或る朝鮮少女(かしいな)に(1927年)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/06 09:55 UTC 版)
「後藤郁子」の記事における「或る朝鮮少女(かしいな)に(1927年)」の解説
青々とした葉かげに三個(つ)四個(つ)黄金(こがね)の杏子(あんず)のついた一枝を右手に提げて水いろの裳(チマ)-裾長く、桃色(ピンク)の上衣を着たあなたが向うからぶらぶら歩いて来る。佳き朝鮮少女(かしいな)あなたの年は十七位(くらい)、おお住(よ)いとき!私はあなたに別に挨拶がない。あなたは無論あなたはすれちがった。あなたの手の、杏子(あんず)の、黄金(こがね)の光沢(つや)に桃色の上衣のうら若さに、裳(チマ)のすずしさにおお親しさに、私は一度、一度だけ振り返った(私は振り返ることか嫌いであった)長い三つ編にした下げ髪の尖端(さき)に、朱赤(まっか)な原色のリボンが三角旗のようにひるがえり木履(くつ)は外輪(そとわ)に。頭(くび)を真つすぐに立て軽く杏子の枝を振りながら悠(ゆう)々と歩いて行く粗服は元気に飾られ私はあなたの真実の佳(うつく)しさを其(そ)の日、その時、其処(そこ)で始めて見た
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