触手冠動物は新口動物か
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/26 20:25 UTC 版)
「触手冠動物」の記事における「触手冠動物は新口動物か」の解説
左右相称動物は、成体の口が発生過程で生じる原口に由来する旧口動物と、そうでない新口動物に2分される。触手冠動物のうち、腕足動物と外肛動物の口は原口に由来しない。また、3体部性の体制や、放射卵割、腸体腔由来の体腔などの特徴も、他の新口動物と共通するものである。そのため新口動物に含むとされることが多かったが、キチン質を持ちシアル酸を持たないなどの旧口動物的な特徴も持つため、異論もあった。 分子系統学の研究は、触手冠動物の3群を旧口動物、そのなかでも冠輪動物と呼ばれるグループに含めることを支持している。はじめは18SリボソームRNAの塩基配列を用いて推定されたものだが、他の細胞核遺伝子やミトコンドリアDNAによる研究も、同様の結果を支持した。少なくとも外肛動物と腕足動物は、冠輪動物に特有のHox遺伝子を持つことも確認されている。 一方で、触手冠動物が新口動物の形態的・発生的特徴を持つのもまた事実であり、それを重視して触手冠動物を新口動物に含める意見もあるが、それらの特徴は左右相称動物の祖先形質あるいは収斂進化によるもので、系統を反映したものではないと考えれば、形態の知見は分子系統学の結果と必ずしも矛盾しない。
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