射影的加群とは? わかりやすく解説

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射影加群

(射影的加群 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/25 18:04 UTC 版)

数学において、射影加群(しゃえいかぐん、: projective module)とは、 表現可能関手 Hom(P, –)完全となるような加群 P のことである。 自由加群の一般化に相当する。 ホモロジー代数学における基本的な概念のひとつであり、Cartan & Eilenberg (1956)で導入された[1]

動機

一般の加群 P に対して表現可能関手 Hom(P, –) は左完全である。 つまり任意の短完全列

より一般にアーベル圏 の対象 P は関手 が完全なときに、射影的という。

  • Ri の直和 R = R1R2 に対して、Pi = Ri ⊕ 0 は射影的な R 加群であるが、自由加群ではない[3]

性質

射影分解と射影次元

加群 M に対し、各 Pi が射影加群であるような次の完全列

M射影分解という[7]。特にすべての i ≥ 0 に対して Pi → Im di射影被覆となるときは極小射影分解という。任意の加群には自由分解(上記で射影加群を自由加群に置き換えたもの)が存在し、したがって射影分解も存在する。すべての i > n に対し Pi = 0 であるような射影分解を長さ n の射影分解という。そのような n が存在する場合その最小値を M射影次元といい、存在しない場合は射影次元は という。ただし、{0} の射影次元は −1 とする。射影次元は pd(M) と書かれる。これは M の極小射影分解の長さに等しい。R-加群 M と整数 n ≥ 0 に対して以下は同値[8]

  • pd(M) ≤ n.
  • 任意の R-加群 X に対して、
  • 任意の in + 1 と任意の R-加群 X に対して、

関連項目

脚注

  1. ^ Weibel 1999, p. 816.
  2. ^ Anderson & Fuller 1992 17.1. Proposition(p.192), 17.2. Proposition(p.192), 岩永 & 佐藤 2002 補題 6-2-1(p.201)
  3. ^ Weibel 1994, Example 2.2.2.
  4. ^ Anderson & Fuller 1992, p. 193.
  5. ^ 岩永 & 佐藤 2002, p. 128.
  6. ^ Weibel 1994, Proposition 4.3.1.
  7. ^ Weibel 1994, Definition 2.2.4.
  8. ^ Weibel 1994, Lemma 4.1.6.

参考文献




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