非攻説の提唱
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/05 06:29 UTC 版)
墨子は、当時の戦争による社会の荒廃や殺戮による世の悲惨を批判し、政治の目的は人びとの幸福にあるが、戦争は略奪・盗賊的行為であり、人びとに何の利益も幸福ももたらさない。他国を奪取して利益を得たとしても、蓄積された財貨を破壊する行為であることには変わらず、多くの人命も失われると説き、戦争では失うものの方がはるかに多いとして、他国への侵攻を否定する主張を展開した。『墨子』は墨子による直著とみられており、そこでは「人一人を殺せば不義(正義に反する)といい、死刑になる。この説に従うなら、十人を殺せば十の不義で死刑十回分に相当し、百人を殺せば百の不義で死刑百回分に相当する。このことは天下の権力者は皆知っていてその非を鳴らし、不義としている。ところが、(戦争で)大いに不義を働いて他国を攻めると、それを非とすることを知らず、正義と誉める。それが正義に反することを知らないのだ」と訴えている。
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