特異多様体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 00:57 UTC 版)
射影多様体 X {\displaystyle X} を定めている環(underlying algebra) R {\displaystyle R} の Spec {\displaystyle {\text{Spec}}} を考える。これは、 X {\displaystyle X} のアフィン錐と呼ばれているもので、原点が常に特異点になる。例えば、 x 0 5 + x 1 5 + x 2 5 + x 3 5 + x 4 5 {\displaystyle x_{0}^{5}+x_{1}^{5}+x_{2}^{5}+x_{3}^{5}+x_{4}^{5}} で定義される 3 {\displaystyle 3} 次元代数多様体のアフィン錐を考える。ヤコビ行列は [ 5 x 0 4 5 x 1 4 5 x 2 4 5 x 3 4 5 x 4 4 ] {\displaystyle {\begin{bmatrix}5x_{0}^{4}&5x_{1}^{4}&5x_{2}^{4}&5x_{3}^{4}&5x_{4}^{4}\end{bmatrix}}} となり、これは原点で消えるので、この錐は特異である。このようなアフィン超曲面は、比較的単純な環だが豊富な構造を持つため特異点論でよく現れる。 もう1つの特異多様体の例は、滑らかな多様体の射影錐である。 X ⊂ P n {\displaystyle X\subset \mathbb {P} ^{n}} を滑らかな射影多様体とすると、その射影錐とは P n + 1 {\displaystyle \mathbb {P} ^{n+1}} の X {\displaystyle X} と交わる全ての直線の和集合として定義される。例えば、 Proj ( C [ x , y ] ( x 4 + y 4 ) ) {\displaystyle {\text{Proj}}\left({\frac {\mathbb {C} [x,y]}{(x^{4}+y^{4})}}\right)} の射影錐は、スキーム Proj ( C [ x , y , z ] ( x 4 + y 4 ) ) {\displaystyle {\text{Proj}}\left({\frac {\mathbb {C} [x,y,z]}{(x^{4}+y^{4})}}\right)} である。 z ≠ 0 {\displaystyle z\neq 0} のチャートでは、これは Spec ( C [ X , Y ] ( X 4 + Y 4 ) ) {\displaystyle {\text{Spec}}\left({\frac {\mathbb {C} [X,Y]}{(X^{4}+Y^{4})}}\right)} というスキームになっており、これをアフィン直線 A Y 1 {\displaystyle \mathbb {A} _{Y}^{1}} に射影すると、原点で退化する4点の族になっている。このスキームが非特異であることは、ヤコビ行列を使う判定法を使っても確かめられる。
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