1994年の全日本F3選手権とは? わかりやすく解説

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1994年の全日本F3選手権

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/04 01:10 UTC 版)

1994年の全日本F3選手権
前年: 1993 翌年: 1995

1994年の全日本F3選手権(1994ねんのぜんにほんF3せんしゅけん)は、1994年平成6年)3月19日 - 20日鈴鹿サーキットで開幕し、同年10月1日 - 2日に鈴鹿サーキットで閉幕した全10戦による1994年シーズンの全日本F3選手権である。

シリーズチャンピオンはミハエル・クルムドイツ)が獲得した。

概要

この3年で圧倒的な速さを示したトムス製シャシーのユーザーと、前年4勝と全日本F3においても好結果を挙げユーザーを大幅に増やしたダラーラ・F393およびF394ユーザーとの対決構図となった[1]。一方でダラーラにシェアを奪われたレイナードは片手に収まるほどの少数派となり、1992年まで上位で長く活躍していたラルト製シャシーのユーザーもごく僅かとなり姿を消しつつあった。

トムスは前年秋の富士インターナショナルF3リーグで来日したドイツF3ランキング4位のミハエル・クルムと契約。前年圧勝を見せ全日本F3000へとステップアップして行ったトム・クリステンセンの後任として「トムス・トヨタ」のエースとなり、チームのF3タイトル連覇を目指すこととなったクルムは、開幕から2戦は慎重な走りだったものの、第3戦筑波からはサーキット舗装の日本特有の特徴を掴み完勝を続けるようになる。その速さは童夢F3000チーム監督の松本恵二をして「あれだけ強いと、F3000でどんな走りをするかウチで一度乗せてみたくなった」と評価する強さで[2]、全10戦中6勝を挙げ1994年シリーズチャンピオンを獲得した[3]。クルムはこの松本の言葉通り童夢より全日本F3000スポット参戦を果たした。ランキング2位にもトムスに乗る影山正美が入り、ランキング3位はダラーラ勢最上位となる中野信治が食い込んだ。また、高木虎之介が未勝利ではあったが表彰台に3度上がるなどその速さはアピールされたシーズンであった[1]

最終戦終了後、最も活躍したルーキーに与えられる新人賞には開幕戦でデビューウィンを飾った道上龍が選ばれ、ベストメカニック賞はトムスが受賞した。また、F3でのエンジンオイル開発に協力してきた近畿油化(現・ザーレンコーポレーション)に日本F3協会より感謝状が送られた[4]

この年のF3での活躍により、前述のクルムの他にも影山正美、中野信治、高木虎之介はシーズン終盤に全日本F3000へのスポット参戦の機会が与えられ、全日本F3を卒業していった。

