オボアルブミンとは? わかりやすく解説

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オボアルブミン【ovalbumin】


オボアルブミン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 17:17 UTC 版)

Ovalbumin dimer, Gallus gallus.

オボアルブミン(Ovalbumin、略称: OVA)は、卵白を構成する主要なタンパク質で、全タンパク質の60-65%を占める[1]。配列と三次元構造はセルピンスーパーファミリーと相同であるが、セリンプロテアーゼ阻害活性は持たない[2]。オボアルブミンの機能は未知であるが、貯蔵タンパク質として機能していると推定されている[3]

研究

オボアルブミンは、以下のような様々な研究領域で重要なタンパク質である。

  • タンパク質の構造と性質の一般的な研究(大量調製することができるため)
  • セルピンの構造と機能の研究(オボアルブミンと他のセルピンの構造の比較により、セリンプロテアーゼの阻害に必要な構造が特定できる)
  • プロテオーム解析鶏卵のオボアルブミンは、電気泳動ゲルの校正のための分子量マーカーとしてよく用いられる)
  • 免疫学研究(気道過敏のモデルアレルゲンとなるなど、アレルギー反応の刺激によく用いられる)

構造

ニワトリのオボアルブミンは385アミノ酸からなり、ポリペプチド鎖の分子量は42699である[4]。N末端アセチル化(G1)やリン酸化(S68およびS344)、グリコシル化(N292)等の修飾を受けている[4]

このタンパク質は分泌されるが、そのシグナルペプチドは切り離されない。さらにシグナルペプチドは他の多くの分泌タンパク質のようにN末端に付加されているのではなく、21番残基から47番残基までの配列内に存在する[5]

医学的な特性

鉄等の重金属による中毒が疑われる場合、オボアルブミンが投与されることがある[6]。オボアルブミンは重金属をキレートし、金属イオンをタンパク質のジスルフィド結合の中に取り込む。キレート化により、重金属は消化管に吸収されなくなり、中毒を防止できる。

感染症とアレルギー

オボアルブミンは卵アレルギーの原因物質の1つとされている[7]。感染症とアレルギーの関係が研究されている[8]

出典

  1. ^ Huntington JA; Stein PE (2001). “Structure and properties of ovalbumin.”. Journal of Chromatography B 756 (1-2): 189-198. doi:10.1016/S0378-4347(01)00108-6. PMID 11419711. 
  2. ^ Hu H.Y., Du H.N. (2000). “Alpha to Beta Structural Transformation of Ovalbumin: Heat and pH Effects”. Journal of Protein Chemistry 19 (3): 177–183. doi:10.1023/A:1007099502179. PMID 10981809. 
  3. ^ Gettins PGW (2002) Serpin structure, mechanism, and function. Chemical Reviews 102(12): 4751-4804.
  4. ^ a b Nisbet AD, Saundry RH, Moir AJG, Fothergill LA, Fothergill JE (1981) The complete amino-acid sequence of hen ovalbumin. European Journal of Biochemistry 115(2): 335.
  5. ^ Robinson A, Meredith C, Austen BM (1986) Isolation and properties of the signal region from ovalbumin. FEBS Letters 203(2): 243-246.
  6. ^ Dominiczak M, Baynes J, Medical Biochemistry, 2d edition (2004), p59.
  7. ^ Thomas Platts-Mills; Ring, Johannes (2005). Allergy in Practice. Berlin: Springer. p. 106. ISBN 3-540-00219-7 
  8. ^ Sano Kunio; Kanna Haneda; Gen Tamura; Kunio Shirato (1999). “Ovalbumin (OVA) and Mycobacterium tuberculosis Bacilli Cooperatively Polarize Anti-OVA T-helper (Th) Cells toward a Th1-Dominant Phenotype and Ameliorate Murine Tracheal Eosinophilia”. Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 20 (6): 1260–1267. doi:10.1165/ajrcmb.20.6.3546. http://ajrcmb.atsjournals.org/content/20/6/1260.abstract 2011年12月28日閲覧。. 

外部リンク


オボアルブミン(Ovalbumin、OVA)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 02:03 UTC 版)

免疫原」の記事における「オボアルブミン(OvalbuminOVA)」の解説

OVA卵白アルブミンとしても知られ鶏卵白に含まれる主要なタンパク質6075%)である。OVAジメチルスルホキシドDMSO)に溶解するため、水性緩衝剤溶解しないハプテン結合させることが可能である。アジュバント免疫原一緒に注射することで、免疫応答高めることができる。

※この「オボアルブミン(Ovalbumin、OVA)」の解説は、「免疫原」の解説の一部です。
「オボアルブミン(Ovalbumin、OVA)」を含む「免疫原」の記事については、「免疫原」の概要を参照ください。

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