灰吹法による製錬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 04:20 UTC 版)
銀黒と呼ばれる自然銀や輝銀鉱の微粒子を含む鉱石、あるいは少量銀を含有する黄銅鉱などの鉱石に鉛または方鉛鉱を加え、溶融すると銀は溶融鉛のなかに溶け込む。これを荒吹と呼ぶ。この銀を溶かし込んだ鉛は貴鉛(きえん)と呼ばれ、溶融した状態で分離され、骨灰製の灰吹炉あるいは坩堝で空気を吹きつけながら溶解すると、鉛は空気中の酸素と反応し酸化鉛となり骨灰に吸収され、酸化されにくい銀が残る。これが灰吹銀である。 また銀を含有する荒銅(粗銅)を溶融し鉛を加え、徐々に冷却し800℃前後に保つと、鉛に対する溶解度の小さい精銅が固体として析出し、依然溶融している鉛の中には溶解度の大きい銀が溶け込み、精銅から分離すると貴鉛が得られる。荒銅から灰吹法により銀を取り出す作業は特に南蛮吹(なんばんぶき)あるいは南蛮絞(なんばんしぼり)と呼ばれ、取り出された灰吹銀は絞銀(しぼりぎん)と呼ばれた。 さらに鉛の鉱石である方鉛鉱も0.1 - 0.2%程度の銀を含んでいるのが普通であり、取り出された粗鉛地金にも少量の銀が含まれ貴鉛に加わる。日本最古の銀産出の記録が残る対馬銀山においては、含銀方鉛鉱を山上に運び数十日間焼き続けて銀を残すという酸化製錬法が用いられた。
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