pdf. 
  7. ^ “Proceedings of the 1st International Symposium on Kallikreins, Lausanne, Switzerland, September 1-3 , 2005”. Biological Chemistry 387 (6): 635–824. (June 2006). doi:10.1515/BC.2006.081. PMID 16800723. 
  8. ^ a b “Entrez Gene: KLK6 kallikrein-related peptidase 6”. 2024年7月14日閲覧。
  9. ^ “The structure of human prokallikrein 6 reveals a novel activation mechanism for the kallikrein family”. The Journal of Biological Chemistry 277 (30): 27273–27281. (July 2002). doi:10.1074/jbc.M201534200. PMID 12016211. 
  10. ^ Blaber, Sachiko I.; Scarisbrick, Isobel A.; Bernett, Matthew J.; Dhanarajan, Pushparani; Seavy, Margaret A.; Jin, Yonghao; Schwartz, Martin A.; Rodriguez, Moses et al. (2002-01-29). “Enzymatic properties of rat myelencephalon-specific protease”. Biochemistry 41 (4): 1165–1173. doi:10.1021/bi015781a. ISSN 0006-2960. PMID 11802715. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11802715/. 
  11. ^ “Crystal structure and biochemical characterization of human kallikrein 6 reveals that a trypsin-like kallikrein is expressed in the central nervous system” (English). The Journal of Biological Chemistry 277 (27): 24562–24570. (July 2002). doi:10.1074/jbc.M202392200. PMID 11983703. 
  12. ^ “Crystal structure and biochemical characterization of human kallikrein 6 reveals that a trypsin-like kallikrein is expressed in the central nervous system” (English). The Journal of Biological Chemistry 277 (27): 24562–24570. (July 2002). doi:10.1074/jbc.M202392200. PMID 11983703. 
  13. ^ “Alpha-synuclein degradation by serine protease neurosin: implication for pathogenesis of synucleinopathies”. Human Molecular Genetics 12 (20): 2625–2635. (October 2003). doi:10.1093/hmg/ddg283. PMID 12928483. 
  14. ^ “Human kallikrein 6 degrades extracellular matrix proteins and may enhance the metastatic potential of tumour cells” (english). Tumour Biology 25 (4): 193–199. (2004). doi:10.1159/000081102. PMID 15557757. 
  15. ^ “The autolytic regulation of human kallikrein-related peptidase 6”. Biochemistry 46 (17): 5209–5217. (May 2007). doi:10.1021/bi6025006. PMC 2517904. PMID 17417874. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2517904/. 
  16. ^ “Serine protease mechanism and specificity”. Chemical Reviews 102 (12): 4501–4524. (December 2002). doi:10.1021/cr000033x. PMID 12475199. 

関連文献

外部リンク

  • ペプチダーゼとそのインヒビターに関するMEROPSオンラインデータベース: S01.236



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