栞と噓の季節
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/18 23:52 UTC 版)
栞と噓の季節 | ||
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著者 | 米澤穂信 | |
発行日 | 2022年11月4日 | |
発行元 | 集英社 | |
ジャンル | ミステリー | |
国 | ![]() |
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シリーズ | 〈図書委員〉シリーズ | |
言語 | 日本語 | |
形態 | 上製本 | |
ページ数 | 368 | |
前作 | 本と鍵の季節 | |
公式サイト | https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-08-744779-8 | |
コード | ISBN 978-4-08-771813-3 ISBN 978-4-08-744779-8(文庫本) |
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『栞と噓の季節』(しおりとうそのきせつ)は、米澤穂信による日本の推理小説。『小説すばる』(集英社)2022年1月号 - 8月号に掲載後、集英社より2022年11月に単行本が発売された[1]。
前作『本と鍵の季節』に続く〈図書委員〉シリーズ第2弾[2]。
概要
本作は、前作『本と鍵の季節』の続編であるが、前作の装丁打ち合わせの時点では、まだ本作の構想はなかった[3]。ところが〈本と鍵〉に呼応するように〈栞と嘘〉という言葉がふと浮かび、栞を、誰が何のために持つのだろうと考え始めたら物語が広がっていったという[3]。
一方、続編を決めた時点で、栞から毒物が見つかるというアイデアまで浮かんでいたが、当初は作品のタイトルを『栞と毒の季節』にしようと考えていた[4]。しかし、「毒」という言葉はちょっと悪辣なニュアンスがあるので、連載開始前に「噓」へと改めたという[4]。
本作を執筆するにあたって念頭に置いていたのはハードボイルドであり、捜査小説である[4]。ただし、ハードボイルドの文体は主人公が何を考えているのか明かさないのが要諦であるのに対し、主人公の堀川の描き方はそうではないということで、文章面では特にハードボイルドを意識してはいなかったという[4]。
あらすじ
高校で図書委員を務める堀川次郎と松倉詩門は、ある放課後、図書室の返却本の中に押し花の栞が挟まっているのに気づく。小さくかわいらしいその花は、猛毒のトリカブトだった。さらに、フォトコンテストで金賞を受賞した写真のモデルの少女が手に持っていた花もトリカブトで、背景にもトリカブトが生えているのが写っていた。
写真を撮った生徒に確認すると、撮影したのは校舎裏だという。堀川と松倉はそこで美少女として有名な瀬野が花壇に何かを埋めているところに遭遇する。そして瀬野が立ち去った後、花壇を掘り返すと、そこに埋められていたのは数本の枯れ草とトリカブトの新芽であった。誰かが花壇でトリカブトを栽培していたのを、2人と同様、フォトコンテストの写真を見てトリカブトの存在を知った瀬野が、花壇からこれらを引き抜いて埋めたもののようである。
さらに瀬野は、栞の持ち主を探す堀川と松倉に栞は自分の物だと主張する。2人は瀬野が嘘をついているのを見抜くが、油断していたため栞を奪われてしまう。2人は逃走する瀬野を校舎裏に追い詰めるが、瀬野は2人の目の前で栞を燃やしてしまう。
数日後、嫌われ者の生徒指導部の教師・横瀬が中毒で救急搬送される。誰が横瀬を殺そうとしたのか分からない中、毒の噂が校内に流れ、昼食中に気分が悪くなったり、昼食を食べられなかったりする生徒が続出する。堀川と松倉は、2人とは別の事情で栞の持ち主を探す瀬野と、協力して真相を追う。
登場人物
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堀川 次郎 () - 主人公。高校2年生。図書委員。他人から頼み事をされやすい。
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松倉 詩門 () - 高校2年生。図書委員。快活だがやや皮肉屋。スポーツも勉強もできるが、手先が不器用。
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瀬野 麗 () - 高校2年生。ずばぬけてきれいな美少女。性格が悪い。1年生のとき松倉と同級生だった。
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東谷 () - 高校2年生。図書委員長。堀川・松倉とは仲が悪い。
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植田 () - 高校1年生。図書委員。比較的真面目。
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和泉 及々実 () - 写真のモデルの女生徒。高校1年生。植田の彼女。
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横瀬 () - 生徒指導部の教師。毒を飲まされた。
書誌情報
- 栞と噓の季節:2022年11月4日発売[5]、集英社、 ISBN 978-4-08-771813-3
- 栞と噓の季節:2025年6月20日発売[2]、集英社〈集英社文庫〉、 ISBN 978-4-08-744779-8
脚注
- ^ 『栞と噓の季節』集英社〈集英社文庫〉、2025年6月25日、435頁。
- ^ a b “集英社文庫(日本) 栞と嘘の季節”. 集英社. 2025年10月17日閲覧。
- ^ a b “図書室からはじまった幾重もの噓。著者の本領発揮の青春ミステリー!――『栞と嘘の季節』(米澤穂信)”. 「オール讀物」編集部. 2025年10月17日閲覧。
- ^ a b c d “青春の苦みときらめきを描くミステリー 『栞しおりと噓の季節』米澤穂信さんに聞く”. 『青春と読書』2022年11月号. 集英社. 2025年10月17日閲覧。
- ^ “栞と噓の季節/米澤 穂信”. 集英社. 2025年10月17日閲覧。
外部リンク
- 栞と噓の季節〈図書委員〉シリーズ - 集英社
- 栞と噓の季節のページへのリンク