行列環
抽象代数学において、行列環 (matrix ring) は、行列の加法および行列の乗法のもとで環をなす、行列の任意の集まりである。環を成分に持つ n×n 行列全体の集合や無限次行列環 (infinite matrix ring) をなす無限次行列のある部分集合は行列環である。これらの行列環の任意の部分環もまた行列環である。
R が可換環のとき、行列環 Mn(R) は行列多元環 (matrix algebra) と呼ばれる結合多元環である。この状況において、M が行列で r が R の元であれば、行列 Mr は行列 M の各成分に r をかけたものである。
行列環は単位元をもたない環R上でも作ることができるが、ここでは終始 R は単位元 1 ≠ 0 をもつ結合的環であると仮定する。
例
- 任意の環 R 上のすべての n×n 行列からなる集合。 Mn(R) あるいは Matn(R) や Rn×n と表記される。これは通常「n 次全行列環」(full ring of n by n matrices) と呼ばれる。これらの行列は自由加群 Rn の自己準同型を表す。
- 環上のすべての上(あるいは下)三角行列のなす集合。
- R が単位元をもつ任意の環であれば、右 R 加群としての
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