2点パデ近似
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/17 05:04 UTC 版)
従来のパデ近似は、マクローリン展開を与えられた次数まで再現するように決定されている。そのため、展開点から離れた箇所での値での近似が悪くなることがある。これを回避するのが多点総和法の1種である2点パデ近似である。 x = 0 {\displaystyle x=0} で、関数 f ( x ) {\displaystyle f(x)} がある漸近関数 f 0 ( x ) {\displaystyle f_{0}(x)} を用いて、 f ∼ f 0 ( x ) + o ( f 0 ( x ) ) ( x → 0 ) {\displaystyle f\sim f_{0}(x)+o(f_{0}(x))(x\rightarrow 0)} と表され、更に、 x → ∞ {\displaystyle x\rightarrow \infty } では、ある漸近関数 f ∞ ( x ) {\displaystyle f_{\infty }(x)} を用いて、 f ( x ) ∼ f ∞ ( x ) + o ( f ∞ ( x ) ) ( x → ∞ ) {\displaystyle f(x)\sim f_{\infty }(x)+o(f_{\infty }(x))(x\rightarrow \infty )} と表される場合を考える。適切に f 0 ( x ) , f ∞ ( x ) {\displaystyle f_{0}(x),f_{\infty }(x)} の主要なふるまいを選び出すことで、パデ近似を拡張して用いることにより、これらの漸近的振舞いを同時に再現する近似関数 F ( x ) {\displaystyle F(x)} を様々な場合に見つけることができる。これにより、通常のパデ近似で近似の精度が最も悪くなる恐れのある x → ∞ {\displaystyle x\rightarrow \infty } で、精度が良くなることが保証される。そのため、2点パデ近似は x = 0 ∼ ∞ {\displaystyle x=0\sim \infty } で大域的に良い近似を与える手法となりうる。 f 0 ( x ) , f ∞ ( x ) {\displaystyle f_{0}(x),f_{\infty }(x)} が多項式や負べきの級数で表される場合や、指数関数、対数関数で表される場合、 x ln x {\displaystyle x\ln x} と表される場合などに適用可能である。これを用いて微分方程式の近似解を精度よく与える方法が存在する。また、リーマンゼータ関数の非自明な零点についても実軸上の漸近的ふるまいから、最初の非自明な零点をある程度の精度で見積もることができる。
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