宇宙船XL-5とは? わかりやすく解説

宇宙船XL-5

(宇宙船XL5号 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/22 03:31 UTC 版)

宇宙船XL-5』(原題:FIREBALL XL5)は、1962年イギリスジェリー・アンダーソンによって作られた特撮人形劇である。

概要

スーパーカー』に続くSF特撮人形劇「スーパーマリオネーション」の第2弾[1][2]

『スーパーカー』が宇宙に到達することで終わっていることを受け、次回作の本作は宇宙を舞台とした物語となった[3]。単なるSFヒーロー物でなく、同型船が何台も存在する設定や、惑星着陸に手間をかけるなどの演出がある。イギリス、日本のほか、アメリカでも放送されている[1]。またシルヴィアはこの作品が始まる前に、ジェリーと結婚している。

日本での放送

日本では1963年4月5日から同年12月27日までフジテレビで放送。田辺製薬(現・田辺三菱製薬)の一社提供で、「宇宙で生きぬこう」という副題が添えられていた。これは、当時田辺製薬が発売していた「アスパラ」のキャッチフレーズ「アスパラで生きぬこう」に因む。

第11話まではナレーションが無かったが、第12話から谷啓がナレーターとなり、番組タイトルもこの回をもって『谷啓の宇宙冒険』に変更された[2]。こうして日本語版で1クールも行かないうちにテコ入れが行われ、タイトル・オープニング・声優の変更、原語版にないナレーターが追加される等は、以後のアンダーソン作品でも『地球防衛軍テラホークス』まで行われている[注 1]。1964年に再放送されたが、その後の太平洋テレビの倒産によって日本語フィルムは紛失している[1]。一部の話数のみ字幕でソフト化されている。

2017年3月より動画配信サービス『スーパー!ドラマ クラシック』で50数年ぶりに日本語字幕で全話配信され、2020年2月に『スーパー!ドラマTV』で日本語字幕版で放映された。

登場人物

日本語吹き替え版での担当声優は、第12話での改題を境に一新されている[2]

スティーヴ・ゾディアック大佐
声:中野誠也金内吉男(日本語吹き替え版)
主人公でパイロットで二枚目。
ビーナス
声:シルヴィア・アンダーソン(英語版) / 河内桃子向井真理子(日本語吹き替え版)
ヒロインで主人公の相棒で医療担当。
マシュウ・マット・マティック教授
声:袋正大塚周夫(日本語吹き替え版)
メカや科学に強い博士。
ロバート
声:ジェリー・アンダーソン(英語版) / 小美野欣二太田淑子(日本語吹き替え版)
ロボット。怒ると頭上から煙を噴く。
ズーニー
宇宙生物。ラズーンという種族で、猿のような外見をしている。
日本語吹き替え版におけるこのキャラクターの担当声優に関する情報は無い。
ゼロ司令官
声:山崎直衛池田忠夫(日本語吹き替え版)
本部で指揮を執る司令官。
ナレーター
声:谷啓(日本語吹き替え版)
第12話から。

登場メカ

XL-5号は、複数存在する同型の宇宙船の一つで、地球の基地から補助ロケットにより発進レール上を滑走して発進するロケット型宇宙船である。XL-5の目的は宇宙探査。先頭部はXLジュニアと呼ばれ、分離して着陸シャトルになり、様々な星で様々な異星人(多くは人間型である)に遭遇する。基地に帰還する際には、胴体の下部からのロケット噴射で垂直に下降して着陸する。乗員も含め、地球人は宇宙空間に出る時には、「固形酸素」を飲んで宇宙服無しで活動できるという設定になっていた。

