無定形炭素とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 化学 > 分子化学 > 炭素 > 無定形炭素の意味・解説 

むていけい‐たんそ【無定形炭素】

読み方:むていけいたんそ

炭素同素体の一。はっきりした結晶状態を示さない炭素木炭・すす・コークスなど。


無定形炭素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 23:42 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

無定形炭素(むていけいたんそ)は、結晶構造を持たず、反応性に富む炭素である。無定形炭素物質は、末端を水素とのダングリングボンドとすることで安定化し、水素化無定形炭素と呼ばれる。全てのアモルファス固体と同様に、短距離での秩序は観察される。通常の無定形炭素はaC、水素化無定形炭素はaC:HまたはHACダイヤモンドライクカーボン(DLC)ta-Cという記号で表わされる。アモルファス炭素とも言う。

鉱物学

鉱物学においては、無定形炭素は石炭すす、またグラファイトでもダイヤモンドでもないその他の純粋ではない形の炭素に用いられる名前である。しかし、結晶学的には、このような物質は本当のアモルファスではなく、グラファイトや無定形炭素のマトリックスに埋め込まれたグラファイトやダイヤモンドの多結晶である[1]。販売されている炭素も不純結晶を形成するかなりの量の他の元素を含む。

近代科学

20世紀後半に化学気相成長、スパッタ成長、陰極アーク成長等の薄層の沈着成長法が発展すると、真の無定形炭素を作成することが可能となった。

真の無定形炭素はπ電子が局在しており、結合の長さは他の炭素の同素体と異なる。また、ダングリングボンドも多く含まれ、結合角度が変わるとともに、回折で測定される原子間空間の偏差が5%ほど大きくなる[2]

無定形炭素フィルムの性質は、沈着に用いられたパラメータによって変わる。無定形炭素を特徴付ける主要な性質は、物質中のsp2sp3炭素-炭素結合の比である。グラファイトは純粋なsp2、ダイヤモンドは純粋なsp3で構成される。sp3が多いものは、多くの物理的性質がダイヤモンドに近く、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる。

sp2とsp3の比は、いくつかの分光ピークの相対強度を比較することで実験的に決定することができる。理論的には、sp2とsp3の比は、隣接炭素原子の数が3つのものと4つのものを数えることで得ることができる。

実際の無定形炭素(例えば、煙、煙突のすす、歴青無煙炭等の鉱物)は全て、かなりの量の多環芳香族炭化水素を含み、そのためほぼ確実に発がん性がある。

出典

  1. ^ “diamond-like carbon films” (pdf) (2nd ed.). http://www.iupac.org/goldbook/D01673 2006年6月28日閲覧。 
  2. ^ “amorphous carbon” (pdf). IUPAC Compendium of Chemical Terminology (2nd ed.). International Union of Pure and Applied Chemistry. (1997). http://iupac.org/goldbook/A00294.pdf 2006年6月28日閲覧。 

関連項目


「無定形炭素」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



無定形炭素と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「無定形炭素」の関連用語

無定形炭素のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



無定形炭素のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの無定形炭素 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS