カントール関数とは? わかりやすく解説

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カントール関数

(悪魔の階段 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/07 05:20 UTC 版)

単位区間におけるカントール関数のグラフ

カントール関数(カントールかんすう、英語: Cantor function)または悪魔の階段(あくまのかいだん、英語: Devil's staircase)とは、連続ではあるが絶対連続ではない関数の一つである。カントール関数の名前はゲオルク・カントールに由来する。

定義

カントール関数の構成法を示したものが右のアニメーションである。正確には、カントール関数

単位区間 [0, 1] における関数列 を次のように帰納的に定義すると、これはカントール関数に収束する。

n に対し fn(0) = 0, fn(1) = 1 であるから、fx = 1/3, 2/3 において連続である。ここで、n ≥ 1 において

すなわち

が成り立つ。よって、各 x ∈ [0, 1] と m > n ≥ 1 について次式が成り立つ。

従って数列 コーシー列であるから、極限値 f(x) を持つ(各点収束)。更に、上の式で m → ∞ とすることで

が得られる。これは関数列が f に一様収束することを意味する。

なお、ここでは初期関数として f0(x) = x を用いたが、実際には f0(0) = 0, f0(1) = 1 なる有界関数でさえあれば何でも構わない。

フラクタル体積

カントール関数はカントール集合と密接に関係している。カントール集合は、0次元体積(点の個数)は無限大である一方で1次元体積(長さ)は0であるようなフラクタルであり、そのハウスドルフ次元 である。カントール関数は、カントール集合の部分集合の D-次元体積 HD を用いて次式で定義できる。

一般化

閉区間 [0, 1] 上の数 y に対し、その二進小数展開を

とする。この y について、

という関数 Cz を考える。このとき、z = 1/3 とすると、

の逆関数 y = y(x) はカントール関数となる。一般に z < 1/2 において Cz(y) のグラフはカントール関数のグラフを横倒しにしたような形になっており、その幅は z の値が 0 に近づくほど広くなっていく。

ミンコフスキーの疑問符関数 は見た目はカントール関数とよく似ており、カントール関数を「滑らかにした」ようなものに見える。 カントール関数が三進小数展開を二進小数展開に変換することで構成されるのと同じように、疑問符関数は連分数展開を二進小数展開に変換することで構成される。 疑問符関数は全ての有理数における微分係数が 0 であるという興味深い性質を持っている。

脚注

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参考文献

  • 伊藤清三 『ルベーグ積分入門』裳華房〈数学選書 4〉、1984年。ISBN 978-4-7853-1304-3 
    • 伊藤清三 『ルベーグ積分入門』(新装版)裳華房〈数学選書 4〉、2017年3月。ISBN 978-4-7853-1318-0 

関連項目

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