FLIRT (ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道)とは? わかりやすく解説

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FLIRT (ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/20 10:01 UTC 版)

FLIRT > FLIRT (ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道)
GySEVの「FLIRT」
左:415形、右:435形
2018年撮影)

この項目では、ハンガリーに本社を置く鉄道事業者のジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道(以下、略称の「GySEV」と記す。)が所有する車両のうち、スイスシュタッドラー・レールが展開するFLIRTについて解説する。2013年の営業運転開始以降、GySEVにはFLIRTの導入が継続して行われている[1][2]

415形

ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道415形電車
415形(415 501)(2019年撮影)
基本情報
運用者 ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道
製造所 シュタッドラー・レール
製造年 2013年
製造数 10編成(4車体連接車10本)
運用開始 2013年 - 2015年
主要諸元
編成 4車体連接車
軸配置 Bo' + 2' + 2' + 2' + Bo'
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25,000 V 50Hz
架空電車線方式
最高運転速度 160 km/h
設計最高速度 160 km/h
起動加速度 1.2 m/s2
車両定員 着席200人
折り畳み座席11人分
立席164人(乗客密度3人/m2時)
編成重量 123 t
編成長 74,278 mm
全幅 2,880 mm
全高 4,150 mm
床面高さ 600 mm(低床部分)
1,120 mm(高床部分)
(低床率90 %)
車輪径 870 mm(動力台車)
750 mm(付随台車)
固定軸距 2,700 mm
編成出力 2,600 kW(最大)
定格出力 2,000 kW
引張力 200 kN
制御方式 VVVFインバータ制御方式IGBT素子)
制動装置 回生ブレーキ
備考 主要数値は[3][4][1][2]を参照。
テンプレートを表示

2012年、GySEVはシュタッドラー・レールとの間に、ショプロン - ソンバトヘイ - セントゴトハールドハンガリー語版間(ショプロン - ソンバトヘイ線ソンバトヘイ - セントゴトハールド線)の近代化及び輸送力増強の一環として、4編成の「FLIRT」の導入契約を交わした。設計最高速度160 km/hの4車体連接車で、車内は大半が床上高さを抑えた低床構造になっており、高さが低いプラットホームから段差無しでの乗降が可能となっている他、車内にはバリアフリーに適したトイレが設けられている。また、車内には最新の情報案内システムや冷暖房双方に適応した空調自転車の設置に対応したフリースペースが備わっている。乗降扉の数については、乗降の迅速さや容易さを重視した事から先頭車体に左右1箇所、中間車体に左右2箇所、合計左右6箇所づつとなっている[3][1][2][5][6]

「415形」の形式名が与えられた最初の編成は2013年にGySEVに搬入され、試運転を経て同年12月に実施されたダイヤ改正から営業運転を開始し、2014年までに1次発注分の納入が完了した。一方、それに先立つ2013年3月には、ハンガリー国鉄との共同案件として6編成の追加発注が実施され、こちらは2014年から2015年にかけて導入が実施された。これにより、2024年時点で415形は10編成(415 500 - 415 509)が在籍する[3][2][7][8]

435形

ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道435形電車
435形(435 002)(2018年撮影)
基本情報
運用者 ジェール・ショプロン・エーベンフルト鉄道
製造所 シュタッドラー・レール
製造年 2018年 - 2019年
製造数 10編成(4車体連接車10本)
運用開始 2018年
主要諸元
編成 4車体連接車
軸配置 Bo' + 2' + 2' + 2' + Bo'
軌間 1,435 mm
電気方式 交流25,000 V 50Hz
架空電車線方式
最高運転速度 160 km/h
設計最高速度 160 km/h
起動加速度 1.2 m/s2
車両定員 着席194人
折り畳み座席11人分
立席208人(乗客密度3人/m2時)
編成重量 123 t
編成長 77,100 mm
車体長 20,795 mm(先頭車体)
16,990 mm(中間車体)
全幅 2,820 mm
全高 4,360 mm
車体高 4,120 mm
床面高さ 600 mm(低床部分)
1,200 mm(高床部分)
(低床率90 %)
車輪径 920 mm(動力台車)
760 mm(付随台車)
固定軸距 2,500 mm(動力台車)
2,700 mm(付随台車)
編成出力 2,600 kW(最大)
定格出力 2,000 kW
引張力 200 kN
制御方式 VVVFインバータ制御方式IGBT素子)
制動装置 回生ブレーキ
備考 主要数値は[4][9][1][2][10]を参照。
テンプレートを表示

