Ascorbyl palmitateとは? わかりやすく解説

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アスコルビルパルミタート

分子式C22H38O7
その他の名称アスコルビルパルミタート、Ascorbyl palmitate、L-Ascorbic acid 6-hexadecanoate、L-Ascorbyl palmitate、L-アスコルビル6-パルミタート、パルミトイルアスコルビン酸、Palmitoyl ascorbate、6-O-パルミトイルアスコルビン酸、6-O-Palmitoyl ascorbate、ビタミンCパルミタート、Vitamin C-palmitate、6-O-(Palmitoyl)-L-ascorbic acid、Palmitic acid 6-deoxy-L-ascorbic acid-6-yl ester、6-O-Palmitoyl-L-ascorbic acid、L-Ascorbic acid 6-palmitate、L-Ascorbyl 6-palmitate
体系名:L-アスコルビン酸6-パルミタート、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸、6-O-ヘキサデカノイル-L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸6-ヘキサデカノアート、6-O-(パルミトイル)-L-アスコルビン酸、パルミチン酸6-デオキシ-L-アスコルビン酸-6-イル


パルミチン酸アスコルビル

(Ascorbyl palmitate から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/01 06:34 UTC 版)

パルミチン酸アスコルビル
識別情報
略称 E304
CAS登録番号 137-66-6 
PubChem 5282506
ChemSpider 16736579 
UNII QN83US2B0N 
E番号 E304 (酸化防止剤およびpH調整剤)
KEGG D02412
ChEMBL CHEMBL220190 
特性
化学式 C22H38O7
モル質量 414.533 g/mol
外観 白色から黄色の粉末
融点

116 - 117 °C, 272 K, -63 °F

への溶解度 水に非常にわずかに溶ける。エタノールに自由に溶ける。
危険性
引火点 178.1 °C (352.6 °F; 451.2 K)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

パルミチン酸アスコルビル(Ascorbyl palmitate, AA-Pal[1])とは、パルミチン酸アスコルビン酸とのエステルである。L-アスコルビン酸パルミチン酸エステルなどの別名が存在する。俗に「脂溶性のビタミンC」と説明される場合が有るものの、それは身体の外での話に過ぎない。経口投与した場合には、吸収される前にビタミンCの部分が外れる[2]

構造と性質

パルミチン酸アスコルビルの化学式はC22H38O7であり[3]、したがって分子量は414.5 (g/mol)である。パルミチン酸とはヘキサデカン酸の事であり、つまり、カルボキシ基ペンタデカンが結合した構造をしている。カルボキシ基は水溶性だが、比較的長い炭化水素鎖であるペンタデカンは脂溶性であり、分子全体で見るとパルミチン酸は脂溶性を示す。もう一方のアスコルビン酸は水溶性だが、アスコルビン酸が持つ水酸基の1つに、パルミチン酸が持つカルボキシ基がエステル結合した構造をしているため、パルミチン酸アスコルビルは脂溶性を示し、ほとんど水には溶解しない。

食品添加物としての性質

アスコルビン酸には水溶性の酸化防止剤としての用途もあるわけだが[注釈 1]、パルミチン酸アスコルビルは、脂溶性の酸化防止剤の1種として食品添加物として用いられる。加えて、医薬品の酸化防止剤として利用される場合もある[3]。これはパルミチン酸がエステル結合しているアスコルビン酸の水酸基が、アスコルビン酸の酸化され易い箇所との関係性が薄いため[注釈 2]、エステルの加水分解を受けずにパルミチン酸アスコルビルのままで酸化防止剤として作用できるためである。E番号304を持ち、EU[4]、アメリカ合衆国[5]、オーストラリア、ニュージーランド[6]では、食品添加物としての利用が認められている。なお、単に栄養強化剤として、ビタミンC源として用いる場合も有る。

生理活性

パルミチン酸アスコルビルは、経口摂取した場合、血流に吸収される前に、パルミチン酸とアスコルビン酸に分解される事が知られている[2]。アスコルビン酸はビタミンCとして利用される。なお、パルミチン酸は脂肪酸として利用される。

関連項目

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 例えば、日本では緑茶飲料の酸化防止剤として、アスコルビン酸が添加されている例が散見される。
  2. ^ アスコルビン酸は酸化され易い物質の1つであり、自らが酸化される事によって、他の物質の酸化を妨げる。アスコルビン酸が酸化される際の分子内の電子を動きを考えれば、パルミチン酸アスコルビルのパルミチン酸がエステル結合している部分は、アスコルビン酸の酸化防止剤としての機能に関連性が薄い事を理解できるだろう。詳細は、有機化学などの分野を広く参照し、化学反応の際の分子内の電子の動きを学ぶ事。

出典

  1. ^ Stamford, Nicholas P J (2012). “Stability, transdermal penetration, and cutaneous effects of ascorbic acid and its derivatives”. Journal of Cosmetic Dermatology 11 (4): 310–317. doi:10.1111/jocd.12006. PMID 23174055. "ascorbyl 6-palmitate (AA-Pal) ... Ascorbyl palmitate (AA-PAL)" 
  2. ^ a b DeRitter E.; Cohen, N; Rubin, SH (1951). “Physiologic availability of dehydro-L-ascorbic acid and palmitoyl-L-ascorbic acid”. Science 113 (2944): 628–631. doi:10.1126/science.113.2944.628. PMID 14845692. 
  3. ^ a b L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル (D02412)
  4. ^ UK Food Standards Agency: Current EU approved additives and their E Numbers”. 2011年10月27日閲覧。
  5. ^ US Food and Drug Administration: Listing of Food Additives Status Part I”. 2011年10月27日閲覧。
  6. ^ Australia New Zealand Food Standards CodeStandard 1.2.4 - Labelling of ingredients”. 2011年10月27日閲覧。


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