安上がりの政府
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 04:16 UTC 版)
自由放任主義が一世を風靡していた時代のイギリスでは、国家の果たすべき職能はあたかも警察官が夜間の街頭を巡回して市民生活の安寧を守ることに尽きるかのごとき俗論も横行していた。そこで、このような通俗的な国家間のことを夜警国家論と揶揄していた論者もあった。国家の職能は国防・警察・裁判に限られるべきとするのは、いささか極論であったにしても、資本主義経済の先進国であった当時のイギリスでは「国家は安上がりであればある程良し」とする主張が支配していた。そこで、この種の国家観のこと「安上がりの政府」論と呼ぶのが通例になっている。1801年にアメリカ合衆国第三代大統領に就任したトーマス・ジェファーソンのことば「最小の行政こそ最良の政治なり」も、この国家観を表している。 この種の自由放任主義の思潮は、イギリスに典型的であったが、程度の差はあれ、市民革命を経て立憲君主制または近代民主制の政治体制に移行したヨーロッパ大陸諸国にまで広く普及して行き、これが国家の職能の拡大に歯止めをかけていたので、近代国家の職能範囲は一般に、今日の現代国家のそれに比べればまだはるかに狭いものに留まっていた。
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