XL-5等の呼び方については、日本語版でも英語式の連音が用いられ、「エクス・エル・ファイブ」ではなく「エクセル・ファイブ」、「エクセル・ジュニア」とされていた。

サブタイトルリスト

参照『ジェリー・アンダーソン メカニック大全』[4]、『「スーパー!ドラマTV」Webサイト



英語サブタイトル




2[5]
日本語サブタイトル 脚本 監督
5 THE DOOMED PLANET 1 2 呪われた惑星 アラン・フェネル アラン・パティロ
1 PLANET 46 2 1 危うし!ヴィーナス ジェリー&シルビア・アンダーソン ジェリー・アンダーソン
6 PLANT MAN FROM SPACE 3 4 恐怖の蔦 アンソニー・マリオット ジョン・ケリー
7 THE SUN TEMPLE 4 6 ミラスの神殿 アラン・フェネル ビル・ハリス
2 HYPNOTIC SPHERE 5 37 催眠惑星 アラン・パティロ
3 PLANET OF PLATONIA 6 13 暗殺計画を阻止せよ デビッド・エリオット
12 A SPY IN SPACE 7 5 第12ステーション異常あり アラン・パティロ
9 SPACE MONSTER 8 11 怪獣現わる ジェリー&シルビア・アンダーソン ジョン・ケリー
21 FLIGHT TO DANGER 9 18 頑張れ中尉!! アラン・フェネル デビッド・エリオット
8 SPACE IMMIGRANTS 10 3 ミニ星人の星[注 2] アンソニー・マリオット アラン・パティロ
13 SPACE PIRATES 11 8 宇宙海賊 ビル・ハリス
15 SPACE PEN 12 10 宇宙ギャング団 デニス・スプーナー ジョン・ケリー
10 FLYING ZODIAC 13 9 宇宙大サーカス アンソニー・マリオット ビル・ハリス
18 THE TRIADS 14 14 巨人遊星 アラン・フェネル アラン・パティロ
16 LAST OF THE ZANADUS 15 12 クーダスの復讐 アンソニー・マリオット
14 CONVICT IN SPACE 16 16 危うし教授! アラン・フェネル ビル・ハリス
11 XL5 TO H20 17 7 謎の怪獣 ジョン・ケリー
29 THE ROBOT FREIGHTER MYSTERY 18 27 爆発一秒前 デビッド・エリオット
23 MYSTERY OF THE TA2 19 23 謎の宇宙船 デニス・スプーナー ジョン・ケリー
17 WINGS OF DANGER 20 15 翼のある殺し屋 アラン・フェネル デビッド・エリオット
20 PRISONER ON THE LOST PLANET 21 19 アマゾンの女王 アンソニー・マリオット ビル・ハリス
31 WHISTLE FOR DANGER 22 28 恐怖の笛 デニス・スプーナー ジョン・ケリー
24 ROBERT TO THE RESCUE 23 21 ロボットの活躍 ビル・ハリス
37 THE DAY IN THE LIFE OF A SPACE GENERAL 24 30 中尉、閣下となる アラン・フェネル デビッド・エリオット
22 SPACE VACATION 25 17 残酷バカンス デニス・スプーナー アラン・パティロ
28 1875 26 25 タイムマシン1875年 アンソニー・マリオット ビル・ハリス
33 THE DAY THE EARTH FROZE 27 33 冷凍惑星 アラン・フェネル デビッド・エリオット
25 THE FORBIDDEN PLANET 28 20 禁断の惑星 アンソニー・マリオット
30 DRAMA AT SPACE CITY 29 24 フル・スピード!! アラン・パティロ
26 THE GRANATOID TANKS 30 26 ロボット戦車隊 アラン・フェネル
32 FASTER THAN LIGHT 31 32 光速突破!! デニス・スプーナー ビル・ハリス
27 DANGEROUS CARGO 32 22 無人ロケットの怪 ジョン・ケリー
4 SPACE MAGNET 33 39 透明生物 アンソニー・マリオット ビル・ハリス
19 SABOTAGE 34 38 ガンマー光線 ジョン・ケリー
39 THE FIRE FIGHTERS 35 34 火の玉攻撃 アラン・フェネル
35 THE GHOSTS OF SPACE 36 36 お化け屋敷
34 INVASION EARTH 37 31 地球侵略軍 デニス・スプーナー アラン・パティロ
36 TRIAL BY ROBOT 38 29 ロボット裁判 アラン・フェネル ビル・ハリス
38 SPACE CITY SPECIAL 39 35 宇宙最優秀パイロット デニス・スプーナー アラン・パティロ

映像ソフト

日本

  • 1985年にエモーションよりビデオソフトが発売された[1]。「催眠惑星」「恐怖の蔦」「ミラスの神殿」「第12ステーション異常あり」を収録[1]。字幕。
  • 2005年に東北新社より発売されたDVD『ジェリー・アンダーソン トリプルパック』に『ジョー90』『スーパーカー』と共に「呪われた惑星」「危うし!ヴィーナス」が収録された[1]。字幕。

脚注

注釈

  1. ^ ただし、『サンダーバード』などの1時間番組では行われていない。
  2. ^ 初放映時のタイトルは「小人の星」。『ジェリー・アンダーソン メカニック大全』、『スーパー!ドラマTV』からタイトルを『ミニ星人の星』に改題している[4]

出典

  1. ^ a b c d e f 伊藤秀明、池田憲章「GERRY ANDERSON Photo Gallery 3」『宇宙船』Vol.118(2005年5月号)、朝日ソノラマ、2005年5月1日、89頁、雑誌コード:01843-05。 
  2. ^ a b c メカニック大全 2013, p. 10
  3. ^ ザ・メイキング・オブ・テラホークス(角川書店)p43 アンダーソン本人へのインタビューより。
  4. ^ a b メカニック大全 2013, p. 11
  5. ^ 2020年「スーパー!ドラマTV」放映時の話数

参考文献

フジテレビ系列 金曜19:00枠
【本番組から田辺製薬一社提供枠】
前番組 番組名 次番組
歌であてまショー
宇宙船XL-5

谷啓の宇宙冒険
(1963年4月5日 - 1963年12月27日)
忍者部隊月光
(1964年1月3日 - 1965年12月31日)




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