挿入連鎖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 10:02 UTC 版)
挿入連鎖とは、ひとつの隣接ペアの中にもうひとつ(以上)の隣接ペアが挿入されるタイプの拡張連鎖である。 01 A: 佐藤さんに会ったのは昨晩が初めて? 02 B: 誰に? 03 A: 佐藤さん 04 B: 初めてだよ ここでは01と04が「質問 ‐答え」の隣接ペアになっているが、その質問と答えのあいだに、もうひとつの「質問‐答え」の隣接ペア(02と03)が挿入されている。このように、ひとつの隣接ペアの第一成分と第二成分のあいだに、その第一成分の受け手(ここではB)によって開始された別の隣接ペアが入りこむとき、それは挿入連鎖と呼ばれる。それによって、最初の第一成分(上の例では「質問」)に答えるために、聞き逃した部分を尋ねたり(上の例)、必要な情報を求めたり(「お酒を売ってくれ」という「注文」に対して答える前に「年齢を聞く」場合など)といった活動がおこなわれる。その間、最初の第一成分の効果(受け手に答える義務があること)はずっと消えずに残っている。この点で挿入連鎖は、隣接ペア第一成分と第二成分のあいだの規範的な隣接関係によって可能になっている連鎖であると言える。挿入連鎖の中にさらに挿入連鎖が挟まれ、何重にも入れ子になった連鎖が形成されることもある。
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