第76回天皇賞とは? わかりやすく解説

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第76回天皇賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/06 04:25 UTC 版)

天皇賞 (秋) > 第76回天皇賞

1977年11月27日東京競馬場で開催された第76回天皇賞(だい76かいてんのうしょう)について記述する。

  • 馬齢は当時使用されていた旧表記(数え年)にて表記。

レース施行時の状況

宝塚記念テンポイントを一蹴し健在ぶりを示したトウショウボーイ単枠指定の1番人気、天皇賞(春)でテンポイントの2着に入ったクラウンピラードが2番人気、『TTG』の一角を担う菊花賞馬のグリーングラスが3番人気であった。

なお、当時の天皇賞は勝ち抜け制であった為、既に天皇賞馬となっているテンポイントには出走権が無かった。

トウショウボーイはクラシック有馬記念の疲労の蓄積と深管骨瘤で、競走馬となって初の長い休養から春後半に復帰。宝塚記念・高松宮杯を勝利して迎えた秋、中山芝1600mのオープン戦で2着カネコフジに7馬身差の圧勝。勝ち時計の1分33秒6は当時の日本レコードであった[1]。父・テスコボーイ譲りの天性のスピード馬であったため、距離3200mに一抹の不安はあったものの人気の中心であった。

エイトクラウンを母に持つクラウンピラードは半兄がナオキ。天皇賞に挑戦し続けたが、短距離系の父・サウンドトラックの血に泣いていた。父・ダイハードと変わった同馬は5歳にして素質が開花し、天皇賞(春)で12番人気ながらテンポイントの2着。秋はオープン戦4、2着、初東上の目黒記念(秋)2着と来ていた。

グリーングラスは年明けのAJCC7月日本経済賞を共にレコード勝ちしたが、『TTG』の一角と言われながらも天皇賞(春)4着、揃い踏みの宝塚記念3着。古馬となってからはトウショウボーイ、テンポイントとは明らかに差のある戦績で、主戦騎手安田富男から嶋田功に交代していた。今回は脚部不安や熱発から7月以来のぶっつけとなったが、鞍上の嶋田は前年のアイフルに続く天皇賞(秋)2連覇が懸かっていた。

その他では今回がラストランとなるロングホーク1972年生まれの同馬はカブラヤオーと同期で、クラシックは皐月賞2着、東京優駿6着、カブラヤオーが戦列を離れた菊花賞はコクサイプリンスの5着。そこから重賞3勝を含む6連勝と快進撃の活躍を見せ、前年の天皇賞(春)は堂々の1番人気に支持されたが、『天才福永洋一が手綱を握るエリモジョージの大駆けの前にクビ差2着。京都で行われた宝塚記念ではフジノパーシアの2着、オープン戦3着・3着、天皇賞(秋)はアイフルの3着、阪神大賞典2着、淀短距離S4着、オープン戦1着・3着・2着。決して不調ではなかったものの、重賞勝ちすらままならない成績で、馴れない短距離も走るなど迷走していた。

トウショウボーイと同じテスコボーイを父に持つホクトボーイは対照的に長距離を得意とし、4歳秋までは条件馬という晩成タイプであった。阪神大賞典でロングホークを破ると、古馬になって挑んだ天皇賞(春)は10番人気ながらテンポイントの3着に入り、グリーングラス・クライムカイザーに先着。秋は朝日CCを勝つ上々の滑り出しで、京都大賞典はテンポイントの6着と敗れたが、京都記念(秋)シンザン産駒のシルバーランドに勝利。天皇賞(秋)を目指して初東上。

カシュウチカラは4歳16戦、5歳11戦目と走って走った叩き上げ。オープンクラスに昇格したばかりの身で挑んだ目黒記念(春)を8番人気で制し、その後の不振で評価を落とした京王杯AHは11番人気で制した。

カーネルシンボリは新馬から5連勝で弥生賞を制し8戦7勝。期待されたクラシックは骨折で全休。復帰と脚部不安を繰り返しながら、2年前の天皇賞(秋)でフジノパーシアの2着に入った。

