河童釣り
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/05/05 03:12 UTC 版)
彦一がお堀で魚釣りを楽しんでいると、そこに通りがかった殿様が彦一に何をしているか尋ねる。すると彼は面倒事を避けるために「へい、河童を釣る所でございます」と適当なことを言ってその場を凌ごうとした。だが、そこは物好きで知られる殿様であり、「それは面白い。儂にも釣らせよ」と答えるのだ。すっかり困った彦一だが、「河童は贅沢者で鯨の赤身しか食いませぬ」とまた適当なことを言った。だが殿様は、それならと家来を遣わせ、赤身を用意する。すると彦一は、どうせ嘘なので、こっそり土くれとすりかえて、赤身を綿入れの懐に仕舞い、堀に釣り竿を投げいれた。しばらくして殿様が様子を尋ねると「殿様が大声を挙げたので惜しいところで逃げられました」と言う。それならと、また別の赤身を彦一に渡すが、また土くれだけが投げ込まれた。当然、河童など釣れるわけもなく、その度に彦一が「河童はそう簡単には釣れません。河童は非常に狡賢いのです」と返す。痺れを切らした殿様が「なんと卑怯な河童じゃ。餌だけ取ってわしに姿一つすら見せぬ」と叫ぶ。すると、それは聞き捨てならぬとばかり本物の河童が這い上がってくるのだ。それをすかさず彦一が首尾良く捕らえ「見ての通り、これぞ河童釣りにございます」と自慢げに答える。ご機嫌の殿様は彦一に目一杯の褒美を渡したのだった。
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