田辺真人_(奈良時代)とは? わかりやすく解説

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田辺真人 (奈良時代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/05 06:06 UTC 版)

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田辺 真人(たなべ の まひと、生没年不詳)は、奈良時代官人氏姓は田辺史のち上毛野君(公)官位従五位下造東大寺司判官

経歴

天平7年(735年)12月、写経所経師とあるのが初見。その事績は『正倉院文書』に細かく記されているが、おおまかに記すと、同14年(742年)6月、福寿寺一切経所に自署しており[1][2]、天平14年(742年)・同16年(744年)・同17年には史生、同18年(746年)には金光明寺造物所の舎人大初位上、同年閏9月から12月にかけて「史生」とあり、さらに造東大寺司判官と見え、金光明寺より二等給として、2匹、綿4屯、布1匹を与えられている[3]

同19年(747年)にも判官と見え、6月には正八位上、12月には史生とある。同20年(748年)7月、判官、正八位上とあり、同21年(749年)までには従七位上に昇叙したらしい。天平勝宝改元後の7月には私経弥勒経を書写させ[4]、同年8月には薬師経を書写させた[5]。9月には正七位上に昇叙されており[6]、救護経を書写せしめた[7]。この頃に上毛野公、あるいは上毛野公となっている。ただし、同3年までは「田辺史」とも記されている。おそらく、天平勝宝2年(750年)一族の田辺難波田辺広浜らとともに田辺史から上毛野君に改姓したものと思われる[8]

同2年3月から5月のうちに正六位下に昇叙している。8月には知事・判官とあり、この時に私願経を書写せしめた[9]。以後も引き続き造東大寺司判官であり、同6年(754年)閏10月には外嶋院に署している[10]・同7年(755年)正月も同様[11]、同7歳(755年)3月、正六位上下野員外掾を兼任している。

同9歳(757年)5月、食三田次・川原凡・益田縄手・大蔵家主・土師犬養土師弟勝とともに従五位下に昇叙している[12]天平宝字2年(758年)8月、大般若経料紙20枚をすすめている[13]。同3年(759年)6月、造東大寺司鋳所解に署し[14]、同年11月、検田使として越中国東大寺田を検し、同年12月、同じく検田使として越前国足羽郡糞置村の東大寺田を検している。

同4年(760年)6月、光明皇太后の葬の養民使となっている[15]。同5年(761年)9月には美濃介と見え、同6年(762年)4月、判官で、鋳所別当を兼任し、同7年(763年)、美作介に任じられた[16]

その後、藤原仲麻呂の乱に関係したらしく、官位を剥奪されているが、天平神護3年(767年)正月、無位より本位の外従五位下に復し[17]神護景雲2年(768年)2月、造東大寺司大判官に就任している[18]

以上が主要な経歴であるが、このほかに、年月は不詳ではあるが、親族である大舎人の田辺両麻呂を写経所校生に推挙し[19][20]、判官の時、机2台を進上し[21]、553文を進め[22]、啓状がある[23]。このほかにも、正倉院文書の各所に多数、名前が散見している。

官歴

注記のないものは『続日本紀』による。

脚注

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  1. ^ 『寧楽遺文』下巻544頁
  2. ^ 『大日本古文書』巻八 - 63頁
  3. ^ 『大日本古文書』巻九 - 319頁
  4. ^ 『大日本古文書』巻十 - 122頁、巻十一 - 46頁
  5. ^ 『大日本古文書』巻十一 - 3頁
  6. ^ 『大日本古文書』巻三 - 320頁
  7. ^ a b 『大日本古文書』巻三 - 402頁
  8. ^ 『続日本紀』巻第十八、孝謙天皇 天平勝宝2年3月10日条
  9. ^ 『大日本古文書』巻十 - 515頁
  10. ^ 『大日本古文書』巻十三 - 112頁
  11. ^ 『大日本古文書』巻廿五 - 184頁
  12. ^ 『続日本紀』巻第二十、孝謙天皇 天平勝宝9歳5月20日条
  13. ^ 『大日本古文書』巻四 - 296頁・397頁、巻十四 - 277頁
  14. ^ 『大日本古文書』巻四 - 374頁
  15. ^ 『続日本紀』巻第二十二、廃帝 淳仁天皇 天平宝字4年6月7日条
  16. ^ 『続日本紀』巻第二十四、廃帝 淳仁天皇 天平宝字7年正月9日条
  17. ^ 『続日本紀』巻第二十八、称徳天皇 天平神護3年正月22日条
  18. ^ 『続日本紀』巻第二十九、称徳天皇 神護景雲2年2月18日条
  19. ^ 『寧楽遺文』下巻534頁
  20. ^ 『大日本古文書』巻廿二 - 373頁
  21. ^ 『大日本古文書』巻十五 - 309頁
  22. ^ 『大日本古文書』巻十五 - 457頁
  23. ^ 『大日本古文書』巻十五 - 455頁
  24. ^ 『大日本古文書』巻七 - 43頁
  25. ^ 『大日本古文書』巻七 - 494頁
  26. ^ 『大日本古文書』巻廿四 - 276頁
  27. ^ 『大日本古文書』巻八 - 218頁
  28. ^ 『大日本古文書』巻十一 - 356頁
  29. ^ 『大日本古文書』巻九 - 301頁
  30. ^ 『大日本古文書』巻廿四 - 329頁
  31. ^ 『大日本古文書』巻十一 - 225頁・358頁、廿四 - 181頁
  32. ^ 『大日本古文書』巻十 - 286頁
  33. ^ 『大日本古文書』巻九 - 395頁
  34. ^ 『大日本古文書』巻十 - 553頁
  35. ^ 『大日本古文書』巻十 - 317頁
  36. ^ 『大日本古文書』巻八 - 271頁・543頁
  37. ^ 『大日本古文書』巻三 - 320頁
  38. ^ 『大日本古文書』巻十一 - 177頁
  39. ^ 『大日本古文書』巻十一 - 158頁
  40. ^ 『寧楽遺文』下巻464頁
  41. ^ 『大日本古文書』巻四 - 180頁
  42. ^ 『寧楽遺文』下巻739頁
  43. ^ 『大日本古文書』巻四 - 206頁
  44. ^ 『東大寺要録』巻二 - 259頁
  45. ^ 『寧楽遺文』下巻730頁・731頁
  46. ^ 『大日本古文書』巻四 - 392頁・巻五 - 645頁
  47. ^ 『東大寺要録』巻二 - 312頁・354頁
  48. ^ 『寧楽遺文』下巻665頁・721頁
  49. ^ 『大日本古文書』巻四 - 393頁・巻五 - 563頁
  50. ^ 『東大寺要録』巻二 - 196頁
  51. ^ 『大日本古文書』巻十五 - 58頁
  52. ^ 『寧楽遺文』下巻470頁・473頁・474頁
  53. ^ 『大日本古文書』巻五 - 188頁・195頁・198頁

参考文献


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