高校生映画コンクールとは? わかりやすく解説

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高校生映画コンクール

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/25 09:31 UTC 版)

高校生映画コンクール(こうこうせいえいがコンクール)とは全国の高校生を対象とした自主制作映像作品のコンクールである。対外的な表記では「映画甲子園」を使っており、現在はこの名称で全国的に認識されている。2006年から2022年度までに17大会が開催された。

概要

特定非営利活動法人学校マルチメディアネットワーク支援センター(SMN)が主催した高校生の映画コンクール。

SMNの創立者でプロデューサーの大崎徹哉が2005年に創始した高校生創作音楽コンテスト(音楽甲子園)の開催に刺激を受けた奈良県の高校映画部に所属する生徒から「放送のコンクールはあるのに映画のコンクールはなく、文化祭で発表するしか目標がない。映画甲子園を開催してほしい。」という手紙をもらったことを契機に、下北沢トリウッド、ポレポレ東中野の支配人で学生映画の作品や無名の新人監督に発表の機会を与え、新海誠など多くの新人監督を発掘した大槻貴宏を飛び込みで訪問して映画甲子園の構想を相談し、協力を得て2006年、経済産業省文化庁の後援、一般社団法人日本映画製作者連盟、特定非営利活動法人映像産業振興機構の協力、中央出版株式会社の特別協賛を受けて創設された。

応募者は学校単位で、定時制高校などに通う生徒なら年齢は問われない。また制作者全員が高校生であれば、出演者は高校生でなくてもよい(特別支援学校の場合は必ず制作者全員が高等部在籍の生徒が最低条件となる。出演者は学部問わず可)。

第1回大会には78作品の出展があったが、その背景には募集の段階からマスコミから注目を集め、4大紙と各地方紙などに紹介記事が掲載された他、地方テレビ局、FM・AMラジオ局等に取り上げられるなど、本大会に対する社会的な関心の高さがあった。出展作品は全てDVカメラ撮影、PCを使ったデジタル編集により制作されており、学校現場における映像制作のデジタル化が深く浸透していることをうかがわせる結果となった。技術的な観点からは、特に編集技術の稚拙さが目立つ作品が多く見られ、指導教諭の間からはこの分野での指導者不足を懸念する声が聞かれただけでなく、本大会に併せて技術指導など全体のレベルを底上げする場を設けることを求める意見も聞かれ、早稲田大学との連携につながった。表彰式にはNHK及びTBSの取材が入り、両局の報道番組で特集報道された。

第1回大会からは、優秀作品賞等を受賞した『ウィッシュ バニッシュ ラビッシュ』と規定時間をほんのわずかに超過したために惜しくも選外となったが大槻貴宏が激賞し、後日トリウッドでロングラン上映されてジェネオンエンタテインメントから販売もされた『虹色★ロケット』の2作を監督した伊藤峻太(千葉県立幕張総合高等学校)と撮影賞と編集賞を受賞した『パンプキンラブ』を監督した森岡龍(成蹊高等学校)が巣立っている。

第2回大会は前回を上回る112作品が43都道府県107の高校から出展され、「全国大会」と呼ぶに相応しい規模の大会となった。前回大会がマスコミの注目を集め、様々なメディアを通じて報道されたために本大会の認知が拡大したことと前回大会で多くの指導教員から要望のあった大会開催時期を秋にずらしたことで夏休みを制作期間に当てることが可能になったために、高校生が本大会を目標にした部活動の年間スケジュールを組むようになったことが挙げられる。

今大会において特筆すべきは、前回大会の反省から審査体制を見直し、①映画を構成する各要素を専門的な視点から審査できること ②現役で活躍し、高校生も知っている作品の制作に関わっていること ③自らも自主制作映画の経験を有し、教育的観点から高校生にアドバイスができることなどを要件に審査員の選定に当った結果、監督部門では大会の翌年2008年に公開された『おくりびと』で2009年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀監督賞を受賞し、第81回アカデミー賞では日本映画初の外国語映画賞を受賞した日本を代表する映画監督の滝田洋二郎、企画部門では『ALWAYS 三丁目の夕日』や数多くのジブリ作品をプロデュースした映画プロデューサーの奥田誠治など当代一流の映画人の方々が審査を担当した。

この大会には@niftyとニッポン放送が特別参加し、@niftyは映画甲子園応募者全員に「ココログ」でのブログサービスの提供や@nifty動画共有での予告編の配信を行った。ニッポン放送はイベントに連携して「映画甲子園への道」のラジオ放送とウェブコンテンツ配信を行ったほか、表彰式と作品上映会場として有楽町のイマジンスタジオを提供した。表彰式後にはレセプションが行われ、出展者間の交流も図れ、高校生の映画の祭典に相応しい大会となり、参加者からは、多くの喜びの声が聞かれた。第2回大会からは一次審査を通過した全作品を「入選」とし、また一次審査を通過しなかった作品にも審査員から評価を受けると「佳作入選作品」として賞状が授与されるようになった。

