小林治 (1945年生のアニメ演出家)とは? わかりやすく解説

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小林治 (1945年生のアニメ演出家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/03 02:10 UTC 版)

こばやし おさむ
小林 治
別名義
  • 小林 おさむ
  • ススキダ トシオ
生年月日 (1945-01-09) 1945年1月9日(80歳)
出生地 東京都府中市
国籍 日本
職業
ジャンル テレビアニメアニメ映画
主な作品
アニメーター

監督
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小林 治(こばやし おさむ、1945年1月9日 - )は、日本のアニメーターアニメーション演出家アニメーション監督[1]東京都府中市出身[1][2]亜細亜堂所属。小林 おさむススキダ トシオ名義でも活動する[1][3]

同業のイラストレーター、メカニックデザイナー、アニメ監督の小林治とは同姓同名の別人である[4]

来歴

1963年、東映動画(現:東映アニメーション)に18歳で入社[1][2][注 1]。同期には芝山努などがおり、同じ年の約半年前には宮崎駿が入社していた[2][注 2]

1965年、東映動画にいた楠部大吉郎に誘われてAプロダクション(現:シンエイ動画)の設立に参加[2]。創立メンバーは楠部、小林、芝山、椛島義夫森下圭介[2]。アニメーターとして『オバケのQ太郎』『巨人の星』『アタックNo.1』などを手がけたほか、芝山とのコンビで『ど根性ガエル』などで作画監督を担当[2]。Aプロには後に大塚康生高畑勲、宮崎駿も移籍し、『ムーミン』『ルパン三世」などを手がけた[2]

1978年、芝山努、山田みちしろ河内日出夫と亜細亜堂[注 3]を設立[5][6]。主に演出や監督として『まんが日本昔ばなし』『魔法の天使クリィミーマミ』『忍たま乱太郎』などのTVアニメ、『がんばれ!!タブチくん!!』『タッチ2 さよならの贈り物』『ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌』などの劇場アニメを手掛ける[1]

2010年5月13日、自らが代表取締役を務めるダップインターナショナル(亜細亜堂の子会社)とともに法人税法違反(脱税)の容疑で在宅起訴され、同年8月にダップ社には罰金1,500万円、小林本人には懲役1年執行猶予3年の判決が言い渡された(その後確定)[7][注 4]

2019年3月に開催された東京アニメアワードフェスティバル2019でアニメ功労部門で顕彰される[8]

人物・作風

TVアニメの創成期から第一線で活躍するアニメーターの一人[2]。主な作品に『ど根性ガエル』(作画監督)、『まんが日本昔ばなし』(演出・作画)、『魔法の天使クリィミーマミ』(チーフディレクター)、『きまぐれオレンジ☆ロード』(総監督)などがある[9][10]

小林の絵コンテは、鉛筆書きなのにまるで筆を使ったような仕上がりで、文字も筆書きのようで、制作会社からどういうことを書いているのかと問い合わせを受けたほどだった[5]。またよくコンビを組んでいた芝山努のコンテが全てを克明に書き込み、色指定までしてほぼ完成品そのままだったのに対し、小林のコンテは尺が足りなくても「適当に伸ばしておいて」と口頭で指示するなどアバウトだった[5]

監督としては日常描写にこだわり、『クリィミーマミ』では「実写のカメラで撮ったような画面作りをして、作品世界やキャラクターを現実感あるものとして描く」という方向性を示した[11][12][注 5]