トウショウボーイと同厩、かつて同馬に騎乗した池上昌弘騎乗のシタヤロープは、大井で9戦8勝、3着1回という成績を引っ提げて4歳春に中央入りしたが、屈腱炎繋靭帯炎に悩まされ、オープン戦3、7、4、2着、僅か4戦で6歳秋を迎えていた。

出走馬と枠順

芝3200メートル 天候:曇、芝:やや重
枠番 馬番 競走馬名 騎手 オッズ 調教師
1 1 トウショウロック 牡7 加賀武見 75.0(11人) 阿部正太郎
2 2 トウカンタケシバ 牡5 中野栄治 58.7(10人) 浅野武志
3 3 クラウンピラード 牡5 佐々木昭次 8.5(2人) 田中康三
4 4 トウフクセダン 牡5 宮田仁 30.9(8人) 大久保末吉
5 カシュウチカラ 牡6 出口明見 17.5(6人) 矢倉玉男
5 6 トウショウボーイ 牡5 武邦彦 2.3(1人) 保田隆芳
6 7 ランスロット 牡5 中島啓之 81.0(12人) 高松三太
8 ロングホーク 牡6 松田幸春 13.1(4人) 松田由太郎
7 9 ホクトボーイ 牡5 久保敏文 17.0(5人) 久保道雄
10 グリーングラス 牡5 嶋田功 8.5(3人) 中野隆良
8 11 カーネルシンボリ 牡7 柴田政人 22.0(7人) 黒坂洋基
12 シタヤロープ 牡6 池上昌弘 44.6(9人) 保田隆芳

レース展開

レースはトウカンタケシバが2番枠を生かして単騎先頭に立つと、トウショウボーイが2番手に付ける。後はトウショウロック、ロングホーク、グリーングラスなどがひと塊となったが、ホクトボーイは1頭ポツンと離れての最後方であった。

向正面でトウショウボーイが先頭に立つと、すかさず外からグリーングラスが並びかけた。先に動いたトウショウボーイにグリーングラスが絡んで行き、2頭が後続を引き離した。思いもよらぬ展開に場内はどよめいたが、そのまま2頭は並んだまま直線に入った。最後の正念場となる直線で振り切るべく、お互いが競り落とそうと懸命に走ったが、競り合いが早過ぎたところを突いたクラウンピラードが2頭の内から伸び、代わって先頭に立った。トウショウボーイ、グリーングラスは負けじと脚を回転させるが、脚が動かない状態に陥り、最後方にいたホクトボーイが鬼脚を炸裂させて、大外から吹っ飛んできた。クラウンピラードをも抜き去り、2馬身半の圧倒的な差をつけてゴールした。ホクトボーイが後方待機から漁夫の利を得た形となり、3着には同じく直線に賭けたシタヤロープが入った。

トウショウボーイとグリーングラスは両者共倒れの7、5着に終わり、引退レースのロングホークは11着であった。

競走結果

着順 枠番 馬番 競走馬名 タイム 着差
1 7 9 ホクトボーイ 3.22.5
2 3 3 クラウンピラード 3.22.9 2.1/2馬身
3 8 12 シタヤロープ 3.23.2 1.1/2馬身
4 4 4 カシュウチカラ 3.23.4 1.1/2馬身
5 7 10 グリーングラス 3.23.4 アタマ
6 6 7 ランスロット 3.23.6 1.1/4馬身
7 5 6 トウショウボーイ 3.23.8 1馬身
8 8 11 カーネルシンボリ 3.24.4 3.1/2馬身
9 2 2 トウカンタケシバ 3.24.5 アタマ
10 4 4 トウフクセダン 3.25.1 3.1/2馬身
11 6 8 ロングホーク 3.25.2 3/4馬身
12 1 1 トウショウロック 3.25.2 アタマ

払戻金

単勝式 9 1,260円
複勝式 9 380円
3 190円
12 540円
連勝複式 7-3 1,120円

その他

脚注

  1. ^ 1週間後に牝馬のアイノクレスピンが1分33秒5で快勝し、レコードを塗り替える。



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