第2回大会からは、最優秀作品賞を受賞したほか、企画賞、撮影賞、美術賞、編集賞など数多くの賞を受賞し、審査員をうならせた『ワッショイ!』を監督した奥山由之(慶應義塾高等学校)が巣立っている。

表彰式開催日・会場

回数 開催日 開催会場
第1回 2006年8月24日 武蔵野公会堂パープルホール
第2回 2007年11月23日 イマジンスタジオ(ニッポン放送)
第3回 2008年11月23日 北沢タウンホール
第4回 2009年11月22日 早稲田大学西早稲田キャンパス(56号館)
第5回 2010年11月28日 早稲田大学大隈記念講堂 大講堂
第6回 2011年12月28日 早稲田大学大隈記念講堂 大講堂
第7回 2012年11月23日 早稲田大学大隈記念講堂 大講堂
第8回 2013年11月24日 早稲田大学大隈記念講堂 大講堂
第9回 2014年11月8日 早稲田大学大隈記念講堂 大講堂
第10回 2015年12月19日 早稲田大学西早稲田キャンパス(63号館)
第11回 2016年12月24日 早稲田大学国際会議場(井深大記念ホール)
第12回 2017年12月26日 早稲田大学国際会議場(井深大記念ホール)
第13回 2018年11月4日 早稲田大学国際会議場(井深大記念ホール)
第14回 2019年12月26日 早稲田大学国際会議場(井深大記念ホール)
第15回 2021年1月18日 WEB開催(映画甲子園特設サイト)
第16回 2022年1月8日 WEB開催(映画甲子園特設サイト)
第17回 2023年1月6日 WEB開催(映画甲子園特設サイト)

※表彰式当日には最終審査も行っている。

映画甲子園2006(第1回)

審査員に寺脇研宮台真司戸梶圭太志摩敏樹らを迎えて、夏に開催された。シンボル映画としてIZAM初の監督作品である『夏音』が起用された。また、表彰式はTBS系『筑紫哲也 NEWS23』で取り上げられた。

出展作品

他にも『勝負っ!』(早稲田大学高等学院)、『魔神裁判』(法政大学第二高等学校)、『SCHERZO 〜風のいたずら〜』(東京都立小石川高等学校)、『SWitCH』(大分県立大分舞鶴高等学校)、『チャレンジ角野』(東京都立竹早高等学校)など、全部で78もの作品が出展された。

映画甲子園2007(第2回)

2007年3月12日から9月30日にかけて募集され、審査員として滝田洋二郎奥田誠治掛須秀一朝川朋之らを迎えて開催。応募作品は112作品、その後一次審査通過作品として32作品が残り同年11月23日に有楽町のイマジンスタジオでの表彰式に前後して11月172425日イマジンスタジオ秋葉原Akiba 3D Theaterの2会場で一次審査通過全作品とプレミア上映招待各作品の上映会を実施した。

またこの大会から、「佳作」「男子助演賞」「女子助演賞」「奨励賞」が新設された。

おもな受賞結果(抜粋)

最多獲得は『ワッショイ!』(慶應義塾高等学校。最優秀賞、部門賞4、特別賞1の計6冠。ほか部門ノミネート3)

映画甲子園2008(第3回)

おもな受賞結果(抜粋)

<部門賞>

● 監督賞 「試験管ベイビー」 学校名:大阪国際大和田高等学校 映画研究部

● 男子演技賞 「試験管ベイビー」 学校名:大阪国際大和田高等学校 映画研究部

● 女子演技賞 「REST」 学校名:埼玉県立芸術総合高等学校 映像芸術科

● 男子助演賞 「試験管ベイビー」 学校名:大阪国際大和田高等学校 映画研究部 *コンクール初の二人が複数受賞。

● 女子助演賞「REST」 学校名:埼玉県立芸術総合高等学校 映像芸術科

● 脚本賞 「紙袋」 学校名:共立女子高等学校 チーム爽快感

● 編集賞 「Love Story²」 学校名:埼玉県立芸術総合高等学校 映像芸術科

● 音楽賞 「憧憬」 学校名:慶應義塾志木高等学校 空まにあ

● 美術賞 「第三の眼 - the third eye -」 学校名:慶應義塾高等学校 TETRA FILM STUDIO

● 撮影賞 「せみ」 学校名:埼玉県立新座総合技術高等学校 映像技術研究部

● 企画賞 「Love Story²」 学校名:埼玉県立芸術総合高等学校 映像芸術科

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