阿部説の意義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/23 17:01 UTC 版)
武田宗俊にとって唱えられた玉鬘系後記挿入説をはじめとするさまざまな源氏物語の成立論が一時期大きな議論を呼び起こしながらも、明確な結論が出ないままで議論が低調となってしまった理由の一つに、これらの「説」に外部的な証拠が存在しなかったことがあげられることがある。そのような中で阿部説のいうように更級日記に記されている「紫のゆかり」なる記述が「若紫グループ」のことを意味するのであれば、平安時代中期には「最初に執筆された若紫グループだけを内容とする源氏物語の写本」が流通していたことになり、源氏物語全体が成立する以前の時期の源氏物語の伝播の実態を伝えている可能性のある大変貴重な記録ということになる。
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