素粒子物理学での湯川ポテンシャル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/14 18:14 UTC 版)
「湯川ポテンシャル」の記事における「素粒子物理学での湯川ポテンシャル」の解説
このポテンシャルは元々、湯川秀樹が短距離力である核力の説明のために導入したものである(1935年)。核力は、核子間でやりとりされる未知の粒子によるとし(交換力)、その力を表すポテンシャルの形が湯川ポテンシャルとなる。この場合、上記式に相当する核力でのポテンシャルの形は、 − f 2 4 π ℏ c m c 2 1 r / λ e − r / λ = − f 2 4 π 1 λ 1 r / λ e − r / λ = − f 2 4 π 1 r e − r / λ {\displaystyle -{\frac {f^{2}}{4\pi \hbar c}}mc^{2}{\frac {1}{r/\lambda }}e^{-r/\lambda }=-{\frac {f^{2}}{4\pi }}{\frac {1}{\lambda }}{\frac {1}{r/\lambda }}e^{-r/\lambda }=-{\frac {f^{2}}{4\pi }}{\frac {1}{r}}e^{-r/\lambda }} となる。ここで、 κ = 1 λ = m c ℏ {\displaystyle \kappa ={1 \over \lambda }={mc \over {\hbar }}} である。c は真空での光速、 ℏ {\displaystyle \hbar } はディラック定数、mは未知の粒子の質量である。質量ゼロの光子のやりとりによる交換力(つまりクーロン力)によるポテンシャルは、1/rの形であるが、湯川は核力は短距離力であり上記のような短距離にしか及ばないポテンシャルを考え、その交換力を担う粒子は有限の質量を持つと考えた。そして、その未知の粒子の質量を、およそ電子の200倍の重さと予想した(1934年頃)。この未知の粒子が、中間子であり、上式でのλ(=1/κ)を中間子のコンプトン波長と言う。f は、核子と中間子の結合定数である。
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