参加作品

テレビアニメ

  • 巨人の星(1968 - 1971年、原画)
  • ムーミン(1969年、作画監督)
  • アタックNo.1(1969 - 1971年、作画監督)
  • ルパン三世 (TV第1シリーズ)(1971 - 1972年、原画[注 6]
  • 天才バカボン(1971 - 1972年、原画)
  • ど根性ガエル(1972 - 1974年、作画監督)
  • はじめ人間ギャートルズ(1974年 - 1976年、原画)
  • ガンバの冒険(1975年、原画)
  • 元祖天才バカボン(1975 - 1977年、原画)
  • まんが日本昔ばなし(1977 - 1995年)
    • 落ちた雷(1977年)(演出、作画)
    • 蟹の湯治(1977年)(演出、作画)
    • みちびき地蔵(1977年)(演出)
    • 嘉右衛門山の神(1978年)(演出、作画)
    • 千石田長者(1978年)(演出、作画)
    • とうせん坊(1978年)(演出)
    • 亥の子まつり(1979年)(演出)
    • 猿の恩返し(1979年)(演出)
    • しっぺいたろう(1979年)(演出)
    • 吹雪かれ和尚(1980年)(演出)
    • 野々海の物語(1980年)(演出、作画)
    • 東つぼ屋西つぼ屋(1980年)(演出)
    • 厚狭の寝太郎(1980年)(演出)
    • 紋左衛門岩(1980年)(演出、作画)
    • 亡者の通る道(1980年)(演出、作画)
    • きつねのこぶとり(1980年)(演出、作画)
    • 山鳥の尾(1980年)(演出、作画)
    • 不思議なコマ犬(1981年)(演出、作画)
    • 瓔珞つつじ(1981年)(演出、作画)
    • 鴻の卵(1981年)(演出、作画)
    • 竜宮の鐘(1981年)(演出、作画)
    • よいしあん谷(1981年)(演出、作画)
    • 勘安ペロリ(1981年)(演出)
    • またたび(1982年)(演出)
    • 八方島伊惣ヱ門(1982年)(演出、作画)
    • 天狗のたたり(1982年)(演出)
    • 飛ぶ木(1982年)(演出)
    • 山の鯨 海のいのしし(1982年)(演出)
    • 雪の娘(1982年)(演出)
    • 二ツ池の龍(1983年)(演出)
    • 東光寺のケヤキ(1983年)(演出)
    • 真珠の夜光(1983年)(演出)
    • 魂を取る亡者(1983年)(演出)
    • 十六人谷(1983年)(演出)
    • 松尾のせどさく(1984年)(演出)
    • 石の下のちゃわん(1984年)(演出)
    • 亡者道(1984年)(演出)
    • 家宝の皿(1984年)(演出)
    • かねっこおり女房(1985年)(演出)
    • 田植え鬼(1985年)(演出)
    • おんまさんは力もち(1985年)(演出)
    • 年の晩と貧乏神(1985年)(演出)
    • 幽霊街道(1986年)(演出)
    • 白馬岳の魔神(1986年)(演出)
    • あの鬼こわい(1987年)(演出)
    • 嫁入り竜女の忘れもの(1987年)(演出)
    • みそ豆ばなし(1988年)(演出)
    • 夢地蔵(1988年)(演出)
    • 山の神と海の神(1988年)(演出)
    • やろか水(1988年)(演出)
    • 馬比べ(1989年)(演出)
    • 夫婦岩(1989年)(演出)
    • 加茂湖の主(1989年)(演出)
    • 雪の夜ばなし(1990年)(演出)
    • 浦島太郎(1990年)(演出)
    • なばの泣きぜき(1990年)(演出)
    • 貧乏神と小判(1990年)(演出、作画)
    • 赤猫(1991年)(演出)
    • 魔神の刀かじ(1991年)(演出)
    • るすが岩(1991年)(演出)
    • 笛吹沼と蛇喰見(1991年)(演出)
    • おおかみ長者(1991年)(演出)
    • 茶つぼ(1992年)(演出)
    • 海女と大あわび(1992年)(演出)
    • 鬼怒沼の機織姫(1992年)(演出)
    • 橋立小女郎(1992年)(演出)
    • 鼻高つづみ(1993年)(演出)
    • 雁と亀(1993年)(演出)
    • お三ギツネと甚べえ(1993年)(演出)
    • 鬼のつめ(1993年)(演出)
    • 海彦と山彦(1995年)(演出)
  • 新・ど根性ガエル(1981 - 1982年、作画監督)
  • 魔法の天使クリィミーマミ(1983 - 1984年、チーフディレクター
  • おねがい!サミアどん(1985 - 1986年、チーフディレクター
  • きまぐれオレンジ☆ロード(1987 - 1988年、総監督
  • 燃える!お兄さん(1988年、監督
  • ちいさなおばけアッチ・コッチ・ソッチ(1991年 - 1992年、総監督
  • ノンタンといっしょ(1992 - 1994年、監督
  • 忍たま乱太郎(1999年、絵コンテ)
  • はじめの一歩(2000年、絵コンテ)
  • タッチ CROSS ROAD〜風のゆくえ〜(2001年、絵コンテ)
  • ふるさと再生 日本の昔ばなし(2012 - 2017年、キャラクターデザイン・絵コンテ・演出・作画・原画)
  • ふるさとめぐり 日本の昔ばなし(2017 - 2018年、キャラクターデザイン・絵コンテ・演出・作画・原画)
  • けものフレンズ2(2019年、原画)
  • キボウノチカラ〜オトナプリキュア'23〜(2023年、絵コンテ)

