抗SARS-CoV-1 IgG抗体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 10:18 UTC 版)
「抗体依存性感染増強」の記事における「抗SARS-CoV-1 IgG抗体」の解説
6人の患者を観察した結果、3人が回復し3人が死亡し、Sタンパク質に対する抗体がADEを引き起こす事に因って患者に害を及ぼす可能性があるという考えが裏付けられた。特定の体液性応答の比較分析では、SARS-CoV-1感染で死亡した患者では、Sタンパク質に対する中和抗体が、回復した人よりもはるかに速く産生されたことが示された。その後死亡した患者の15病日目のSタンパク質に対する抗体の力価は、その後回復した患者よりも有意に高かったことが明らかにされた。同時に、死亡した患者の中和抗体の力価は、回復した患者の力価よりも速く増加したが、より速く減少した。更に回復した患者では、抗体価はゆっくりと増加した後、より高いレベルに上昇し、その高力価に長く留まった。抗体力価の変化のこの動力学的特徴は、IgM抗体とIgG抗体の両方で見られた。死亡した患者ではウイルス感染の抗体依存性の増加が重症に惹起され、ウイルスを中和する能力の無い抗Sタンパク質抗体の急速な産生がこれに寄与したと推定される。力価上昇がより遅い程、より強い親和性および結合力を持つ高い結合定数を有する抗体の産生に寄与した可能性がある。非重症患者と比較して重症患者の抗体レベルが有意に過剰であることは、別の研究の患者325人のサンプルでも観察された。347人のSARS患者を観察した他の研究では、死亡した患者では抗体が早期に出現する事が判明した。
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