エントリーリスト

車番 ドライバー シャシー エンジン エントラント/チーム
2 西垣内正義 (Rd.1) ダラーラ・F393 トヨタ・3G-S GIZA HOUSE
3 リチャード・ディーン ダラーラ・F394 オペル TOMEI OPEL
4 西宮圭一
サッシャ・マーセン (Rd.9-10)
ダラーラ・F393 オペル
5 加藤隆史 (Rd.3-) ダラーラ・F393 無限・MF204
7 ミハエル・クルム トムス・034F トヨタ・3S-G トムス
8 高木虎之介 トムス・033F → 034F トヨタ・3S-G ITOHAMトムス
9 ベンジャミン・カー (Rd.1-3)[5]
山本将之 (Rd.4-10)
ダラーラ・F393 無限・MF204 AAN mova Dandelion Racing
10 大西太一郎 トムス・033F トヨタ・3S-G 東京NEWS033
11 田嶋栄一 (Rd.1-5) ダラーラ・F393 無限・MF204 アチャラナータ ASADA RACING
11 小田切毅 (Rd.9)
井出有治 (Rd.10)
ダラーラ・F393 無限・MF204 アサダレーシング
13 中野信治 ダラーラ・F393 無限・MF204 SHION FORMULA.LTD
14 本山哲 (Rd.1) トムス・033F トヨタ・3S-G セルモ トリイレーシング
15 土屋武士 トムス・033F トヨタ・3S-G セルモ TOEI トムス
16 影山正美 トムス・033F → 034F トヨタ・3S-G トムス
17 ラッセル・インガル (Rd.1-6)
島守広 (Rd.9)
ダラーラ・F394 トヨタ・3S-G NAVIコネクション ALEXEL
18 大塚学 (Rd.1-3)
島守広 (Rd.5)
ミヒャエル・グラフ (Rd.6)
トムス・033F トヨタ・3S-G
19 井出有治 トムス・033F トヨタ・3S-G BULE☆MAX
20 沢登栄一 (Rd.1-2)
千石英次 (Rd.7-9)
ダラーラ・F393 無限・MF204
21 勝間田健一 ダラーラ・F393 無限・MF204 コスモクリニック
22 鈴木慶祐 ダラーラ・F393 無限・MF204 SHION FORMULA.LTD
24 加藤隆史 (Rd.2) ダラーラ・F393 無限・MF204
29 脇田一輝 レイナード・933 無限・MF204 井村屋 yamamori
30 服部茂章 トムス・033F トヨタ・3S-G プロジェクト・ミュー
31 小泉和寛 オートルック・JKR-614
→ ダラーラ・F393
→ トムス・033F
無限・MF204
33 道上龍 ダラーラ・F393 → F394 トヨタ・3S-G Daiichi NOWモータースポーツ
35 北沢和則 ダラーラ 無限・MF204 ウインズOMF
36 木下みつひろ ダラーラ・F394 フィアット ZEAL ENDLESS
37 柴原眞介 ダラーラ・F394 トヨタ・3S-G ENDLESS
44 宮川正敏 ダラーラ・F393 無限・MF204 THE NEXT ONE
45 加藤寛規 ダラーラ・F393 無限・MF204
47 余郷敦 ダラーラ・F393 無限・MF204 KYOETSU
50 本山哲 (Rd. 7-10) ダラーラ・F393 トヨタ・3S-G 5ZIGEN
51 ベンジャミン・カー (Rd.4) ダラーラ・F393 無限・MF204 AAN mova Dandelion Racing
53 浦吉浩 レイナード・933 無限・MF204 長尾建設 RASA
55 佐田博文 ラルト・RT36 トヨタ・3S-G Fork Racing
56 山崎浩善 ラルト・RT36 トヨタ・3S-G
60 伊藤勝一 ダラーラ・F393 無限・MF204 イエローハット
62 早田岳史 ダラーラ・F393 → F394 無限・MF204 BOSCH ル・ボーセ
64 田中哲也 ラルト・94C 無限・MF204 PIAA Nakajima
65 千石英次 (Rd.3) ラルト・94C 無限・MF204
73 川本篤 ダラーラ・F393 無限・MF204
→ トヨタ・3G-S
ASAHI KIKO
81 大文字良浩 (Rd.8) ラルト・RT36 D's CLUB
83 橋本昌佳 ラルト・RT36
→ レイナード・933
無限・MF204 ピットハウスコスギ
84 ディランタ・マラガムワ (Rd.10) レイナード・933 無限・MF204 チーム・スリランカ93
99 加藤隆史 (Rd.1) ダラーラ・F393 無限・MF204
100 羽根幸浩 (Rd.1-5)
ウォーレン・ヒューズ (Rd.6-10)
ダラーラ・F393 HKS・310E HKSダラーラ

