意思表示の形成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 14:09 UTC 版)
伝統的な意思表示理論によれば、意思表示とは動機により嚮導された効果意思がそれを表示しようとする意思(表示意思)に基づく表示行為により表示される過程である、と分析される。このうちのいずれの要素を重視するかは、立場によって異なる。この分析はドイツの法学者であるフリードリヒ・カール・フォン・サヴィニーが提唱した理論に由来するものであるが、このような分析については批判もある。 以下では、まず、伝統的な意思表示理論に立った上で、動機、効果意思、表示意思、表示行為という4つの各過程に沿って述べる。 動機 動機は意思表示を行う者(表意者という)が一定の法律効果を欲するきっかけとなる部分である。表示行為に対応する効果意思・表示意思が存在するが、動機について誤解があり、それにより効果意思が導かれた場合には、動機の錯誤となる。動機の錯誤をいかに扱うかについては学説に対立がある。 効果意思 効果意思とは一定の法律効果の発生を意図しているとみられる意思をいう(ここでいう効果意思は内心的効果意思あるいは真意ともいい、表示行為から推測される表示上の効果意思と区別される)。 表示意思 表示意思とは表示行為を行う意思である。表示意思が意思表示の要素として必要か否かは、議論がある。 表示行為 表示行為は、時系列的には最後になるが、意思の存否や意思表示の有効性・取り消しを思考する順番としては最初に来る。つまり、表示行為がない限りは意思表示は存在し得ないから、表示行為を基準として他の要素との関係を検討することになるのである。
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