著者――使徒トマス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 03:28 UTC 版)
「トマスによる福音書」の記事における「著者――使徒トマス」の解説
本福音書の本文には「使徒トマス」により書き記されたとある。ただし、学問上、実際に使徒トマスによって書かれたものとは考えられない。 「トマス」は、アラム語で「双子」を意味する言葉「テオマー、トーマー」(ܬܐܘܡܐ, Te'omā, Tōmā)に由来し、ギリシア語では、音訳して「トーマース」(Θωμᾶς)とするか、意訳して「ディデュモス」(Δίδυμος)とする。彼は、「ユーダース・トーマース」(Ἰούδᾱς Θωμᾶς)、または「ユーダース・ディデュモス」(Ἰούδᾱς Δίδυμος)とも称され、本名は「ユダ」で、恐らく「イスカリオテのユダ」らと区別するために、「双子」を意味する呼び名が付けられていると思われる。 本福音書の序では、ギリシア語の音訳語と意訳語を並列して「ディデュモ(ス)・ユダ(ス)・トマス」(コプト語: Ⲇⲓⲇⲩⲙⲟⲥ Ϊⲟⲩⲇⲁⲥ Ⲑⲱⲙⲁⲥ, Didumos Ïoudas Thomas)と書かれている。 そもそも、使徒トマスがなぜ「双子」という呼び名を持つのか、また誰と双子であったのかは不明であるが、本福音書では、イエスと「双子」であったと示唆され、高く評価されている。ただし、グノーシス主義的な立場から述べた象徴的な意味での双子であって、必ずしも血縁の兄弟を意味するものではない。 現行の新約聖書では、使徒トマスは、十二使徒の一人に数えられるだけであまり目立たず、時として低く評価されている
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