妖艶毒婦伝 人斬りお勝とは? わかりやすく解説

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妖艶毒婦伝 人斬りお勝

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/27 01:28 UTC 版)

妖艶毒婦伝 人斬りお勝
監督 中川信夫
脚本 高田宏治
出演者
音楽 河辺公一
主題歌 白刃恋唄(唄・宮園純子)
撮影 飯村雅彦
編集 長沢嘉樹
製作会社 東映東京撮影所
配給 東映
公開 1969年4月10日
上映時間 89分
製作国 日本
言語 日本語
前作 妖艶毒婦伝 般若のお百
次作 妖艶毒婦伝 お勝兇状旅
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妖艶毒婦伝 人斬りお勝』(ようえんどくふでん ひときりおかつ)は、1969年(昭和44年)公開の日本映画[1][2][3][4][5]中川信夫監督、東映東京撮影所製作、東映配給[1]

概要

1968年から1969年にかけて全3作品が製作された宮園純子主演「妖艶毒婦伝シリーズ」の第二作[1][5]

シリーズ第一作『妖艶毒婦伝 般若のお百』(1968年、石川義寛監督)ではヒロインの名前は「お百」だったが、本作と第三作では、ヒロイン名は「お勝」に変わった。また第一作は東映京都撮影所(以下、東映京都)の製作だが、本作と第三作は東映東京撮影所の製作。

あらすじ

お勝は甲源一刀流道場主・真壁弥兵衛の養女であった。農民を絞り上げ、江戸老中へ賄賂を贈り、江戸表への帰参を目論む甲府勤番頭塩崎嘉門の悪事を指摘した弥兵衛は塩崎に拷問して殺され、お勝も汚れた体にされ、牢に入れられた。望みが叶い塩崎は江戸表へ帰参する。復讐に燃えるお勝は、女旅鴉のお留以の手を借り牢を破った。しかし仇討ちを恐れる塩崎の手により、街道にはお勝を手配する高札が立てられていた[5][6]

キャスト

スタッフ

  • 監督:中川信夫
  • 企画:秋田亨、扇沢要、三村敬三
  • 原案:高橋猛
  • 脚本:高田宏治
  • 撮影:飯村雅彦
  • 美術:江野慎一
  • 音楽:河辺公一
  • 主題歌「白刃恋唄」(作詞:黒田喜之、作曲:芽正人、歌:宮園純子)
  • 照明:大野忠三郎
  • 録音:広上益弘
  • 編集:長沢嘉樹
  • 擬斗:日尾孝司
  • 助監督:三堀篤

製作

シリーズ一作目『妖艶毒婦伝 般若のお百』にはあった"妖艶"的要素や"毒婦" 的要素は後退し[3]、オーソドックスな仇討ち時代劇となっている[3][4]特別出演クレジット若山富三郎は、東映に出戻りし、初めての主演シリーズ「極道シリーズ」が始まった時期。当代随一の名手と評された突出した殺陣を見せる。主の東映京都で長い下積みを送っていた近藤正臣はブレイク間近。後年の持ち味だったキザでもニヒルでもない甘ったるいひ弱な青年を演じる。大信田礼子が一世一代とも評される当たり役[7]東映京都製作のテレビドラマ旅がらすくれないお仙』に於ける"かみなりお銀"のスタイルを[8]そのまま本作に持ち込み[8]、大信田が宮園の相棒(お留以)を演じる芸のなさで映画の衰退を物語るとの論調もあった[8]。お勝(宮園純子)の父・真壁弥兵衛(西村晃)の折檻死や、お勝の弟・真壁林太郎(近藤)が殺される肝心なときには現れないマッチポンプ的な役割。宙づりにされる真壁(西村)が着ぐるみだったり、エンディングでお勝(宮園)に紐で首を絞められる塩崎嘉門(今井健二)の紐が緩かったり、中川監督は優しい人でないかと思わせる。中程で急に出てトーンを変える二階建ての宿屋のロングショットについて、中川監督は「会社もビックリしたらしい。そのショットだけはいい。後はゼロだ。あれだけで(この映画は)終わりだ」と述べている[2]。エンディングでお勝(宮園純子)が塩崎(今井)邸に押し入ったときは無かった地面の雪が塩崎を殺るときには積もっている。

作品の評価

中川監督は晩年の映画についてインタビューでボロクソに貶しているが[2]、本作に関しても「宮園純子は印象ゼロ」などと述べている[2]。東映は藤純子の「緋牡丹博徒シリーズ」とともにドル箱シリーズ化を狙ったが、3作で打ち止めとなった[3][4]。川部修詩は「お竜シリーズに比べて小粒。企画も二番煎じ」などと評している[3]

ソフト状況

シリーズ3作品ともビデオは発売されず[5][4]、2025年2月12日に東映ビデオベストフィールドから「妖艶毒婦伝シリーズ」として3本セットでDVDが発売されている[5]。価格:10,780円(税込)9,800円(税抜)[5]

同時上映

『緋牡丹博徒 二代目襲名』

緋牡丹博徒シリーズ第4作

脚注

  1. ^ a b c 妖艶毒婦伝 人斬りお勝”. 日本映画製作者連盟. 2025年9月12日閲覧。
  2. ^ a b c d 滝沢一山根貞男「インタビュー 全自作を語る 聞き手・桂千穂」『映画監督 中川信夫』リブロポート、2010年、220頁。ISBN 4845702525 
  3. ^ a b c d e 川部修詩「作品録 妖艶毒婦伝 人斬りお勝」『B級巨匠論 中川信夫研究』静雅堂、1983年、208頁。 
  4. ^ a b c d 『ぴあシネマクラブ 日本映画編 2004-2005 妖艶毒婦伝シリーズ 妖艶毒婦伝・人斬りお勝』ぴあ、2004年、682頁。 ISBN 978-4835606170 妖艶毒婦伝・人斬りお勝
  5. ^ a b c d e f 妖艶毒婦伝シリーズ東映ビデオ妖艶毒婦伝シリーズ 般若のお百/人斬りお勝/お勝兇状旅 <HDリマスター版>ベストフィールド
  6. ^ 滝沢一山根貞男「中川信夫・映画作品リスト」『映画監督 中川信夫』リブロポート、2010年、253頁。 ISBN 4845702525 
  7. ^ 映画秘宝 編「日本映画を支えたお色気・肉体女優その人生の機敏を探るドキュメント・おんなののど自慢 ヴィンテージ女優千一夜 大信田礼子ズベ公女優の華やかな転身 文・藤木TDC」『セクシー・ダイナマイト猛爆撃』洋泉社〈映画秘宝コレクション〉、2003年、252-255頁。 ISBN 4-89691-757-X 
  8. ^ a b c 「勢揃い"女やくざ"の艶姿」『週刊大衆』1969年4月3日号、双葉社、156頁。 

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