巨視的トンネル効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/28 00:18 UTC 版)
巨視的トンネル効果(きょしてきトンネルこうか)は、量子力学で起きるトンネル効果が古典力学の支配するマクロな世界で出現するものである。
トンネル効果は、原子レベルの微小な世界で起こる現象であるが、多数の電子クーパー対が同期することにより巨大な一つの原子として振舞いトンネル効果とエネルギー量子化が実験的に検証された。ジョン・クラーク、ミシェル・デヴォレ、ジョン・M・マーティニスは、ジョセフソン接合を用いた電気回路を設計し、我々が暮らすような空間的に巨大な系による量子力学的な現象を1984年から1985年にかけての実験で実証し、2025年のノーベル物理学賞を授与された[1]。
第一種巨視的量子現象
第一種巨視的量子現象とは、ミクロの世界での量子効果によって、多数の粒子が同一の状態へと落ち込む(ボーズ・アインシュタイン凝縮)ことで、量子力学による物体の特異な振舞いが、巨視的な空間スケールの現象へと反映されることを指す。超流動・超伝導、レーザー光など。
第二種巨視的量子現象
第一種巨視的量子現象が、ミクロな量子効果が積み重なってマクロに現れる現象であるのに対し、第二種巨視的量子現象は、巨視的な物体間、状態間そのものの量子干渉効果を指す。シュレーディンガーの猫やSQUID、低温でのヘリウム同位体混合液の相分離(量子泡発生)、超重原子核の変形共存などが、この第二種巨視的量子現象ではないかと考えられている。デコヒーレンスは、この現象にとって致命的な役割を果たす。
脚注
- ^ “Nobel Prize in Physics 2025” (英語). NobelPrize.org. 2025年10月8日閲覧。
参考文献
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出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。
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https://iss.jaxa.jp/utiliz/field/fundamental/macroscopic/detail.html[1]
- 高木伸『巨視的トンネル現象』岩波書店〈新物理学選書〉、1997年。ISBN 4-00-007412-1。
関連項目
- ^ “Apples in Space | 巨視的量子現象”. iss.jaxa.jp. 2025年10月7日閲覧。
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