劇場アニメ

OVA

出典・参考文献

脚注・注釈

  1. ^ 同年に放送開始の日本のTVアニメ第一号『鉄腕アトム』の動画をアルバイトで手伝ったこともある。
  2. ^ 宮崎は劇場班で、小林と芝山はテレビ班だった。
  3. ^ 亜細亜堂という名称は、もともとは小林と芝山努の2人で1つのペンネームという話があり、会社設立前に放送された『まんが日本昔ばなし』のエピソードには、演出・作画が「亜細亜堂」名義になっている作品が複数存在する。
  4. ^ その後、ダップ社は同年8月31日に株主総会で会社清算を決定し、小林は清算人となった。
  5. ^ それを彼のもとで演出を担当していた望月智充が発展させ、完成させた。
  6. ^ 第1回「ルパンは燃えているか・・・・?!」。
  1. ^ a b c d e 小林治 (亜細亜堂) プロフィール”. 音楽出版社. TOWER RECORDS ONLINE (2021年4月22日). 2022年11月1日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 小林 治(ススキダトシオ)展”. ススキダトシオ(小林 治)展オフィシャル. 2022年11月1日閲覧。
  3. ^ 「アニメーション作家生活55周年記念 - 昔ばなしとススキダトシオ - 」展(埼玉県立近代美術館)”. Tokyo Art Beat. 2022年11月1日閲覧。
  4. ^ 小黒祐一郎 (2008年6月27日). “しまった。アニメ界には小林治さんが3人いるのを忘れていた!”. WEBアニメスタイル. 株式会社スタイル. 2022年11月1日閲覧。
  5. ^ a b c ふかかいクロネコのラクガキ帳 第18回 日本、亜細亜堂にいた時の昔ばなし”. WEBアニメスタイル. 株式会社スタイル (2011年4月12日). 2022年11月1日閲覧。
  6. ^ 本郷みつる、片渕須直らが参加した「おねがい! サミアどん」放送35周年で初のパッケージ化”. 映画.com. 株式会社エイガ・ドット・コム (2021年5月12日). 2022年11月1日閲覧。
  7. ^ “(cache)脱税でアニメ制作会社代表起訴 さいたま地検”. 47NEWS. (2010年5月13日). https://megalodon.jp/2013-1202-2318-09/www.47news.jp/CN/201005/CN2010051301000844.html 2013年12月2日閲覧。 
  8. ^ 谷口隆一 (2019年3月12日). “TAAF2019授賞式 コンペティション部門長編グランプリは『アナザー デイ オブ ライフ』 アニメ オブ ザ イヤーは『ゾンビランドサガ』など”. IGN Japan. 産経デジタル. 2022年11月1日閲覧。
  9. ^ 「魔法の天使 クリィミーマミ」誕生の秘密 ぴえろ創業者・布川ゆうじインタビュー前編”. アニメ!アニメ!. イード (2014年4月15日). 2022年11月1日閲覧。
  10. ^ 「魔法の天使 クリィミーマミ」誕生の秘密 ぴえろ創業者・布川ゆうじインタビュー後編”. アニメ!アニメ!. イード (2014年4月16日). 2022年11月1日閲覧。
  11. ^ 高田明美が語る「意外なきっかけで完成したクリィミーマミの髪型」”. アニメージュプラス. 徳間書店 (2020年9月9日). 2022年11月1日閲覧。
  12. ^ 小黒祐一郎 (2009年7月17日). “アニメ様365日 第170回 『マミ』と望月智充と萌えアニメ”. WEBアニメスタイル. 株式会社スタイル. 2022年11月1日閲覧。



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