忌録: document Xとは? わかりやすく解説

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忌録: document X

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/23 04:36 UTC 版)

忌録: document X
著者 阿澄思惟
発行日 2014年5月5日
ジャンル モキュメンタリーホラー[1]
日本
言語 日本語
形態 電子書籍
公式サイト https://www.amazon.co.jp/dp/B00K4UWJ14
ウィキポータル 文学
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忌録: document X』(きろく: どきゅめんとえっくす)は、阿澄思惟によるモキュメンタリーホラー小説である。世間から存在を葬られた事件に関する記録集という体裁で、4つの短編が収録されている。作者の「阿澄思惟」は正体不明の覆面作家とされ、その正体は三津田信三ではないかと考察されている。

特徴

本作は、世間から存在を葬られた事件に関する記録集という体裁で、『みさき』『光子菩薩』『忌避(仮)』『綾のーと。』と題された4つの短編がオムニバス形式で収録されている[2][3]。ジャンルとしてはモキュメンタリーかつホラーにあたり[1]、収録作品はいずれも小説らしい体裁にはなっておらず、インタビュー、新聞記事、書籍、メール等から抜粋したとされる文章を寄せ集めた構成になっている[2]。また、物語的な起承転結もない[2]

作者である阿澄思惟(あすみしい[4])は「アラン・スミシー」(映画監督が用いる架空のペンネーム。監督が当該作品に責任を持ちたくないときに使われる。)をもじったと思われる名前であり[2]、その正体は不明である[5]。そのため、本作の作者は三津田信三ではないかとする考察があり、その根拠としては、『忌避(仮)』に「津田信」という人物が登場すること、同じく『忌避(仮)』冒頭の「猿の三つの首と三つの足は切り落とされ、神への供物として祭壇に捧げられた」という記述は「三津田信三から「三」を取ったら津田信」という匂わせであろうということ、『刀城言耶シリーズ』をはじめとした三津田作品とのテーマ性の類似、などが挙げられている[2][5][6]。作家の吉田悠軌はこのことについて「阿澄思惟さんは三津田信三さんなんだろうって、みんな思ってますけどね」と述べている[6]。なお、三津田は2024年のとの対談で、阿澄思惟から手紙が届いたことを明かしており、阿澄思惟の正体が三津田であると噂されてしまっていることを謝罪する内容であったという[5]。また、三津田はそれに対して「まったく構いません。そうやって勘違いされるのもメタ的で面白いじゃないですか」と返事をしたという[5]

本作品はKindleにて電子書籍のみが販売されている[1][2]。ライターのマシーナリーとも子は、本作の特徴のひとつに「電子書籍であること生かした構成」があると述べ、具体的には、読者が画面の表示速度を制御できないことを活かして不気味な文章や画像を唐突に見せてくる点、不気味なページを読まずに飛ばせるショートカットリンクをあえて設置することによって「回避できるにもかかわらず見てしまった読者の自己責任」を強調してくる点、リンク機能によって作中に登場する実在のブログYouTube動画にシームレスに移動できる点を挙げている[2]

なお、本作に関してはX(旧Twitter)上の投稿をまとめたTogetter(現posfie)まとめ記事が存在し、「@hellojdoe」を名乗るユーザーが2016年3月から更新を行っている[2]。ユーザー名の「jdoe」は「ジョン・ドゥ」(英語で身元不明、名無しの権兵衛を意味する。)を連想させ、上述の「アラン・スミシー」に近い意味合いであることから、阿澄思惟本人が当該posfieを更新している可能性が指摘されている[2]

評価

作家のは本作を「広義のテキストホラーに大きな影響を与えたホラー作品」だと評し、その魅力の源泉は「「現実感」を超えた凄まじい「現実」を感じさせる構成と演出力」にあると述べている[1]。また、梨の作風はファウンド・フッテージ的であるところ、ファウンド・フッテージの技術について本作から「一番大きな影響」を受けているという[4]。そして、ファウンド・フッテージ作品の作者のあり方として阿澄思惟はひとつの理想であると評し、「もう完全に誰が誰だかわからなくて、この人だろうみたいに想像されて。」と述べている[6]

ライターのマシーナリーとも子は本作を「「洒落怖」っぽいお話」と評しており、匿名掲示板5ちゃんねる」(旧2ちゃんねる)のオカルト板にが好きだった人には特に面白く感じられるであろうと述べている[2]。また、本作に収録されている資料は明らかに矛盾のあるものや、冒頭で「フェイクを交ぜた」と公言しているもの、語り手が明言されていないものなど、信頼できない語り手によるものが多い点を指摘し、本作の面白さはそういったあやふやな記述から生じる違和感によるものであろうと述べている[2]

書誌情報

  • 阿澄思惟『忌録: document X』2014年、ASIN B00K4UWJ14。

脚注

注釈

出典

参考文献

外部リンク




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