自己組織化リソグラフィ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/19 03:46 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動自己組織化リソグラフィ(じこそしきかリソグラフィ)(Directed Self-Assembly, DSA)はブロック共重合体の自己組織化現象を利用したナノ構造構築法の一手法で次世代の微細加工技術として期待される[1]。
概要
リソグラフィ技術はこれまでムーアの法則に従って年々、集積度が向上してきたが、近年、その限界に近づきつつあり、従来の光リソグラフィでは極深紫外線露光では露光装置の高額化により、集積度の向上に伴う費用を吸収しきれなくなりつつある[2]。そのため、次世代リソグラフィ技術へのパラダイムシフトが求められていて、自己組織化リソグラフィは、塗布・アニール・現像のみでパターニング可能なので次世代の半導体製造技術として期待が寄せられる[1]。自己組織化技術とは、分子間相互作用の巧みな制御によって規則構造を有する分子集合体を自発的に発現させる方法で近年では高分子を用いた自己組織化も盛んに研究が行なわれており、極めて精密な構造制御が実現されている[3]。
連結されたジブロックコポリマーは同一ポリマー成分同士が分子間集合することでミクロ相分離を起こし、2つのポリマー成分間の分子鎖長比(f)に応じて集合時の界面曲率が変化することで、球状構造、シリンダー構造、ジャイロイド構造、ラメラ構造といった規則的なモルフォロジーを与え、この規則構造が半導体微細パターニングに好適となる[3]。
長所
短所
- 量産技術とするにはプロセス制御などに課題があり、実用化には至っていない[4]。
課題
300mmウェハー上のDSAパターンは、すでに研究開発レベルでは試作されているが、パターン形成に必要なテンプレートの作製にはフォトリソグラフィが使われていてテンプレートの解像度や形状制御に限界がある[4]。
用途
- 20nm以降の微細パターニングが可能な次世代半導体製造技術として期待される[1]。
関連項目
脚注
- ^ a b c “自己組織化リソグラフィ 〜より高性能で低コストな半導体の実現を目指して〜”. 2016年10月8日閲覧。
- ^ 木原尚子. "自己組織化リソグラフィ技術" 東芝レビュー 67.4 (2012): 44-47.
- ^ a b 生井準人, 杉田光, 日城良樹. "自己組織化材料の半導体微細パターニングへの応用" JSR テクニカルレビュー 119 (2012): 7-13.
- ^ a b c d MITとSRC、誘導自己組織化(DSA)による微細パターン形成を容易にするテンプレート設計法
参考文献
- 白鳥世明、「交互吸着自己組織化膜のナノ構造制御とデバイス応用」 『応用物理』 2000年 69巻 5号 p.553-557, doi:10.11470/oubutsu1932.69.553
- 下村政嗣. "分子の自己組織化でデバイスを創ることができるだろうか?(特集 化学が拓くナノテクノロジー)." 化学 57.1 (2002): 17-20, NAID 40000393351.
- 中村雅一, 佐久間広貴, 酒井正俊 ほか、「「自己組織化」 有機ナノトランジスタ」 『表面科学』 2003年 24巻 2号 p.77-82, doi:10.1380/jsssj.24.77
- 早川晃鏡、「シルセスキオキサン含有ブロック共重合体による 新しい自己組織化リソグラフィ材料の開発」 『ネットワークポリマー』 2011年 32巻 5号 p.268-275, doi:10.11364/networkpolymer.32.268、合成樹脂工業協会
- 清野由里子, 加藤寛和, 米満広樹、「半導体プロセスへの自己組織化リソグラフィ応用」 『電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌)』 2013年 133巻 10号 p.532-536, doi:10.1541/ieejfms.133.532
- 笹尾典克、「自己組織化材料を用いたシングルナノサイズ領域のパターン加工技術」 『東芝レビュー』 68.8 (2013).
自己組織化リソグラフィ
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「次世代リソグラフィ」の記事における「自己組織化リソグラフィ」の解説
詳細は「自己組織化リソグラフィ」を参照 自己組織化リソグラフィは分子間相互作用の巧みな制御によって規則構造を有する分子集合体を自発的に発現させる方法で塗布・アニール・現像のみでパターンを形成できる。
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