スケジュールおよび勝者

決勝日 開催イベント 優勝者 優勝マシン ポールポジション ファステストラップ
第1戦 3月20日 ミリオンカードカップ鈴鹿 道上龍 ダラーラ・トヨタ 道上龍 影山正美
第2戦 4月10日 コスモ石油 富士インターナショナル 中野信治 ダラーラ・無限 中野信治 中野信治
第3戦 4月24日 筑波チャレンヂカップ ミハエル・クルム トムス・トヨタ 影山正美
第4戦 5月22日 ミリオンカードカップ鈴鹿 ミハエル・クルム トムス・トヨタ M.クルム M.クルム
第5戦 6月12日 仙台ハイランド日本 F3選手権 ミハエル・クルム トムス・トヨタ M.クルム M.クルム
第6戦 6月19日 十勝スピードウェイF3選手権 影山正美 トムス・トヨタ M.クルム 影山正美
第7戦 7月17日 MINE フォーミュラ3 ミハエル・クルム トムス・トヨタ 影山正美 M.クルム
第8戦 8月7日 TI英田選手権 F3 ミハエル・クルム トムス・トヨタ M.クルム 影山正美
第9戦 9月11日 SUGO F3選手権レース ミハエル・クルム トムス・トヨタ M.クルム M.クルム
第10戦 10月2日 ミリオンカードカップ鈴鹿 F3 リチャード・ディーン ダラーラ・オペル W.ヒューズ 高木虎之介

シリーズポイントランキング

ポイントシステム:
順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位
ポイント 9 6 4 3 2 1
ランキング No. ドライバー マシン SUZ FSW TSU SUZ SEN TOK MIN AID SUG SUZ ポイント
1 7 ミハエル・クルム トムス・トヨタ 4 3 1 1 1 2 1 1 1 5 60 (69)
2 16 影山正美 トムス・トヨタ 2 5 2 5 2 1 2 2 6 DNS 41 (44)
3 13 中野信治 ダラーラ・無限 3 1 7 2 4 3 6 Ret 2 8 33
4 3 リチャード・ディーン ダラーラ・オペル 6 2 5 4 3 4 4 8 Ret 1 30 (31)
5 33 道上龍 ダラーラ・トヨタ 1 7 9 3 Ret 5 7 9 9 3 19
6 8 高木虎之介 トムス・トヨタ 19 6 3 8 5 Ret 3 3 7 Ret 15
7 50 本山哲 ダラーラ・トヨタ 7 5 4 4 Ret 8
8 62 早田岳史 ダラーラ・無限 18 9 Ret 7 7 18 16 5 3 6 7
9 4 サッシャ・マーセン ダラーラ・オペル 10 2 6
10 37 柴原眞介 ダラーラ・トヨタ 11 4 22 9 7 Ret 7 8 4 6
11 17 ラッセル・インガル ダラーラ・トヨタ 5 15 6 6 6 Ret 5
12 11 田嶋栄一 ダラーラ・無限 Ret 4 8 14 18 3
13 15 土屋武士 トムス・トヨタ Ret 16 19 9 8 17 9 11 5 9 2
14 100 ウォーレン・ヒューズ ダラーラ・HKS Ret 15 6 Ret Ret 1
14 73 川本篤 ダラーラ・無限 8 Ret 11 15 13 6 Ret Ret Ret Ret 1
- 100 羽根幸浩 ダラーラ・HKS 0
- 10 大西太一郎 トムス・トヨタ 0
- 19/11 井出有治 トムス・トヨタ
ダラーラ・無限
0
- 9 ベンジャミン・カー ダラーラ・無限 0
- 64 田中哲也 ラルト・無限 0
- 45 加藤寛規 ダラーラ・無限 0
- 36 木下みつひろ ダラーラ・フィアット 0
- 30 服部茂章 トムス・トヨタ 0
- 18 ミヒャエル・グラフ トムス・トヨタ 0
- 47 余郷敦 ダラーラ・無限 0
- 84 ディランタ・マラガムワ レイナード・無限 0

脚注

  1. ^ a b 特集F3徹底解剖・国内セカンドフォーミュラF3選手権の歴史 1994戦いはトムスVSダラーラ対決へ オートスポーツ No.709 12-16頁 三栄書房 1996年9月1日発行
  2. ^ F3チャンピオンのクルムがF3000富士に童夢から出場 Racing On NO.178 21頁 1994年11月4日発行
  3. ^ プロフィール・Michael Krumm ミハエル クルム techniq:group advanced technology
  4. ^ 全日程終了 レース後F3表彰式行われる Racing OnNo.178 29頁 1994年11月4日発行
  5. ^ the racing career of Benjamin Kerr DRIVERDETABESE.com

外部リンク




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