弱き胃に花ひとひらの痛みくる
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評 言 |
1925年10月4日生れの芳女さんは、平成26年10月に89歳で他界された。旧国鉄に勤めていたご主人の関係で、田角瑞芳さんの薦めで昭和29年より作句するようになり、高崎市の俳誌「やまびこ」(吉田未灰主宰)に入会し、その後、「海程」(金子兜太主宰)、「風濤」(原子公平主宰)に所属し活躍された。「やまびこ」時代の〈すべり台次は落葉が辷ります〉の俳句を知ってから、芳女俳句から目が離せなくなった。 若い頃から病に悩まされていたようで、句集『鬱金』の約34年間、病気の俳句が散見される。掲句から胃が弱かったことが分かる。この一句、無季の句とも読めるが、作者には、落花の一片が鮮明にイメージされている。 平成23年7月に、五つの異なる結社の十人が一泊で句会を持った。「東」「日」「本」「大」「震」「災」をキーワードとして、俳句を作った。その際、芳女さんの〈災害地の朝のさくらは死より暗い〉の「災」の字の句が印象的だった。 普段、明るく優しい方であったが、内実は、闘病で欝々としておられたのだと今にして思われる。カテーテルを使った検査の直後の句会にも参加するなど、心から俳句が好きな方だった。 |
評 者 |
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備 考 |
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