欧州連合からの支援を受け、2016年9月にシュタッドラー・レールとGySEVとの間に締結された契約に基づき製造された形式。415形を含む従来の「FLIRT」から設計変更が行われた「FLIRT 3」と呼ばれる車種で、欧州連合において新たに制定された鉄道車両の安全基準「EN 15227」を満たした構造となっているのが特徴である。編成は415形と同様の4車体連接車だが、全長は約2,800 mm延びた77,100 mmに変更されている。また、編成は地域間の短距離輸送に配慮した設計となっており、発車から39秒で営業最高速度である120 km/hに到達する性能を有している。車内には冷暖房双方に対応した空調が完備されている他、充電用のソケットが各座席に設置されている[4][9][1][2][11]

2018年から営業運転を開始しており、2024年時点で10編成(435 501 - 510)が在籍する。営業運転時は415形との連結運用も可能である[2]

今後の予定

2024年3月、シュタッドラー・レールとGySEVはショプロン - ブダペスト、ソンバトヘイ - ブダペスト間の長距離系統用に、新たにFLIRTの発注を実施した。5車体連接式の交流15,000 Vと25,000 V双方に対応した複電圧式車両で、オーストリアの路線への乗り入れも視野に入れた構造となっている。車内は夏季と冬季、それぞれの需要に応じて座席配置を変更する事が出来、一部の座席を撤去して自転車を搭載する事もできる。また、長距離利用の乗客向けに食品や飲料の自動販売機やイートインスペースも設置される[2][12]

当初は9編成が注文され、9月にもオプション権を行使して2編成の追加発注が行われた。これら11編成は2027年からの営業運転開始を予定している[2]

関連項目

脚注

注釈

出典

  1. ^ a b c d e Stadler Delivers 10 Additional FLIRT Trains to GySEV”. Railway-News (2019年4月25日). 2024年12月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j IC FLIRTs for GYSEV”. Railvolution (2024年11月29日). 2024年12月20日閲覧。
  3. ^ a b c FLIRT – Low-floor electric motor-coach train for Győr – Sopron – Ebenfurti Vasút Zrt. (GYSEV)”. Stadler Rail. 2015年7月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月20日閲覧。
  4. ^ a b c ELECTRIC LOW-FLOOR MULTIPLE-UNIT FLIRT GYSEV Zrt, Hungary”. Stadler Rail. 2024年12月20日閲覧。
  5. ^ GySEV orders Flirts for upgraded line”. Railway Gazette (2012年8月18日). 2013年11月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月20日閲覧。
  6. ^ GYSEV and Stadler sign EMU delivery contract”. Nemzeti Fejlesztési Ügynökség (2012年8月12日). 2024年12月20日閲覧。
  7. ^ GYSEV FLIRT On Test”. Railvolution (2013年11月21日). 2024年12月20日閲覧。
  8. ^ Szolgálatban az első GYSEV FLIRT motorvonatok”. GySEV (2013年12月18日). 2014年3月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年12月20日閲覧。
  9. ^ a b Jámbor Gyula (2016年8月23日). “Tíz FLIRT 3-ast vehet uniós forrásból a GYSEV”. Magyar Idők. 2024年12月20日閲覧。
  10. ^ Dunai Zoltán (23 February 2017). A STADLER SZEREPE A HAZAI VASÚTI JÁRMŰGYÁRTÁSBAN (PDF) (Report). Stadler. 2024年12月20日閲覧
  11. ^ Hungarian GYSEV ordered 10 new generation FLIRT trains from Stadler”. Stadler Rail (2016年9月1日). 2024年12月20日閲覧。
  12. ^ Gysev orders new Flirt trains”. Railway Pro (2024年4月1日). 2024年12月20日閲覧。

外部リンク




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