顎脚肢節の相同性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 05:43 UTC 版)
知られる限り、シャコ類の顎脚は6節のみをもち、これは軟甲類の胸肢として基本である7節(底節 coxa・基節 basis・座節 ischium・長節 merus・腕節 carpus・前節 propodus・指節 dactylus)より1節少なく、いずれかの肢節が2つの肢節の癒合だと考えられる。長い間、その癒合は基部3節(外見上の第1肢節=底節+基節、もしくは外見上の第2肢節=基節+座節、もしくは外見上の第3肢節=座節+長節)のいずれかで起こし、残りの外見上の第4-6肢節は癒合していないと考えられたため、第4-6肢節は一般に腕節・前節・指節(元の第5-7肢節)と呼ばれていた。しかし、antizoea 型幼生の外肢は外見上の第2肢節の後縁に付くことが後に判明し、また軟甲類の外肢は座節(元の第2肢節)の後縁のみに付くことにより、シャコ類の顎脚底節・基節・座節はお互いに癒合せず、癒合はそれ以降の肢節(外見上の第3-6肢節のいずれか)で起きていたことが示される。また、基盤的な絶滅群古口脚亜目と昔口脚亜目は、鎌の付け根には短縮した2節が存在し、これは一般的にそれぞれ現生群の第3と第4肢節(鎌を射出する関節をなす2節)に該当すると考えられた。しかし、この2節の間の関節は現生群の第3-4肢節ほど折り返しておらず(その1個前の関節の方が現生群の鎌を射出する関節に近い)、先端側の肢節も鎌と一体化する傾向が見られるため、基部側の肢節は現生群の第4肢節、先端側の肢節は現生群の第5肢節の前半部に対応するとも考えられる。これによると、現生群の第3と第4肢節(”長節/座節+長節”と”腕節”)は順番通りに座節と長節で、外見上の第5肢節(”前節”)は、実際には癒合した腕節と前節(元の第5と第6肢節)であるかもしれない。 現生シャコ類の顎脚肢節解釈外見上の肢節番目 解釈 123456底節+基節説 底節(1)+基節(2) 座節(3) 長節(4) 腕節(5) 前節(6) 指節(7) 基節+座節説 底節(1) 基節(2)+座節(3) 長節(4) 腕節(5) 前節(6) 指節(7) 座節+長節説 底節(1) 基節(2) 座節(3)+長節(4) 腕節(5) 前節(6) 指節(7) 腕節+前節説 底節(1) 基節(2) 座節(3) 長節(4) 腕節(5)+前節(6) 指節(7)
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