JATユーゴスラビア航空機爆破事件とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > できごと > 事件・事故 > 事件・事故 > 航空機テロ > JATユーゴスラビア航空機爆破事件の意味・解説 

JATユーゴスラビア航空機爆破事件

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/15 04:45 UTC 版)

JATユーゴスラビア航空367便
事故機の飛行経路
爆破テロの概要
日付 1972年1月26日
概要 爆破テロ
現場  チェコ スルブスカー・カメニツェ英語版上空
乗客数 23
乗員数 5
負傷者数 1
死者数 27
生存者数 1 (客室乗務員のヴェスナ・ヴロヴィッチ
機種 マクドネル・ダグラスDC-9-32
運用者 JATユーゴスラビア航空
機体記号 YU-AHT
出発地 ストックホルム・アーランダ空港
第1経由地 コペンハーゲン空港
最終経由地 ザグレブ国際空港
目的地 ベオグラード空港
テンプレートを表示

JATユーゴスラビア航空機爆破事件(JATこうくうきばくはじけん)は、1972年1月26日JATユーゴスラビア航空ダグラスDC-9-30旅客機が飛行中に爆破されたテロ事件である。

この事件はクロアチア民族主義者が仕掛けた爆発物によって引き起こされたもので、爆発により機体は高度10,160mで空中分解したが、客室乗務員の一人が奇跡的に生きて救助された。

事件の概要

空中分解

1971年に撮影された事故機
367便の残骸の分布

JATユーゴスラビア航空367便(ダグラスDC-9-30、登録記号YU-AHT)は、デンマークコペンハーゲンからユーゴスラビアザグレブ経由で最終目的地のベオグラードに至るルートを運航していた。

1972年1月26日午後5時ごろ(現地時間)にチェコスロヴァキア(現在チェコ共和国)のSrbska Kameniceの上空10,160 m (33,330 ft) を飛行中に、ユーゴスラビア当局によるクロアチアの民族主義者リーダーなどの国外追放に抗議する者によって仕掛けられた爆弾が炸裂し空中分解した。

生存者

同機には乗員6名と乗客22名が搭乗していたが、およそ10,000メートルの巡航高度から落下したために全員絶望と思われていた。ところが、客室乗務員の一人であった ヴェスナ・ヴロヴィッチ(当時22歳)だけが、墜落の衝撃による身体各所の複雑骨折を負いながらも奇跡的に生きて救助された。

彼女は航空機の後部付近にいたが、機体が空中分解したあとは残骸に閉じ込められそれが木の葉が舞い降りるように落ち、山の斜面にある木々をすべるように着地したため生存可能な衝撃ですんだと思われる。さらに墜落から45分後に救助隊に発見され、即座に輸血を受けたことで出血多量による死を免れた。

彼女のこの奇跡は、パラシュートなしで最も高い高度から落下して生還した記録としてギネスブックに認定されている[1]。彼女は一時的に下半身が麻痺するなど長期の入院生活を余儀なくされたが、1年4ヵ月かかって回復し、社会復帰を果たした。彼女はその後も航空会社で事務職として働き続けたが、1990年に当時のユーゴスラビアの大統領だったスロボダン・ミロシェヴィッチを批判したことにより解雇された。2016年、彼女はベオグラードのアパートで心臓病により66歳で死去した[2][3]

脚注

  1. ^ ギネスワールドレコードのページ(英語)
  2. ^ “ベスナ・ブロビッチさん死去、旅客機爆破で奇跡的生還の元客室乗務員”. AFP BB NEWS. (2016年12月25日). https://www.afpbb.com/articles/-/3112380 
  3. ^ Brat Vesne Vulović: Još sam u šoku”. Večernje novosti. 2021年1月31日閲覧。

関連項目





固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「JATユーゴスラビア航空機爆破事件」の関連用語

JATユーゴスラビア航空機爆破事件のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



JATユーゴスラビア航空機爆破事件のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのJATユーゴスラビア航空機爆破事件 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS